↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SF  作者: 真夜
PR
10/14

SFと改革の初まりの中間

蒼い空の下、長いストレートコースに18台の車が並んでいる。

SFは開始45分から15分前までの30分間は一般参加者などと交流するフリータイムが設けられている。

この時間を使って、学校のアピールや、取材などを受けるらしい。

勿論、我が校のスープラも取材を受けたし、今でも長蛇の列が出来てるぐらい、人気のあるブースになっている。

しかし、私や葵ちゃんなどに用事がある訳では無い。


パシャパシャと撮影音を奏でながら、はい笑ってーとか、ほかのポーズお願いします。と注目の的になっている二人がいた。


「朋ちゃんと加奈江ちゃん、人気ですね。」

葵ちゃんが、可愛いっていいながら、様子を見守っていた。


「2人とも、可愛いですからね。眼福です。」

そう言いながら、あ、紅茶いります?と、けんちゃんがティータイムに入ろうとしていた。


まぁ、2人ともが言う事は、正しい。

芳村と岩森って何となく、姉妹感が出てるんだよね。

それに、2人とも、めちゃくちゃ可愛いと断言出来る可愛さだ。

その2人が、お揃いの衣装を着ていると、そりゃ、人気出るわな...並んでる人の考えがわかるよ。


しかし、今さっき、けんちゃん、ティータイム入るとか言ってたよね?

あ、あれ?今からSFだよね?何この緊張感のなさ。


芳村と岩森は、学校の良さを伝えるために...頑張ってくれてるようだ...しかし、私を含む他4人は...そう、英気を養っていた。


「あの、葵ちゃん?なんか今のうちにやることないかな?」

流石に何もしないのは、アレなので聞いてみる。


「あーお姉ちゃん、私としりとりでもする?」

え?ここ電車内か、なにか、かな?


「そ、そうじゃなくて、もっとこう...」


「え?私とポッキーゲームって?は、恥ずかしいな...」

あ、葵ちゃんが壊れてる...


「葵ちゃん?え?大丈夫?」

そう言うと、葵ちゃんが周りを見渡す。


「お姉ちゃん、他のとこを見てみて。」

葵ちゃんがそう言うので、他のグループを見る。


確かに、他のグループも、私たち同様結構ダラダラしてる。


「お姉ちゃん、ここで作業をするのは、他校に情報を漏らすようなものだから、下手に動かない方がいいんだよ。」


「な、なるほど、計算上の行動ってことかな?」


「そうそう、余程のことがあれば別だけどね。」

そう言って、葵ちゃんは、けんちゃんと、ティータイムに入っていった。

平和だなー、2人とも...まぁ、緊張されてガチガチになるよりかは、余っ程いいけども。


しかし...私は、何して暇を潰そうかと思った。

やることが全くない...イメトレでもしようか...

