表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
屋上の彼女  作者: うどん
8/10

008

 生徒の飛び降り自殺が起きたのは今からちょうど1年ほど前のの10月の半ばくらいだったそうだ。学校があった平日の夜に当時3年生だったその生徒が学校に忍び込み屋上から飛び降り、翌日の朝職員によって発見された。事件当時、学校はおろか屋上にもしっかりと施錠されておらずその管理の不十分さが問題となったらしい。

 ぼくはこの事件のことをまったく知らなかった。いくらこの学校に引っ越してきてのが先月だとはいえ自分がこれから通う学校で飛び降り自殺が起きたことなど普通知っているものなのだろうが、ぼくは新しい自分の学校にまったく興味がなく学校の名前すら実際に訪れるまでろくに覚えていなかった。それでその事件も目に入らなかったのだろう。

「その事件が起きるまでは生徒もけっこう屋上に行っててね、私も何度か行ったことがあったんだけどそれからはたぶんみんな気味悪がって行かなくなったの」と渡辺さんはは言う。

 だから今まで一度も屋上に僕たち以外の人が居なかったのか。ぼくはこのことを知らなかったのだから何も気にならなかったが彼女はどうなのだろう。彼女のことだから知っててだからこそ屋上に来ていたということも考えられる。

「その自殺の原因は何だったの?やっぱりいじめとか?」とぼくは渡辺さんにたずねる。

「それがね、原因はわからないみたい。私の昨年の部活の先輩でその生徒と同じクラスで仲がよかったっていう人がいたんだけど、その生徒はいじめられるような人じゃなくてむしろ友だちが多くて部活動にも熱心にとりくんでた人みたいなの。だから私の先輩もなんでそんなことをしたのかわからないっていってとても悲しんでたわ」

 そんな人でも自殺をすることなんかあるのだろうか。もしかしたら仲のいい友だちにも言えない悩みなどがあったのかもしれない。

「それにね、私の先輩とその人は次の休みの日に一緒に出かける約束もしてたみたいなの。そんな人が自殺なんかすると思う?」

「ほんとに?それは確かにおかしいね」

 その人はそのときはまだ自殺なんかするつもりはなく急におもいたったのだろうか。だとしたら一体何がその人の身に起こったのだろうか。そう考えているうちに昼休みの終わりを告げるチャイムがなり、ぼくと渡辺さんは一旦そのことについて話すことをやめざるを得なかった。しかし、ぼくは次の授業が始まってもちっとも授業に集中できず、ずっとその自殺した生徒のことについて考えていた。


 家に帰り、ネットで自分の学校のことを調べるとすぐにその事件の記事がいくつか出てきた。そこには自殺をした生徒の名前と写真が記されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