表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SF  作者: 真夜
8/14

覚醒の結

無音の高速道路に、爆音が響く。

自動運転化により、時速50km以上は絶対に出ないことになり、オービスは廃止された。この廃止により、スポーツカーを乗りこなす人達の戦場は、高速道路にシフトされたのだった...


そんな広島の戦場地、広島高速の朝の出来事


「せ、先輩。後ろから...速いのが1台来てます...」

助手席に座った新人が、そう言ってくる。


「おいおい、お前俺の戦闘機の名前を知らねーのか?」

そう言って、俺は特に意味は無いが、ダッシュボードをコンコンとノックする。


「そ。そりゃあ、知ってます...シビックのFK-2?」


「ご名答、俺はこの、ずんむりとした、団子虫の様なフォルムに魅せられ、750台と言う限定数を勝ち取ったんだ...」そう言うと新人は、ほ...褒めてるの?って顔でこちらを見てくる。


「しかし、後ろのヤツ速いな...こっちは、310馬力だぞ」

そう言いながらも、蒼く輝く車は、こちらに近づいてくる。


「へ...いいぜ、これだけは...あまり使いたくなかったが」


「せ、先輩...なにか奥の手でも?」

主人公は、ピンチになれば...覚醒する後出しジャンケンの定理がある。それを今使わせてもらうぜ...


「+Rモード起動」

シビックにはBASEモードと言う、安全性に特化したモード

+Rモードと言う、レスポンス向上などに貢献するモードがある。


「へ、これで...悪いが勝たせてもらったぜ...」

そう言って、後ろを見ると...白色のボディだが、蒼く輝く奇妙な車は居なかった...


「せ...先輩...ま、前」


「ん?なんだ...な、なに!抜かれてるだと...」

310馬力だぞ...それを余裕見せて抜くって...何馬力出てんだよ。前の車...


今朝のバトル...ふ、これは伝説になるぜ...

覚えておくぜ...A80スープラ...また戦場で会おう。


「いや、抜かれた後に言うセリフじゃないですよね。」

新人にそうツッコミを入れられて、戦意喪失した。



バックミラーから、シビックが遠ざかっていくのが分かる...

やっぱり、スープラ速くなりすぎたな...と感動する。

「ちょっと...岩森これ速すぎる」

運転席で、芳村が叫んでいる


「ほらほら、もっと踏まないと、まだ、エンジンの美味しい所が使えないでいるぞ」


「ひ、ひぃ...こ、怖い」

まぁ、無理も無いか...598馬力に超軽量な車重...これは、私もあんまり、運転したくないかも...


「い、岩森...どこまで行くんだっけ...」


「うーん、任す。」


「そ、そう、なら...」

そう言って、芳村は、アクセルを踏み出す...加速がすごくて、心臓にダイレクトアタックされたのは一生忘れないだろう。


「着いたよ」

そう言って、芳村が起こしてくる、あれ私寝てたのか...


「ごめんね、運転全部任せちゃって」


「いいよいいよ。それよりも。今日はせっかくのゴールデンウィークなのに未だに1日も遊べてなかったから...楽しもう、ね?」そう言って芳村が手を差し出してくる。


「...宜しくお願いします...」

そう言って、芳村の手を握った。


「岩森って、休日何してるの?」

私の横を歩く、芳村が聞いてくる。


「基本、平日に備えて睡眠をストックしてるかな...」


「ただ、寝てるだけなのね...」


「それじゃあ、芳村は何してるの?」

そう言うと、芳村が歩くのを辞める。


「うーん、特に決まったことはしてないかな...その日の気分でダラダラしたりとか、そんな感じかな」


「そうか、それで、芳村今私達ってどこ向かってるの?」


「うーん、なんか見たいものある?」


「文具ぐらいかな...」

私も特に欲しいものは無いので、取り敢えずの物を言う。


「文系女子かな?」

そう言いつつも、芳村は文具への道筋を調べている。

片手は、私と繋いでいるので、片手で器用に調べている。

と言うか...手つなぐ必要あるのかな?そう思うが...聞くのはやめておこう。


「着いたよ、ここが結構人気のお店みたい」

歩くこと10分強やっとこさ、文具屋に着いた。

人気店と言うだけあって、私が普段行くお店の2倍以上の面積はあるだろう。


「芳村...ありがとうね。」

そう言うと、芳村はうんうんと頷いてくる。


「岩森は何が欲しいの?」


「えっとね...新しいディバインダーかな」


「ま、マニアックな物を」

今の時代、製図はコンピュータなどでやった方が楽だし、綺麗にできる。だけど、私は自分で書く方が好きだな...そう思いながらディバインダーを探す。

しかし、このディバインダー発掘大作戦はバットエンドを迎えようとしていた。30分ぐらい探してもないので、芳村が店員に聞いてきてくれた。その結果...