そう思ったが、私にもしないといけないことが出来た。


「あ、あの...」

後ろから声をかけられる。

振り向くと、中学生ぐらいの子に声をかけられたみたいだ。


「蒼井さんで、間違えないですか?」

薄い青髪の子にそう聞かれる。


「はい、間違えないですけど...なにか?」

何故か丁寧な感じになってしまうが...仕方ない。


「そ、その私、蒼井さんのファンで、さ、サインとか?無理ですか?」そう言って、色紙を渡された。


「え?わ、私の?サインとか...決めてないんだよね...」

人生でサイン書くのって、卒業式以来だなと思い返す。


「え?けど、結構世に出回ってますよ?偽物ですかね」

そう、薄い青髪の子は笑いながら言った。


「そ、そうかもね...うーん、まぁ、頭で浮かんだのでいいんなら...」そう言って、ササッと頭に浮かんだものを書く。


「ありがとうございます。一生大事にしますね。」

そう言って、サインを渡すと、すーと人混みに消えていった。

しかし、自分よく即席で書けたな...結構感動した。


「蒼井ちゃん...流石...モテモテですね。」

織田に話しかけられる。


「い、いや...そうでもないでしょう...多分」


「織田は?なんかすることないの?」

織田は、けんちゃん達みたいに、手を抜いてますよっとアピールすることなく立っていた。


「私?私はしてるよ...頭の中で...踊ってるの」

意味がよくわからなかったが...私達以上に、こういう緊張が張った場になれているのは分かった。


そう思った瞬間に、アナウンスがかかる。


「SF開始、15分前になりました。一般参加者は席に戻ってください。」


「よし、最後の確認に入ろうか...」

そう言った瞬間、今さっきまで、だらけていた、葵ちゃん達の目が本気になったのが分かった。


私達のSFは、いよいよ始まろうとしていた。


「みなさん、こんにちは、SFの実況をさせて頂きます。諏訪と」


「同じく実況させて頂きます、吉川と申します。」

SFの実況は、色々な工業高校の放送委員がやるという、これまた、生徒による解説となっている。


「吉川さん、吉川さんは、どの車が1位をとると想像しますか?」諏訪さんがうまい感じで、実況っぽくする。


「そうですねー私は、やっぱり我が高校、呉工業高校を推しますね。」...完全にアウェイ実況に変わった気がするが...気にしない。


「そうですか、おっと、そろそろ、時間ですね。SFレース開始まで、20秒前...SFは、ローリングスタートなので、はじめの一周が終わってからのレース開始となります。」


そう言うと、遂に、前方にある、シグナルが点灯し始める。

5!4!3!2!1...スタート


全車両、一斉にスタート、そこから、ジグザグ動いて、タイヤを温める。

前方には、RX-9とNSX、すぐ後方にGTOがいる。

希は、レギュレーションにより会話は出来ないが、セッティングは完璧に調整してくれた。

完璧だ...スープラの調子は完璧...

心配することがあるとするのなら...私の力が不安定と言うことぐらいだろう。


間もなく、一周が終わる...

ローリングスタートは、戦術が上手くハマれば、一気に順位を2~3つ、上げられる時がある。

響子は、昔からローリングスタート時に先頭にいると、スタート前に減速し、相手のリズムを崩して、スタートする癖がある。

なので。会えてく間隔を開けて、スタート前に一気に加速する。


「全車今、スタートです。」

その掛け声と共に、強烈なGが体を後ろに押し付ける。


スタートから、第1コーナーに入るまでのストレートは戦闘機発艦で用いる、カタパルトその物。


響子の戦略を知らなかった、RX-9は出遅れる形となり、一気に4位まで、後退。

私は、響子をロックオンしつつ、第1コーナーに入る。

第1コーナーを終えると、緩くうねるコースを疾走する。


第2コーナーはウイリアムズコーナーと呼ばれるR-80のコーナー

で長く、苦しいコーナーだ。

たった、2つコーナーを抜けただけなのに、息が途絶えそうになる。

もう、今までのような気楽さはない...これは...闘いなんだと改めて実感する。


第2コーナーを立ち上がると、またストレートで、モスエスと言う

R-110の緩い揺さぶりが2度くる場所に突入する。


モスエスを抜けると、アトウッドカーブと言う、R45~R75のカーブに突入する。


Gが強く、圧倒的なスピードで景色がチカチカ変わっていく、前を走るNSXは、安定した走りをしていて、私との距離を離している気がする。

空力や車重では、こちらが勝っているはずなのに追いつけない。

スープラの声が聞こえない。


アトウッドカーブを曲がると、約700mの長いバックストレートに入る。


ここでは、銃弾の様に空気を弾くスープラが圧倒的見たいだ、前のNSXとの距離がぐいぐい縮まってる。

ストレートで距離を縮められるのは、嬉しいがコーナーでは、離される...それは、つまり私が、響子よりも下手くそと言う現実を突きつけられたことになる。

その瞬間、何か道を踏み外した感覚がする。

ぐにっと...何かが歪み始めた...そんな気が...


負けたくない...

負けたくないなどの、強い意志はモチベーションを高く保てるので、心に秘めておくと良いと聞いたことはある。

だけど、私はこの感情を切って...無感情を選んだ...

バックミラーを見ると、蒼い瞳が輝いている。


コーナーを下手にしないために...負けないために...

