無双!(誰の?決まってるじゃん♪)
突如、レイラの魔力が気持ち悪いほど上がった。
ゴゴゴゴッ!!!
大気が震えて地面を揺らす。レイラは両腕を広げた状態で目を閉じて瞑想していた。
「なっ!何なのよ!?この強大な魔力は!?」
レイラの魔力にフィーリアは取り乱し、怯えた。
「しっかりしろ!この私のテンペスト・ウォールは破られていない!魔力を溜めている隙に攻撃しろ!」
パートナーであるシルクロードの言葉に我に返り、気を引き閉めて攻撃に移った!
「くっ!舐めてたわ!すぐにトドメを刺して上げる!」
フィーリアは連続で弓矢を仕掛ける!
ビュッ!ビュッ!
暴風により、スピードを上げた矢が次々にレイラを襲う!
キンッ!!!
「やらせん!」
グランがレイラの前に立ち、矢を全て叩き落とす!それを見たフィーリアは驚愕した。
「み、見えているのか!?一撃ならともかく、連続で放つ矢を剣で落とせるものなのか?」
次々に矢を射るが、ことごとく落とされ今だにダメージを与えていない事に気付く。フィーリアは一呼吸置き、気合いを入れる!
「レイラだけではなく、流石はシングル優勝者と言った所ね。私も本気を出して上げるわ!」
弓矢を構えたフィーリアの廻りに魔力の流れが出来た。
「私を舐めるな!武技《疾風の矢》!!!!」
放った矢の廻りに小さな風の竜巻が出来て、更に、暴風を越えた所で加速する!
「私の疾風の矢に貫けぬ物なし!!!」
矢は音速でグランに迫った!
「秘技《剣陣結界》!!!!」
矢がグランの間合いに入った所で、グランの超速の剣が疾風の矢を叩き斬った!
バシュッ!?
「ば、バカなっ!?」
「疾風の矢………貫通の威力は確かに凄いな?しかし側面からの攻撃に弱い。俺の間合いに入ったら剣を振れば落とせる!」
なっ!?
「そんなバカな!?」
2度目の驚愕だった。
「だ、だったら数で勝負よ!秘技《流星の矢》!!!!」
1つの矢が途中で分裂し、数え切れないほどの矢の雨がグランを襲う!
キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!
先ほど同じく、グランの間合いに入った矢の怒涛の攻撃を目にも止まらないスピードで次々と斬り落とした。結果は変わらない!
これにはフィーリアも顔を青くした。
「そ、そんな………」
自分達は安全な所から攻撃し放題の絶対有利なのに追い詰められている感じが付きまとった。
「貴方、お待たせ♪」
遂に、レイラの準備が整ったようだ。
「見てみなさい!秘技《水のヴァルキュリア》!」
レイラのチート技、10人のレイラが現れた。
「これは!?公式戦で1度使ったという、実体のある分身術!?」
「へぇ~流石に調べてあるようね?でも、これは防げるかしら?武技《雨の針》!」
10人のレイラが全員、空に向かい両手を掲げた。
?
空から普通に雨が降ってきたと思うと、雨が肌に突き刺さった。
「痛っ!?まさか!?」
次の瞬間、スコールのような雨が降った。
「「ギャーーーーーー!!!!!!」」
二人の悲鳴が響き渡る。水の針はそれほど深くは刺さらないが、何十何百の針を全身に浴びて血だらけになる二人。空から降る雨の攻撃は壁となっている暴風では防げない。
そして目の前の暴風は消え去った。術者の集中力が切れたのだ。
「ああ………し、シルク?」
隣で血だらけで倒れているパートナーを見る。胸が上下している所をみると、気を失っているだけのようだ。
「どうかしら?これが貴女の楽しんでいた【死合い】よ?」
気付くと10人のレイラがフィーリアを取り囲んでいた。
「あ……ああ…た、たすけて………」
「貴女達の試合をみていたわ。去年も優勢な場所からいたぶるように対戦者を痛めつけていたわね?その時の相手に何をしたのか忘れたのかしら?」
フィーリアの顔に絶望が宿る。今まで、絶対有利の状態で相手を虐めるように勝つのがフィーリア達の戦いだったからだ。
「いざ自分達の番になって命乞いなんてズルいと思わない?」
微笑むレイラだったが、目が笑っていない。
「剣魔大会は相手を殺しても罪にならないのは知っているわよね?」
!?
「まっ!?こうさ─」
「魔法《爆水》!」
フィーリアが降参という前にレイラのスキルが発動し、大きな水柱が10本高く発生した。
ドドドドドッ!
大きな水音に、フィーリアの声はかき消された!
「た、助けて!?」
余りの恐怖に、フィーリアは粗相をしてしまうが、目の前の【死】に気にしていられない。
「逝きなさい!」
水柱が四方八方からフィーリアを押し潰すように襲い掛かった!
「アアアアアッーーーーーーー!!!!!!」
バッシャーーーーン!!!
レイラは無論、手加減して二人の血を洗い流した程度に留めた。そして─
『フィーリア選手、意識消失!!!勝者、アクエリアスペアだーーーーーーー!!!』
ワァーーーーーーーー!!!
ワァーーーーーーーー!!!
「ふぅ~、これに懲りたら真面目に正々堂々と戦う事ね!」
こうして、圧倒的なレイラの強さをアピールすることに成功したのだった。
愚者の声
「怒らせていけない人はいるのですよ……」