「岩森...ディバインダーここ取り扱ってないって...」


「な、なんだってぇ...」

まぁ、ネットショッピングで簡単クリックで買えるので、そこまで、ショックでは無いけど、なんだかな...そう思いながら、私達は文具店を出た。


「その、岩森ごめんね...」

芳村が申し訳なさそうに謝ってくる。


「いいよ。いいよ。もうネットで買ったから」


「行動早いな...まぁ、岩森らしいかな...」


「芳村が行きたいとこでいいよ。」

自分は市内とかデパートにあまり行かないので、芳村に任すことにした。


「うーん...あ、髪留め欲しいんだよね。今、行っていい?」

そう言って、芳村が見よこれと言わんばかりに、綺麗な艶が出てて、手入れ頑張ってんな...と思える長い黒髪をいじる。


「うん、いいよ。行こうか」

そう言って私達はまた歩き始めた。


マップ検索で、近くて人気のある服屋を探して、徒歩5分少々、服屋に着く。


「ここなら、いい感じのありそうだね。」

そう言うと、芳村が店内に入って行くので続くことにした。


店内に入ると、まぁレビューがいいだけあって、普通に欲しいものがありそうな品ぞろえだった。私が店内を見渡していると、芳村が、でかいリボンを持ってこちらに来る。


「これ、どうかな...派手すぎる感あるけど...」

そう言って、芳村がつける...これ、あ、あれだわ...


「ただの...ロリだわ...罪だわ...犯罪だわ...」

そう言うと、芳村がロリじゃないんですけど...と言って、でかいリボンを外して、店内を再度見に行った。

まぁ、可愛かったけど、現実的にギルティな部分の方が多かったよね...と自分の考えを正当化する。


「岩森...これなら、どうかな...」

そう言って...芳村は...うん、なんだ、その、さっきのリボンより、少し小さくなったぐらいのサイズのリボンを持ってきた。

それでも、後ろ髪に留めても髪をはみ出すぐらいのサイズはある。けど...


「可愛い...似合ってるよ。」

そう、さっきのはデカすぎて、ゴテゴテ感と言うか、そんな物があったが、これなら、ちょっと背伸びした感じで可愛さがかなりあった。芳村のロリっぽい見た目に似合ってるなと思ったが言うのは辞めた。


「けど、それ重たくないの?」

アニメのキャラとかでも、結構大きいリボン付けてるキャラを見て思うことがあったので、聞いてみる。


「うーん、まだ付けたばっかりだから、違和感はあるけど、重さは...そこまで無いかな...」


「そんな物か、なるほどね」


「岩森も買ったら?せっかく出し」

そう言って、芳村が2点同時購入で20%OFFとか言う、よくある商法の看板を指さす。


「え、自分かぁ...うーん、髪まとめるの、面倒なんだよね」


「それも、そうだね...分かったよ、買ってくるね」

深く勧められるかと、思ってたので素直に引いてくれて、嬉しかった...しかし、走ってレジ行くって...どれだけ気に入ったんだろうと思った。


「お待たせ...買ってきたよ」

芳村が帰ってくる。さっき買ったリボンは既に付けていた、しかし、ここの店の名前が書いてある紙袋を持っている。


「あれ、その紙袋...なんか買ったの?」


「え、えっと...汚れたとき用に、予備を...ね」

焦ってるような気がするけど、探るのも面倒いので、そのまま流すことにした。


「他に行きたいとこは...ある?」

既に私は行く場所は無いので、聞いてみる。


「私も...特に無いかな。」

まぁ、芳村は、あのリボン買えてすごい満足そうだから...そりゃ無いわな...


