2話 恐怖
今年ももうすぐ終わり。毎日更新は、終わった。(始まってすらいないわ!!ブーブー!)
「やぁ、また会ったね、〝響に飢えた目をしてる人〟くん。君が願えばボクはいつだって君の前に現れられるんだよ、まぁ、良い時に限るんけどね。」
そうやって女神様は眉毛を下げ苦笑いをする。
「…っトワイライトって明け方の事じゃないんですか…?」
あ、今回は声が出る。夢の中で声が出るっておかしな表現だけど。
「うーん、まぁ、一言で言うと銀世界…かな。世界が暗闇でもなく、光でもなく、影も形も見えないような、あの、僅かな時間の事。全てが反発しあって、滲みあって、美しい。
あの時間を私達は、そう呼ぶの。」
「反発するのに、滲む…?滲んで溝色になる筈なのに美しい…?」
「ええ、見れば分かる、感じれば分かる、創れば分かる。あの曲の様に、ね。」
閃きが身体を駆け巡る。
あぁ、そっか。ピースが綺麗にはまったかのように、しっくりきてしまう。
そうだ、あの曲だって、そうだったじゃないか。
あの曲の種は雨の音だけじゃない。
それを混ぜるやり方なんだ。
弱く、主張をさせぬように、混ざりやすく、響を乗せるんじゃなくて、
原響をしっかりと強く、暴力的に。
それを正しく、戦わせてあげれば。
さながら印象派の様に、美しく、ダイレクトに光を映し出す。
ほとばしる、その、エネルギーが、それこそが、人を魅了する力なんだ。
「…くっくっくっ!君は頭の回転が速くていいねぇ。人っていう生き物は傷つけば傷つく程貪欲に、狡賢く、醜くなってゆく。あーっ!楽しいねぇ!君はその力でボクに何を見せてくれるんだい?ボクは、とっても楽しみだよ!」
そうやって心底愉しそうにわらう女神様は、醜い笑い方なのにはじけるような明るさと美しさを兼ね備えていた。
``醜い``と、``美しい``は裏表じゃないんだ。隣り合わせ。好きの反対は、嫌いじゃない、無関心みたいに。
「そうだよ。それが分かるのは人間にしては凄いんじゃないかなぁ?」
にっこりと、爽やかな笑顔。そして、人を殺しそうな気配が入り混じっていた。
ゾクゾクする。恐怖と、高揚感で。
たまらない。恐怖だっていや、恐怖こそ、高揚感を創り出すには、うってつけじゃないのか?
……面白い。やってやろうじゃないか、、!
キーボードに触れる、指が踊る。
音感は元々いい方なんだ。
響が舞う。暗く、冷たく、鋭く。
己の首元に己の音で刃を向ける。
蒼く、紅く、エネルギーをぶつけ合いながら。
キーから指を離した時の、静寂が、少し汗ばんだ身体に心地よく染み込む。
「今日も平和だなー」