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ほのぼの5! ざっかやさん おかいもの!


「どうしようか……」


 値段を聞いた俺たちは、少しその場で家族会議をすることになった。


 ちなみに、ロココさんは値段を答えたあとどこかに行った。おそらく、俺たちに気を遣ってくれたのだろう。お客さんの気持ちが分かるいい商売人である。


 一番高価な魔法のカバンは20万円。収納数が他のより段違いに多い1000個という収納数に、カバン自体の大きさは、肩掛けバッグほど。いや、収納数多すぎでしょ! 誰が使うん? と思ったのは、俺だけではないはず。

 と、これは一番高い値段であって、これより遥かに劣るが、一万円以下のお手頃価格で収納数は50個とか30個とかのカバンもある。


 ただ、俺たちが悩んでいるのは、カバンの能力ではなく、カバンをいくつ買うかという事だった。

 もちろん、俺は買うとして、ハナもカバンを買うと言った。すると、子供たちも魔法のカバン欲しいと言い出したのだ。


「でも、子供たちが持てるようなカバンは小さいし…」


 と、ハナが言う。そうなのだ。子供たちが持てるような、カバンは必然的に小さくなるので、値段も上がるのだ。

 ちなみに、俺が買うと決めているカバンは、お値段は9千円ほどのリュックサック型。収納数は50個のカバンだ。ハナは、今も使っているようなマザーズバック…手提げでも持て、肩から掛けて持つことが出来るカバン…お値段は1万2000円ほどで、収納数が30個ほどのものが欲しいらしい。


 これに子供たちのカバンを3つ買うとすると、一人1万円と考え、3万円。家族で合計すると5万円を超えることになる。俺たちが必要なものを揃えるのに、予定していた金額は全部で10万円ほど。ここで、半分も使ってしまうのは、少々…どころか、かなり懐に痛い。


「うーん…」


 と、俺たちが悩んでいると、ロココさんが戻ってきた。


「ずいぶん。迷っているようね」

 と、笑いながら戻ってくるロココさんに、はい…と恥ずかしながら俺は言葉を返す。


「はい。これ! 奥にしまっていた在庫を持ってきたわよ。子供たちに丁度いいんじゃないかしら」

 と、ロココさんが渡してきたのは、子供用のカバンだった。


「前にね。子供たち用に作ったのが、残っていたみたい。型も少し古いし、子供たちのは、この中から3つで一万円でいいわよ」


「え? 良いんですか?」


「いいのいいの。裏で在庫になってたものだから。カバンも使われないより、使われたほうが嬉しいのよ」


「じゃあ、お言葉に甘えて…ありがとうございます」


 それから、子供たちが各々、カバンを選んで、ようやく次のコーナーに進むことが出来た。


 フタバとミツバが選んだのは、ポシェット型のカバンで、イチノスケが選んだのはリュックサック型のカバンだった。収納数は、全部同じ20個だった。


 次のエリアは財布コーナーだ。

 ここでも、またカバンの時と同じく、財布選びで時間を費やすこととなった。

 理由は言わずもがな、財布の機能が凄いので家族全員の財布を買う事になったからだ。


 それから、色々と必要な物を見て回り、最後に雑貨屋の裏手にある園芸…畑エリアへとやってきた。


 そう、忘れてはならないが、俺たち家族がこの村にやってきた理由は、あくまでも農場を経営するため。

 ここのエリアでは、今後育てる、俺たちの収入となる作物を探さなければならないのだ。


 畑エリアは、作物の種を始めとして、花の種、木の苗など様々な植物、そして、肥料や土、畑道具といったものが売られていた。


 畑道具は、村長の厚意で、家と一緒に一通りそろっていたので、俺たちはまず、作物の種コーナーへと向かう。


 そして、春に育てられる作物を見ていくが……。


「何を買っていいか、全然分からない……」

「そうだね……」

「そう……」


 こちとら、都会生まれの都会育ち。学校の教育の一環で、野菜を育てたことはあるが、それはもうずいぶんと昔の話。元の家もマンションで、とても植物を育てられる環境ではなかった。


 俺たちはどの作物がどう育てやすいのか、どう育てればいいのか、まったく知識が無かった。


 とりあえず、ロココさんに聞いて、初心者でも簡単に育てられるというカブとラディッシュの種を1袋…10粒入りをそれぞれ買う事で終了した。

 というか、カブとラディッシュの詳細すら分からないのだが……。いや、白いものがカブで、赤いものがラディッシュということは分かるが、具体的なことは分からない。これは、あとで猛勉強だな…。



 と、俺たちが園芸エリアをあとにしようとすると。


「パパー見て。キラキラ」

 と、フタバが俺の袖を引っ張って何かを見せてきた。


 それは、青いキラキラした丸い石のようだった。


「ってこれ。魔石じゃん」

「あ、水道代わりの!」

 と、俺の言葉にハナがポンと納得したように手を叩く。


「いや、フタバ…。どこから取ってきたのさ…」


「あっち」

 と、フタバの指さす方向には、いつの間にかいなくなっていたミツバとイチが。

 二人とも、カゴに積まれている石を興味深そうに見たり、触ったりしている。


 こらこら。


 人様の商品で遊んじゃいけません。


 と、三つ子たちを注意しながらも、俺も興味が惹かれたので魔石を見ていく。


 赤、青、黄色といった魔石が無造作に積み上げられたカゴには、一つ1000円! と紙が貼られている。


 大体この魔石一つで、一か月は持つそう。いや、普通の一般家庭、4人世帯ぐらいで一か月の水道光熱費を計算したとしても、2万5千円くらい…。それと比べても安すぎる。

 これを知ったら、全国の家庭は、みんなこの村に引っ越すのではないだろうか。


 ちなみに、魔石にも質があるそうで、ここにあるのは、売り物になる範囲、最低価格の魔石とのこと。質が良い魔石は、魔力を入れ替えれば何回でも使えるものもあれば、普通の魔石よりも長い間魔力を放出することが出来る…要は、長い期間使える魔石があるとのことだ。


 そんなこの村では、一般常識なことをロココさんに教えてもらいつつ、青色の魔石を三つほど買った。


 一つは、家の外の蛇口用であり、残り二つは予備である。まぁ、子供たちが三人いるから、一人ずつ持てるようにという事もあるが。



「お会計は6万7284円です」

 と、言うロココさんに、俺は、マネさんから貸してもらった財布から、予め入れて置いたお金をイメージして取り出す。


 すると、何度見ても不思議だが、イメージした金額通りの魔法の紙が出てくる。


 俺はロココさんにそれを渡しす。


「ありがとうございます」

 と、ロココさんは、お金をレジに入れようとすると、途中でお金がレジに吸い込まれた。

 うん。レジは普通なのか…と思った俺だが、どうやら、レジも財布と同じ機能が付いているらしい。


「領収書は明日、自宅に届けますね」


「え?」


 と、ロココさんの言葉に思わず聞き返す。 


「あ、この村のお店では、そういう決まりになっているんです」


 何でも、一日の収支を計算しやすいように、まとめて、紙で送ってくれるのだそう。

 便利と言えば便利なのか。レシートを何枚も計算して家計簿を書かなくてもいいし。


 まあ、村の人口が少なく、誰がどの商品を買ったか分かるからこそ出来ることだな。


 さらに聞くところによると、一日に何回この店で買い物しても家に届く領収書は一枚という事だ。


 この村は、魔法的なことではなくても、住みやすい環境であるらしい。


 魔法のお金によって、お釣りもないし。





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