2人でどうしようか...帰るか...まだ見て回るか...と考えているところを声をかけられる。


「あれ、芳村さんと岩森さん?じゃないですか?」

そう言われて振り向くと、蒼く輝く瞳の少女がいた。


「黒神ちゃんかな?」

そう言えば...芳村って私以外はちゃん付けだよね...と思い出した。


「はい、そうですよ。お2人は、ここでなにを?」


「私達は...買い物をちょっとね...」

そう言うと、芳村が何を買ったか、悟ったのか芳村の後ろ髪に付いているリボンを触り出す。


「芳村さん、このリボンすごい似合ってますね...可愛い」

そう言って、素直に笑っている黒神の笑顔も充分来るものがあったが...まぁ、置いておこう。


「ありがとうね、黒神ちゃん。そう言えば、黒神ちゃんは市内に何か用事?」


「私ですか?私は、お姉ちゃんの病院について来ただけなんですよ」


「蒼井ちゃんに何かあったの?」


「交流戦の後から、目の色が蒼くなったのを気にして、眼科に通ってるんですよね。」


「まぁ、確かに...学校の時も、黒神と蒼井が隣にいたら、どっちが蒼井か、とか、一瞬迷うよね。」


「確かに...姉妹だから、すごい似てるよね」


「し、姉妹ですか...そうですね...」

そう言うと、地雷を踏んだのか...と言うぐらいに一瞬、黒神の表情が落ち込んだ...しかし、


「ふふ、お姉ちゃんと似てるなんて、もう嬉しすぎますよ。2人とも...」あ、いつもの黒神だと安心した。


「そう言えば、スープラのエンジン組み終わったんだよね。黒神ちゃん乗ってみる?」


「流石です、素晴らしいですね、是非お願いします」

芳村の悪夢への誘いに見事引っかかった...


黒神を連れて、駐車場に戻ってくる。

スープラのボンネットを開けて、心臓部を指さす。


「凄いですね、カーボン、チタン、マグネシウムで武装化しただけは、ありますね。」


「うん、それに、人工知能とかもね...とにかくすごいよ」

私達は、既にこのエンジンを何回も見た、だけど、未だにこのインパクトは抜けてない。これがレース用エンジンの魅力なのだろうか...


黒神が、スープラの運転席に乗る...乗る...あれ、スープラって運転席と助手席しかないから...私たちの内、誰か乗れなくね...


「私、後ろで寝っ転がってるから、岩森座っていいよ。」

それを察したのか、芳村がそう言ってくれた。ありがたいけど、フロアマットないからな...まぁ、いいか。


「それじゃあ、行きますよ。」

黒神がそう言った瞬間に、甲高いエキゾーストノートが血の流れを加速させる。


「は、速すぎますよーこれーー」

と黒神が叫びながら、スープラは高速道路に消えていった。



「はぁ、今日は全然撃墜出来なかったな...」

助手席に座っていた新人も、もうやる気が無いのか、ぐったりしてる。


「あの、朝のスープラよ、あれのインパクト...たまんねーな」

ブルーパールがボディに散りばめられていて、美しく、そして、圧倒的な速さで自分達を抜いて行った...


「あんな、戦闘機がまだ、ガソリンエンジンを搭載してくれているなんて、嬉しいもんだね。」


「先輩...なんか、後ろから甲高い音が...この音はまさか?」

新人が、いきなりやる気のある声でそう行ってくる。


「まさか...また魅せてくれるのか...」

そう言って、バックミラーを見る。


『蒼く輝くスープラだ。』

新人とハモりながら言った。


「先輩けど、その前にあれは...水素エンジンH-βC搭載のGTOがいますよ。」

H-βCは、水素ベーターカスタムエンジンの訳しで、先代のH-βの改良版、スポーツカーなどに使われるエンジンで、馬力は物によって、制御されているが、このGTOのエアロの熟練度から見るに、約550馬力以上は出ているだろう。


「先輩、スープラが思ったように、走れてませんが...なんで?」新人が指摘するように、スープラはコーナーで思いっきり、踏めていない...何故か、それは至って簡単。

水素エンジンはマフラーから水を出す、それによって、相手のタイヤを滑らせる、この戦法はスピードが乗れば乗るほど効果的になる。

しかし、今の車会は8割は水素エンジン搭載車の時代。

そうなると、毎日雨が降った時のような路面になってしまう。

それを防ぐために、超速乾製のものを路面に塗布してあるが、目の前から出される水には、流石に瞬時には対応出来ない。

それ故に、スピードを落とすしか無いのである。


「しかし、何故だ...スープラのドライバーは毎日車に乗っていなのか?路面慣れしていない...」そう、しかし物は慣れ。毎日水素エンジンから出される水を受けながら走っていると、そこそこ慣れる物があるが、スープラの場合はどうだ...全然慣れていない。これは、分が悪いな...


