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ほのぼの4! あいさつまわり ざっかやさん!



 食堂をあとにした俺たちが、次に向かったのは、病院である。

 すぐに雑貨屋に向かうことも検討したが、雑貨屋では、生活道具を多く買わないといけないので、挨拶回りを先に終わらせることにした。



 用もないのに、病院に行ってもいいのかと思ったが、小さい村なので、住人とのコミュニケーションは重要になってくると思い、挨拶してすぐに退出しようとハナと話し合って決めた。


 村長から聞いた話では、病院にいる人たちは、夫婦で医者と獣医をしており、さらにおばあさんが薬師をしているらしい。



 結論から言うと、病院には薬師であるおばあさん、コローさんしかいなかった。おばあさんの孫、医者であるダビッドさんは、学会で今は村を離れており、ダビッドさんの奥さんである獣医のアングルさんは、村の人の飼っている牛がちょうど出産中のため、そこに立ち会っているらしい。


 コローさんも優しそうな人柄で、子供たちはアメ玉を貰っていた。

 ちなみに、見た目はフクロウだった。動物好きのうちの妻が言うには、正確にはミミズクらしいが、俺に違いは分からない。




 病院をあとにした俺たちが次に向かったのは、動物屋さん? だ。

 村長がいうには、犬や猫などを始めとしたペット、牛や豚などといった家畜、または、それに類するエサや必要な道具などを売っているところらしい。


 今のところ、動物を飼う予定はない。が、家の設備を見れば後々飼うことになるんだろうと村長の思惑に嵌っているなと思いつつ、余裕が出来てきたら飼ってみたいと思う自分もいる。


 そんな事を思いながら、動物屋さんの扉を開く。


「はーい。いらっしゃいませー」

 カランコロンとベルが取り付けられている扉を開くと、奥の方から女性の声が聞こえた。

 そして、中年の女性がパタパタとやって来た。


「どうも。この村に新しく引っ越してきた木村です」

 と、俺はその女性に自己紹介をする。ちなみに、ちゃんとした人である。


「あらーわざわざありがとう。私はフェルメールよ。よろしくね」

 と、言ってフェルメールさんは、握手を求めてくる。


「こっちが、妻のハナです」

 俺は握手に応じたあと、隣の妻を紹介する。


「よろしくお願いします」

 そして、ハナはぺこりと頭を下げた。


「ハナちゃんね。こちらこそよろしくね」

 と、フェルメールさんは、また妻に握手を求めてくる。


 それが終わるのを待ち、俺は子供たちを紹介する。


「そして、こっちが僕らの子供たちの……」

「フタバです!」

「ミツバです…」

「イチノスケです」

 と、言い終わる前に、フタバが自己紹介を始めたので、それにつられてミツバとイチノスケも挨拶をした。


「あらー。三つ子ちゃん? 可愛いわねー。よろしくねー」

 と、フェルメールさんは、子供たちの頭を一人ずつ撫でて握手をしていた。


 ブラックさんたちもそうだったけど、この村は最初に握手をするという習慣があるのかもしれない。


「うちは、あと夫と息子が二人いるんだけど、三人とも出かけているわ。夫は漁師だから、いつも三時には帰ってくるんだけど…長男は、獣医見習いでね。アングルさんと今、シャガールの所の牛の出産に行っているわ。次男は、ここの手伝いをしているんだけどね、今は配達に行っているの」


 フェルメールさん以外の家族は留守なのか。

 うーん。結構、会えない人たちもいるな。俺たちの訪れる時間が悪かったのかな。


 と、思いつつ、少し雑談をしてから、俺たちはフェルメールさんの動物屋さんをあとにした。





「学校は今、先生が出張でいないって村長が言ってたよね」


「そうだね。それに、もう主要なところはほとんど回ったみたいだし、雑貨屋で買い物して帰宅してもいいんじゃないかな」

 俺の問いにハナが答える。


「じゃあ、雑貨屋にいこうか」

 と、俺たちは雑貨屋へと歩き出す。


 ちなみに、学校の話だが、大きな学校ではなく、一人の先生が教えている個人塾のようなものだと村長が言っていた。それに、一応小学生から高校生までを対象としているが、特に年齢制限はなく、下は言葉が話せれば、上は大人まで、学校に通えるのだという。一定の期間だけ学ぶことも可能らしい…。うん。それはもう学校といえるのかどうかも怪しい。



