自信無いの?
僕達がふざけあっていると、リビングの扉が突然開いた。
「……お兄様」
パンツを僕に見せ付けている愛真とそれを笑って見ている僕……いや、実際笑ってはいない……でも明らかに楽しそうな雰囲気は出していたと思う。
「……いや……ち、違う……」
僕は別に愛真のパンツを見て楽しそうにしているわけじゃなく、つい小学生の時に帰った気がして……あの頃に戻った様な気になって……そう言い訳をしようかと思ったが、泉は僕を一瞥すると、直ぐに目線を愛真に戻した。
「……愛真さん……とりあえずそのショーツをしまって頂いて宜しいですか?」
「え? あ、うん……あ、とりあえずお風呂借りようかなって……」
「今……お母様とお義父様に確認を取りました……どうやら本当の事見たいですね……」
「うん……嘘なんてついてないよ?」
「……わかりました……私も一応この家の住人なので権利はありますが……お兄様も反対されていない様なので……」
「……あ、うん……」
泉の手前反対をしなくちゃいけないんだろうけど、やっぱり子供の頃にかなりお世話になってたし、それに女の子一人ってやっぱり危ないだろうし……。
「ですので……私も認めざるを得ません……ですが今みたいな事をされるのは……」
「そ、そうだね、ちょっと昔見たいにからかっちゃった、からかい上手の愛真さんだからねえ私は、きゃはははは」
「……」
「……」
「……あ、外した?」
「とにかく一緒に生活するのですから」
「あ、じゃあさあ、泉さん、その辺の話も込みでお話しません?」
「……お話?」
愛真は身体の前で両手を叩き泉に向かってそう提案をする。
「そうそう、まあほら私は最近の真ちゃんの事あまりしらないし、泉さんの事も知りたいし、泉さんのお母様の話とか、この家の今のルールとか、色々あるでしょ?」
「……まあ、そうですね……」
愛真提案に一瞬呆気にとられた顔をする泉……しかし愛真は泉にもっと凄い、挑戦的な言葉を投げ掛けた。
「じゃあさ、じゃあさ、一緒にお風呂に入ろう! そこでいろいろ話さない?」
愛真は泉に笑ってそう言った。
「……へ?」
ディスカッション、ディベート等、自分のホームで戦う準備をしていたであろう泉、臨戦態勢で構えていた所にとんでもない方向からパンチが飛んできた。
泉から聞いた事の無い返事、見た事の無いなんとも言えない複雑な表情を見て、僕はついつい笑ってしまいそうになる。
「……お兄様」
僕が笑いを堪えていると、泉は僕をジロリと一度睨み付けた。
泉に睨まれた僕は蛇に睨まれたカエルの様に小さな身体をさらに小さくする。
うーーん、小さくなっても見ている……透明人間の技はやっぱり泉には効かないらしい……残念……。
「一緒に生活するんだから、まずは裸の付き合いって事で、ね? 泉さん!」
愛真はさらに煽る様に泉にそう言う。
「意味がわかりません、話し合いならここで」
「ほら、真ちゃんに聞かれたく無い話もあるでしょ?」
「それでしたら、私のお部屋で」
「壁に耳あり商事に左遷ありって言うでしょ?」
「障子に目ありです……」
「障子にメアリー?」
「と、とにかくそんな必要は」
「自信無いの?」
愛真はそう言って泉をさらに煽った。
「自信?」
「そう自信」
「身体のって事ですか?」
「それもそうだけど……色々……とね?」
愛真はそう言って僕を見つめる。
愛真の視線を見て泉も僕を見つめた。
二人の視線……僕は何を言って良いのか……て言うか……何この状況?
暫く二人は僕を見つめそして僕から目線を外さずに言った。
「わかりました……」
「そか……それでこそ泉さんだ」
一体何がどうなっているのやら……泉は何がわかったのか? 愛真はどう考えて泉をお風呂に誘ったのか? 僕には全く理解出来なかった。
書く気力が少し沸いて来た……。
まだ頑張れる……かも( ´-`)