「先輩、スープラ負けちゃんですかね?」


「さぁな、応援する気があるなら、負けたと思わず希望を持て」俺だって、スープラに勝ってほしい...頼む。


憎い...目の前のGTOには岡山工業高校と書いてあり、自分達のスープラと同じように手を加えられたのでしょう。

だけど、岩森さんや芳村さん、佐々木さんなどが改造してくれたこのスープラを活かせれない自分が憎い。


「黒神ちゃん、大丈夫?」

芳村さんが心配して言ってくれる、ありがたいの一言に尽きます。


「大丈夫ですよ、2人とも今から起こることは...お姉ちゃんには内緒ですよ。」


『え?えーと、うん』

2人とも、当たり前ですが、よく意味がわかってないですね。


本当は、ここで諦めてもいいですが、後ろのFK2から伝わる気持ちや、芳村さんと岩森さんの努力を無に帰したくない。

私がお姉ちゃんにあげた、蒼い宝石がドリンクホルダーに付けられている。それが、振動によってゆらゆらと揺れている。

皆さんの希望を無に化けさせないように、しないと...


「黒神?」

岩森さんが心配そうに聞いてくる。


「大丈夫ですよ、見ててくださいね。」

黒神がそう私に笑顔で言ってくる。

彼女の瞳はいつもに増して...蒼かった気がする。



「先輩...スープラの動き、さっきより良くないですか?」

新人が幻を見ているかのように言ってくる


「良い、凄く、ドライバーが変わったのか?な、なぜ」

自分はプロではないので、何をすればコーナーが早く抜けれるのかは、口では説明出来ない...けど、このスープラのドライバーがコーナーに対するモチベーションが変わったのだけは分かった。


「先輩...スープラがGTOを捉えました...い、行け...」

新人はまるで、スープラに取り憑かれたかの様に応援する。


「頼む、抜いてくれ...あの水素エンジンを...」

自分も自分で軽いやつだと思った。


「黒神ちゃん頑張って...」


「黒神...あと少し...行って...」

皆さんの応援ほど嬉しいものはないですね。


そうして、スープラはGTOをオーバーテイクした。

まだ、SFは、始まってはない...だけども私達の中で何かが始まった。


「先輩...自分...お金貯めて、欲しい車見つけました。」


「へぇ...なにを?」

答えは分かっていた。


「A80スープラです。」

こうして、今日のバトルは伝説になった...と思う。


高速道路をまた戻って、市内に戻る。


「黒神ちゃん、運転上手だったんだね、すごいかったよ」

芳村が褒める。確かに...上手すぎた。


「昔、サーキットとか行ってたの?」


「まぁ、お姉ちゃんの付き添いで少しぐらいは。」

蒼井に教えてもらったのかな?そう思うと納得するような...しないような。


「あ、もう、こんな時間ですか、お姉ちゃんの所に戻らないと...お2人とも、今日はありがとうございました。」そう言って、黒神は、頭を下げ、すぐに走っていく。


「うん、黒神ちゃんまたね。」

芳村が、手を振ってそう言う。


「...またね」

私も芳村に便乗して手を振ったが恥ずかしいものがある。


「はい、あ、お二人とも、今さっきのことは、お姉ちゃんには、絶対内緒ですよ。」そう口に指を当てて、言ってくる。


黒神が人混みに消えていき、私達も帰るかという流れになった。

しかし、姉に内緒とは...うーん、複雑なのかもね...そう流して終わらせることにした。


スープラに乗り込み、学校へ向かう。


「疲れたね、今年のゴールデンウィークは」

芳村がスープラを運転しながら、そう言ってくる。


「確かに...半分ぐらいエンジンに費やしてたからね。」


「確かに...それにHKN先生にもお世話になったし...ッァ!」

芳村が何かを思い出しのか、そう言ってくる。

信号がちょうど赤になり、芳村が今だと言わんばかりにバックから紙を取る。


「これは?」

芳村から、渡された紙の内容を見る前に聞いてみる。


「岩森...もし...岩森がいいって言うなら参加してほしいな」

そう、芳村が言ってくるが、眠たくなったのか...意識が...遠ざかっていく...


