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「久しぶりだね。もう来てくれないのかと思ってた」彼女はいつものように屋上でぼくのことを出迎えてくれる。
いつもなら彼女の方から話を降ってくるのだが今日はぼくの方から話しかける。
「ぼくは友達といえる人が1人もいないんだ」
彼女はぼくがいきなり話し出し少し驚いたようだが黙ってぼくの話を聞いてくれる。
「昔はそんなこともなかったんだけどね、家の事情で転校を繰り返していくうちに友達をつくるのがだんだんとめんどくさくなってったんだ。だからこの学校にきたときも友達を作らず1人で静かにすごすつもりだった。」
彼女はじっとぼくのことを見つめ話を聞いている。
「それで初めてこの屋上で君に話しかけられたときは適当に流して深く関わらないようにしようと思った。でもぼくはその次の日もこの屋上にきて君と話していた。その次の日も次の日も。ぼくは君と話すことが楽しかったんだと思う。」
ぼくは話すことをやめない。彼女との会話でこんなに一方的に話したことはなかっただろう。
「君は前に自分は止まっている、生きる資格も無いって言ってたけどそんなことない。だってぼくは君のおかげでこうして学校に来るのが楽しくなったんだし。君はぼくにとってのいい人だよ」
彼女はもうぼくの方を見ていない。屋上から見える町の景色を眺めている。
「君は大島奈緒子さんなんだね」
秋の風が彼女の髪をなびかせる。優しい表情を浮かべた彼女の横顔はとてもきれいだった。




