勝敗!
「グオオオォォォォォォォォォォオオオオ!!!!!!」
口から涎を垂らしながら怒涛の勢いでグランに襲い掛かってくるボリスにグランは反撃が出来なかった。
ボリスは土魔法で強化された拳を休む暇なく、グランに浴びせる!
「くそっ!こいつの体力は底無しか!?」
流石のグランも疲労が溜まっていった。
ガック!?
「しまった!?」
足に疲労が溜まり、膝をついて動きが止まってしまった。
「グガアアアアァァァァァ!!!!!!」
そのスキを見逃さず、ボリスが襲い掛かる!巨大な爪を横凪ぎに攻撃を仕掛けた。
ドゴッン!!!
「がっは!?」
双剣でガードしたが、遠くまで吹き飛ばされた。
ドンッ!ドンッ!ゴロゴロ………
バウンドしながら転がり、そして血が点々と地面に付いていた。
「お父様!!!!?」
「あなた!!!?」
シオンとレイラは悲鳴を上げる。
ボリスは追撃をせず、その場で留まりそして獣化を解いた。
「はぁはぁ!もう少しで理性が無くなる所だった………しかし!?」
獣化のリミット、ギリギリでグランに深手を追わせる事が出来きた!
「………何を喜んでいる?まだ勝負は決まっていないぞ?」
グランの方を見るとふらつきながらも、立ち上がった姿がそこにはあった。
「その傷だ。もう戦えまい?降参を勧めるが?」
「ふっ、その提案は却下させてもらう。勝つのは私だからだ!」
グランは双剣を十字にして闘気を溜めた。
ゴゴゴゴッ!!!!
!?
「まだそんな力があるのか!?」
『どうする?迂闊に近付くのは危険だ。俺の石の鎧でクリスタル・ブレイクも防げる。ならば─』
ボリスは一瞬、考えたがすぐに行動に移した。
「この一撃で決着を着ける!」
ボリスは土魔法をバネに使い、空高く飛び上がると丸くなり、更に土魔法でコーティングし刺々しい球体の隕石となって、回転しながらグランに向かって落ちてきた。
「秘技!!!」
迫りくる隕石にグランは極限まで溜めた闘気を放出する。
「家族の為に負ける訳にはいかないんだ!!!!秘奥義《氷神乱龍》!!!」
アクエリアス家は水を司る家系であるが、そこに温度を下げた【氷】を操る事を武術に取り入れて久しい。そして水より氷の方が質量が高く、物を壊すのに適しているのだ。
グランが放ったのは7体の氷の龍であった。
グランの放った7体の氷の龍が、回転しながら近付いてくるボリスの隕石に喰らい付いた!
すると、そこから氷っていき氷の隕石と変化した。7体の氷の龍は隕石の落下も止めていた。
そして─
ピキッ!?
ヒビが入ったかと思うと、ピキピキピキッ!と全体にヒビが入り、隕石は砕け散った。
地面に落下してぶつかると、中からボリスが投げ出され、胸のクリスタルのバッチが砕けた。
観客席は呆然と試合を見守っており─
「く、クリスタル・ブレイクです!グラン選手の大技が炸裂し、ボリス選手の隕石を飲み込み、7体の氷の龍で打ち砕きましたーーーーーーーーーー!!!!?」
ワァーーーーーー!!!!
ワァーーーーーー!!!!
大歓声の元、グランのシングル優勝が決まった!
ボリスは半分氷っていたが、命に別状はなかった。
『素晴らしい戦いでした!決勝戦に相応しい、見応えある試合で終止目が離せませんでした!今年のシングル、個人最強はグラン選手に決まりました!!!』
司会のおねーさんも大興奮していた。
「ねぇ?お母様、お父様ってあんな技を使えましたっけ?」
「いいえ、前までは使えなかったわね。ここ最近、覚えた必殺技よ♪私もそうだけどあの人も派手よねー?」
お母様は嬉しそうだった。
子供の頃は、必殺技とか憧れたからなぁー!
お父様も怪我を追っていたけれどボリスさんに肩を貸し通路口へと向かっていき、医療班に回復してもらった。
「いつつっ!?ガードしてこれか………まともに受けていたら1発で終わりだったな」
「俺の獣化状態を冷静にいなしていた男が何をいか……」
一緒に治療を受けていたボリスが賛辞を送る。
「俺の完敗だった。獣化して力が増しても、攻撃が単調になってしまう。貴殿は冷静にそれを見定めたな」
「こっちも予想以上のパワーとスピードで焦ったよ。いい勝負だった!」
二人はがっしりと硬い握手を交わした。
こうして、剣魔大会最初のシングル戦が終了したのでした。
愚者の声
「もしかして毎回バトル描写を書かないとダメな感じ?やべぇっす!」