一通りの説明が終わって、岩森に感想を聞こうと思うと...寝ていた。学校に着いたので、起こそうかと思ったが...その前にやることがある。私は、手元にあった紙袋から物を取り出す。


「おーい、岩森起きなよ。」

芳村がゆさゆさと私を揺らしてきて、目が覚める。


「うーん、おはよう...そして今日も一日お疲れ様でした」


「結局寝ちゃうのね...いいから、起きなって」

そう言って、芳村に起こされる...眠いのか知らないが、頭が少し重たい。


「うう、芳村...運転ありがとう...」


「いいよいいよ。今日は疲れたし、帰ろうか」

そうは言っているが、今の芳村は疲れたというより嬉しそうに見えたが置いておこう。


「それじゃあ、お疲れ様」

そう言って、約5分で家に帰る。

鍵が掛かってないので、親か姉が居るのだろう。


「ただいま...」

返事はない...と言うことは、上かな、2階に上がり、姉の部屋に向かう。


「失礼するよ。」

そう言って、姉の部屋のドアを開けると、姉がいた。


「ん、学校行ってたの......ん??」

姉の反応が変だった。


「なんか。あった?」

そう言っていると、姉が携帯を私に向け、写真を撮り始める。


「え、ん?なに?」


「え?あんた、イメチェンしたの?そのリボン、似合ってるわよ。」


「え?リボン」

そう言って、髪を触ると、布の感触がする。

その布を取ると、芳村が買っていたリボンをかなり小さくした物が取れた。


「お姉ちゃん、嬉しいわ。」

そう言って、涙を拭く動作をしている。

私は、私で頭がオーバーヒートしそうだ。

姉から逃げ、自室へ逃げ込む。

芳村に連絡しようと思ったが、連絡先を交換してないことに気が付き諦める。

鏡の前に立ち、リボンをつける...凄い恥ずかしいけど、芳村が買ってくれたんだし、着けないと可哀想だよね。

そう言えば、芳村が渡してきたプリントってなんだったけ。

そんな、感じで私の高校生活初のゴールデンウィークは終わりを告げた。


ピピピピピピ...ガチャ

目指し時計がうるさい。朝弱いんだし、揺れるベットが羨ましいと思いながら、ベットを後にする。

いつもより、40分も早く起きたので眠たい。

いつも通りの朝の準備に加えて、髪の毛を整え、リボンを付ける。それを姉に見られて、眼福だわーと言われたのは置いておこう。


髪を整えるのもあるが、今日40分早く起きたのには、もう一つ理由がある。


「...暇ね」

私以外誰もいない部室に声が響く。


「と言うか...私以外の部員全員幽霊化してるって...泣けてくるわね。」そう自分に言い聞かせて、絵を描き始める。


ガラガラと音を立て、部室のドアが開く。

誰なんだろうと思いながら入ってくるのを待つと...


『失礼します。』

そう言って、芳村と岩森が部室に入ってくる。


「あら、2人とも...どうしたの?イメチェン?かわいい」

そう、2人ともお揃いのリボンを付けていたので、来るものがある。やばい、写真撮りたい。


「いや、その、芳村が買ってくれて...」

へ、へぇ。やばい、本気で2人くっついてくれないかなと思った。


「それで、イメチェン報告でここまで来たわけじゃないでしょ?」


「はい、そうなんですよ。先生」

芳村が目を輝かせながら、岩森からプリントを取ってこちらに持ってくる。


えーと、内容は...入部届け...


「先生、私と岩森を情報電子部に入れてください。」


「...あなた達、情報電子部は甘くないわよ。」

そう言うと、岩森がえ?何言っての?って顔で見てくるけど、気にしない。


「はい、分かってますよ。それでも入りたいんです。」

岩森がそう言ってきた。


「そ、そっか、しょうがないわね。いいわ。入部させてあげるわよ。」


「ありがとうございます。先生、私頑張ります。」

何を頑張るのか、知らないけど、頷いた。


「私も先生の役に立てるよう...」

そのまま、岩森が寝崩れていく。


「ちょっと、岩森...しょうがないわね...」

倒れた岩森を救出しながら、見た空の色は蒼かった。


HKN先生が岩森を救出している時に携帯にメッセージが来た。

なんだろうと、思いメッセージを開くと内容は


「SF初戦、地方大会第1戦、日程決まったよ。日程は来週の日曜日だって。」と言う織田ちゃんからのメールだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