蒼弾を心に装填する。


バックストレートが終わり、R-25のコーナーを抜けると

リボルバーコーナーそして、それを抜けるとすぐに、パイパーコーナーとほぼ2連続コーナーに突入する。


恐怖が抜けた事によって、時速200kmは余裕で出せるマシーンに乗っても、怖くない、カーブなども容易いものだ。

...これなら、すぐにでも、NSXを追い抜かせる。

私が、スープラや、視界から伝わる情報は、どこかで強制的に破棄されている感じがする。


これが、蒼弾の走りだったのかもしれない。

無感情で、何も聞こえない、何も感じない...孤独な走り屋...そっちの方が、レースなどの結果は勿論いいだろう、何も背負わないから、気は楽だし、同情もしなくていい。

そうか、このNSXに同情する義理はない...勝てばいいんだ。


プロの世界で、車同士のクラッシュは、結構あること、仕方ないことなんだ、あれは、同情する暇がないからお互いが突っ込むだけ、自分は相手が勝手に避けてくれると信じ、相手も全く同じことを考えてぶつかるんだ。

お互いの共通認識としては、この有利なポジションを渡すぐらいなら...身を捧げようと言った感じなんだろう。


優を切って利を建てる。

響子だろうと、お構いなく...行かせてもらうよ。

そう考えた時、硝子の様な物が割れた音がした。


「君はそのルートを選ぶんだね?」

誰かがそういった気がした。



会場内は熱狂していたが、私達、東雲工業高校のピット内は、呆然としていた。


「蒼井ちゃん、何かあったのかな?」

朋ちゃんがそう言うのも分かります。


「お姉ちゃん...攻めすぎだよ...」

まだ、ラップ数は18ラップしか経っていない。

ようやく、レースの3分の1が終了したばかりなのに、今のレース内容は、終盤戦の様なドッグファイトになっている。


「あれじゃあ、体力が持たないよ、多分」


「織田さん、その通りだと思いますよ。」

レースは、普通に走るだけでも、時速200km~300km強のスピードにほぼ毎秒付き合わないといけない。

それに、きついカーブや、いつかは暴れるタイヤ...色々な事と向き合って走らないといけない。

それに、ドッグファイト時は、相手がどこのラインを取るか...相手より速く走るには...などの心理戦。

スリップストリームなどを駆使した、技術戦がプラスされる。


スリップストリームは、相手を風避けにし、スピードを出すテクニック。

メリットは相手が風避けになるので、当然速くなる。

しかし、メリットだけでは無い。

通常、車のエアロダイナミクスは普通に風を受けた時を想定して、セッティングされている。

それが、相手が風避けになっているおかげで、本来の効果を得られない。

更に、相手が風避けになっている故に、水温が下がらない等のデメリットもある。


つまり。スリップストリームは両刃の剣、今さっきからお姉ちゃんは、スリップストリームをしては、サイドバイサイドをして、相手の集中を斬っている。

だが、空気が当たらないので、恐らくタイヤの摩耗は激しいだろう。

どっちのコンディションが先に斬れるか...

恐らく、お姉ちゃんの方が先に斬れてしまう。


「お姉ちゃん...お姉ちゃんはどのルートを選んだの?」

私は、ボソリとそう言った。


身体を回る血が熱い様な冷たい様な...

レギュレーションで、付けないといけないHパターンのミッションのシフトノブの硬い感覚と、アクセルなどを踏む脚が重くなってる感覚が頭に入ってくる。

これは...間違えない...頭も上手く回ってないし、体も結構疲れている。


しかし、私の体が疲れているだけなら、まだ良かったろう。


ビィービィーと言う異音が耳に入ってくる。

慌てて、音のなる方を見ると、水温がレッドゾーンに入っていた。

オーバーヒート...攻め継の代償が来た。

タイヤを養って走っていなかったので、タイヤも酷い有様だ...