 雑貨屋と書かれた看板のある家の扉を開く。


「いらっしゃいませー!」

 と、これまた女性の声が聞こえた。

 そして、陳列棚の後ろの方から小柄な女性が出てくる。


「どうも。新しくこの村に引っ越してきた木村というものですが……」


「あら! あなた達が木村さん! ちょっと待っててね。今、主人を呼んでくるから」

 と、女性は、ミロさんと同じパターンで、旦那さんを呼びに行った。



「これはこれは。どうも。私が主人のバロックです」

 と、出てきたのは、この村で初めてみる、普通の人間の男性だったと、


 良かった…正直、普通の男性はいないのかと内心ドキドキしていたのだ。いや、一応、村長のお孫さんのレオ君は男の子だったが、俺と同じ年ぐらいの男性はまだ見ていなかったから、この村の男性は全員が動物なのかと心配してたのだ。


「そして、こっちが妻のロココと息子のワトーです。」

「よろしくね!」

「よろしくお願いします」

 と、先程バロックさんを呼びに行った女性、ロココさんが挨拶をして、奥から一緒に出てきたワトー君が丁寧にお辞儀をした。


「木村ユウゴです。これからよろしくお願いします」

「妻のハナです」

「フタバです!」

「ミツバです…」

「イチノスケでう…」

 俺たちも同じように、順番に挨拶をする。今日は何回も挨拶をしているのに、イチノスケは最後噛んでしまったが。


 と、それから少し雑談をした後、俺たちは買い物をすることにする。


 実は、このお店を経営しているのは、奥さんのロココさんのほうで、バロックさんの本職は、魔法道具職人とのことで、お店の案内はロココさんがしてくれることになった。

 魔法道具職人って何ぞや。



 雑貨屋さんの店内は、結構広く、色々な種類の商品が並べられている。洋服から始まり、日用品やちょっとした小物類、釣り竿や道具類、野菜の種や肥料などといった畑道具まで様々だ。


 とりあえず、俺たちは日用品コーナーから回って、必要なものを買い足していく。


「そういえば、ハナちゃんたちはカバンは持ってる?」

 日用品コーナーのカバンが並べられているところまで来ると、ロココさんが尋ねてきた。


「カバン? カバンなら持ってますけど……」

 妻が頭に疑問符を浮かべながら、ロココさんに肩掛けバッグを見せる。


「ああ。そうじゃないの。魔法のカバンよ」


「「魔法のカバン?」」

「「「魔法!!!」」」

 俺たち夫婦が首を傾げて反応すると、魔法と聞いた子供たちが一斉に目を輝かせた。


「そう。一定の数だけ、どんなモノでも収納できる魔法のカバンよ」

 と、言ってロココさんが近くに陳列されているカバンの一つを手に取った。


 説明を聞いたところによると、某マンガの…青い猫型ロボットのポケットのような機能を持ったカバンだった。

 何でも、カバンの裏地に、魔法の糸で魔法陣が刺繍されており、カバンの見た目に関係なく、モノを収納できるとのこと。また、いくつモノを収納してもカバンの重さは変わらない。収納量は、カバンによって違いがあり、やはり、収納数が多く出来るものが高く、収納数が少ないものが安いとのことだ。刺繍の関係上、小さいカバンは刺繍も細かくなり値段も上がるそうで、つまり、カバンが小さくて収納数が多いほど、値段は高くなるという事だ。

 ちなみに、バロックさんの魔法道具職人というのは、こういう、魔法が使われている道具を作る仕事なのだそうだ。なるほど……ファンタスティックな仕事だ。



 そして、この魔法のカバンが、凄いこと、便利な事に変わりはない。

 結論から言えば、超買いたい。買いたいのだが……。


「ロココさん…失礼ですが、お値段はどのくらいなのでしょう?」

 と、俺が聞きたかった事を妻が言ってくれた。









魔法のカバンはお約束!

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