カーブを曲がると、ふにゃっと来る感じに恐ろしさを感じる。


「あれ...なんで、怖いって思うんだろう...」

今さっきから変だ...怖いやら、危ないとか...全然感じてなかった感情がいきなり入ってくる。


後ろをから、シャーーァという音が聞こえる。

バックミラーを見ると、R36の水素エンジン搭載車が迫ってきている。


まずい、NSXには差を広げられ、R36には、距離を縮められる。

リズムが...崩壊して行くような...旋律が崩れていく。


「お姉ちゃん...次のラップにピットに入って...」

ピット内から、連絡が入る。


「あれ?もうピットインしないといけないっけ?」

ラップ数は20ラップ、私達のプランでは25ラップぐらいで入る予定だった。


「お姉ちゃん...そのタイヤじゃ、もう無理だよ。」

葵ちゃんに核心を突かれたので、反論できない。


「分かったよ...次のラップでね、りょーかい。」

そう言って、取り敢えず、R36に抜かれないように...NSXに少しでも追いつけるように、走る。


だけど...響子なんであんなに速いの?

響子の速さは圧倒的だ、あんなに攻めても崩れないし、なんで?昨日の夢は...予知夢だったのだろうか。響子に負けるという。

前を走るNSXは、安定している。規則正しくリズムをとるメトロノームの様だった。

そう思っていると、レッドマンコーナーを迎える。


レッドマンコーナーはR-30のコーナーでそれを終えると、またR-30のホッブスコーナーが連続している。


私は、インをガン攻め出来るぐらい練習したんだコーナーだ。

だが、響子は、アウトから進入していく。

なんで?と私もワンテンポ遅れて、コーナーに進入する。

コーナに入るとビシャビシャと音が聞こえる。

刹那、タイヤのグリップが一気に減衰する。

...これは、水素エンジンから吐からる水が溜まってる?

超速乾性のアスファルトだが、寿命が来ているのだろか?

取り敢えず、水捌けが悪くなっているんだ。

響子は、それを瞬時に危険と判断して、回避したんだ...

どこまで、冷静なんだよ...響子。


レベルが違いすぎるなと思い...ピットに入っていく。

東雲工業高校のピット番号に入ると、目の前の信号機みたいな物が、赤く光る。

赤い間は、作業中ということを表していて、青になると、作業終了を意味し、発進OKという事らしい。


エアーインパクトのギュイイーンと言う音が4方向から聞こえてくる。

そして、後ろの方からは、プッシャーという音ともに、ガソリンが高速で入れられる。

目の前の、シグナルが青に染まる。


「お姉ちゃん、そうぞうだよ。」

そう、葵ちゃんに言われたような気がするが、今は1秒でも早く、戦線に復帰しないと、とアクセルを踏んで、ピットを後にする。


後ろから、車が来ていないかを確認するために、バックミラーを見ると、私の目の色が茶色に戻っていたことに気がつく。

蒼弾が強制終了されたのだろうか?だから、怖さとかがいきなり、来たのか...と振り返りながら戦線に復帰する。

誰よりも早いピットインのせいで、順位はほぼ最下位まで後退していた。


各校、ピットにそろそろ入る時間が近づき、32ラップを突入する頃には、全校ピット作業を1回は済ませたと放送された。

その間、私も元の2位にポジションを上げた。


前には、ベストコンディションで復活した、NSXが居る。


34ラップ突入して、ピット内でトラブルがあったのか、第1コーナーで周回遅れに遭遇した。

先行している、NSXが大きく減速する。

恐らく、周回遅れの車のマフラーから出される水で、リズムの波長が合わなかったのだろう。


周回遅れをお互いパスして、私は、響子との距離を大きく詰めることが出来た。


今さっきの、出来事から私は、予測を立てる。

響子は、規則正しいリズムを打っている。だから、後ろや、横からアクションを起こしたところで駄目なんだ...

一度通った、メトロノームにバグを付け足しても、何の意味も無い。

響子のメトロノームの針が通過するまでにバグを作らないと、この勝負...勝てない。


だけど、さっきのは、運が良く、周回遅れが来てくれたから、リズムが崩せた。

しかし、響子の後ろにいる、自分が響子を揺さぶるために、前もってトラップを仕掛けることは、ほぼ不可能に近い。


今日、34回目のレッドマンコーナーに突入する。

ピットインした時に確認した、水溜りは今も健在だった。

響子も私もアウトから進入する。


響子は、今さっき、周回遅れから、水を直で吹かれたから、大きく減速した。

それに、響子の乗っている、NSXは赤色...あれ...これ3属性の定理的にも、水が苦手なんじゃ...

三属性の定理は、別に関係無いとすぐに訂正するが、響子って、私より、水のある路面に慣れていないのでは...と思う。


この予想にすべてを託す。

そう思った瞬間、ガチャっと何かが、装填された感じがする。


早く仕掛けないと、手遅れになっちゃう。

こうして、私のメトロノームのバグ作りが始まった。


「さて、レースも遂に、10ラップを切りました。今のところ、広島国際工業高校が圧倒的ですね。ところで、ガソリンエンジン搭載車が1、2位を走行していますが...吉川さんどう思いますか?」

放送席で、観戦している、私と吉川さんは、席を立って放送するほど、このレースに興味を持っている。

熱い...この闘いは...かっこいいなーと感動しているんだ。


「そうですね...やっぱり、我が高校も含めて、ですが、ガソリンエンジンは危険ですが、それ故に奥深く、その深さに浸かれば浸かるほど、水素エンジンより、ポテンシャルが引き出せる。そういう物じゃないんですかね?」


「なるほど、つまり、吉川さんはガソリンエンジンの方が性能が良いと?お考えですか?」


「違いますね...私は、水素エンジンの方が性能はいいと思います。ちょっと、今さっき言ったことと、矛盾してますよね。」

吉川さんが苦笑しながら、そう言ってきた。


「は、はい...詳しく聞いてもよろしいですか?」


「最近の車で言えることですが、今の車は、そんなに改造しなくても、かなりいい走りができるようになってますよね。」


「はい。高性能で安価なサスペンションや、燃焼効率の見直し、高品質ベアリング化などで、最近の車はスポーツカーは改造しなくても、めちゃくちゃ速いですよね。」


最近の車は、改造するところがない...その通りだ。

実際私達の学校、高知県立工業高校の、MR-2Hは、590馬力に馬力アップと、軽量化しかしていない。

と言うか...それ、しかすることが無いのである。


「はい、それ故に、改造するところが少なくなって、ポテンシャルを引き出せ無いでいるんじゃないんですかね?」


「な、なるほど...」


「私は、別にそれを馬鹿には、してないんですよ。だけど、ガソリンエンジンって、改造するところは、無限大にあります、昔は出来なかったことも今の技術なら可能になる。その可能になったことを1つずつ、丁寧にこなしていくと、ガソリンエンジンは水素エンジンを喰える存在に進化すると思うんですよね。」


「なるほど、過去と現在技術の融合ってことですか?」


過去と現在の技術融合...考えただけで、血が騒いだ。

私達は、その融合を可能にする力を持っている...

嫌、許されたんだ...今の技術によって...


その、融合へ踏み出すか...それとも殻にこもり、テンプレートで行くか...決めるのは自分だ...私は、テンプレートへ行ってしまった。

それが悪い事だとは思わないし、思いたくもない。

だけど、未知の領域へ行ける、吉川さん達が...羨ましいな...

心のどこかで、そう思った。


「はい、日本は進化する国ですからね、半年もあれば、最新鋭は旧式に成り下がります。その変化の中で、どうやって抗うか...それを考えるのって、私大好きなんですよね。」


「ガソリンエンジンと言う、抗えないハンデの中で、どうやって対抗するかを考えると楽しくなる...ですか。」


「はい。そうです。そのハンデに抗ったものが、今先頭を走っている、2台なんじゃないんですかね。」


吉川さんに、そう言われ、先頭を走る、紅のNSXと、蒼く輝くスープラを見る。

なんと、言うか...凄いなと思う。

ガソリンエンジンの排気音は、煩い...だけど、その音が聞こえる度に、鳥肌が立つほど気分が高揚する。


「ふふ、そうですね、そうやって見ると...とても、綺麗ですね。先頭の2台とR32は。」


「はい。」

そう雑談しながら、今さっきから、何とも言えない、胸騒ぎがするのでコースを見る。

まだ、諦めてないんだろう?

東雲工業高校のスープラから、何かを仕掛けようとする気が、ビリビリと伝わってきた。


後、9ラップ...何を見せてくれるのかな?

そう期待して見た、スープラは蒼く輝いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。