ほのぼの48! 家族会議②!
「まさか、この村がこんなに安全だったなんてね……」
まだ驚きから思考が止まっている俺をよそに、ハナがポツリと言った。
「そうよ。だから、これを機にあなた達は少しでもいいから子離れをしなさい」
「子離れか……」
確かにな……今はまだ子供たちが小さいから良いけど、もちろん、これから子供たちもどんどんと成長し、大きくなっていく。その過程で子供たちは色々なことを学び、失敗し、成長していくだろう。しかし、親の俺たちが子離れしないことで何でもかんでも子供たちの代わりに解決してしまうと、子供たちの失敗の機会を学べる機会を奪ってしまう事になりかねないんだよな。
「よし分かった。ルルがそこまで言うなら俺も子離れする」
「お! よく言ったわねキムラ」
「……ように善処する」
「ガクッ。もうユウ君ったら!」
「まぁ、キムラならそんなもんでしょ……」
だって、子離れって言ったって子供たちもまだまだ幼いし、可愛いお年頃だし、もう少しもう少しぐらいパパと一緒に遊んでくれてもいいだろ!
「まぁでも、ルルが言った保護者1人につき子供たち1人で作業する案とか、前の留守番の時みたいに子供たちをルルに見ててもらうってのは全然アリだし賛成だよ」
「そうね。私もそれには賛成かなー。ルルちゃんその時はよろしくね」
「もうキムラはどっちなのよ……でも、私が言い出したことだし、その点はキッチリと役目を果たすわ」
そう言ってルルは、背中の羽をバタつかせながら空中で一回転をし、自らの胸をポンっと叩いて見せた。
「よし、これで話もまとまったし主題を元に戻そうか」
「そうだな。えーと、赤字対策の話だったよね?」
「そうね。1日単位の赤字を無くすために、なにかアイディアがあったらだして欲しいな」
と、ハナがまた改めて議題を言う。
そうだな……。
簡単に言えば、手っ取り早くお金が稼げる方法だよな……。
「子供たちもなにかあるかな?」
俺が手をあごに当てて考えこんだのを傍目に、ハナがさっきまで難しい会話で暇そうにしていた子供たちにも聞く。
「はーい! フタバあるよ! あのね虫捕りするの!」
すると、早速フタバが大きく手を挙げて答えた。
「なるほど、虫捕りね……」
確かに、虫捕りなら少額ではあるが出荷箱に入れるとお金にはなるし、もし運が良ければレアな虫も捕れる可能性があるな。ただネックなのは、そんなに虫が捕れないことと虫を探すまでの労力がな……大変なんだよなぁ。
「ミツバは何かアイディアある?」
フタバがアイディアを言ってくれたので、ハナが次はミツバに聞く。
「うーん、お料理……?」
ミツバは、首を傾げながらも答える。
「そうだな。料理もあるな……」
ミツバの答えに俺は呟きながら頷く。
確かに、料理して出荷すると若干だけど価値は上がるな。でも、やはり使う食材が多くなってくると原価も掛かるし、何より原価分の価値になるとは限らないんだよな。うちのご飯の残り物を出荷するって手もあるけど、うちは家族が多いから基本ご飯は残らないし……って、それはハナちゃんの作る食事配分が凄いのか。
「イチはなにかある?」
フタバ、ミツバと来たので次はイチにハナは質問する。
「うーん、釣り!」
一瞬考えこんだかと思うとイチは元気よく答えた。
「そうだな。釣りもあったな……」
確かに、釣りなら……って、俺さっきから『そうだな』と『確かに』しか言ってないような気がする……。まぁいいか。確かに、釣りならこの前のおかしな魚事件のように、釣れたら一気にお金を稼ぐことが出来るな。でも、その反面釣れなかったら、エサ代などで赤字になるというデメリットもあるし、何より初期費用がかかってしまうのが難点だ。
そう俺が考え込んでいると。
「ほらー次はパパの番だよー」
と、フタバ俺の腕の裾を引っ張って言ってきた。
「ん? あぁ、パパはそうだなぁ。畑の面積を増やすとかかな?」
さっきもちょこっとだけ話には出たけど。やっぱり、あの雑草を刈って、もっと作物を育てることが出来ればそれだけ収入も増えるしな。
それからは、みんなで次々と思いつく限りの案を出していった。
スライムハントだとか、パチンコで紙飛行機を落とすだとか、お菓子の木を育てるだとか、肥料水の配合を頑張るだとか、色々なアイディアが出るには出たが……。
「やっぱり、どれもメリットもあればデメリットもあって問題があるんだよなぁ」
「そうね……」
それは例えば、捕まえるのに汚れちゃうだとか、そもそも種が見つからないとか、実験を重ねないといけないため時間がかかるなどと問題は様々である。
「運の要素のものは仕方ないけど、時間がかかることについては、今からでもちょっとずつやっていくしかないな」
アイディアをまとめ考えるに、俺たちの結論はそんなに感じにまとまっていった。
時間がかかること。すなわち、肥料水の配合の実験や雑草刈りでの畑の拡張、どの作物を使って作る料理が一番売れるかの検証など、それはほぼ毎日の作業と変わらないことだった。
うーん、やっぱり、手っ取り早く稼ぐ方法なんてないんだね。
「でも、この村の皆はどうやって生計を立ててるのかな?」
すると、ハナがふと疑問に思ったのか、そんなことを口にした。
「言われてみれば、分からないな……」
みんな出荷箱に入れて出荷したり、バザールで売ったりしてるのは分かるけど、何をどうして生計を立てているのかという事は分からないな。いや、ざっくりとなら分かるけどな。例えば、ブラックさんなら果樹園がメインだろうし、ポロックさんは鶏関連、エコールさんは酪農だからチーズやヨーグルトがメインだろう。
「あら? それならいっそのこと、村のみんなに頼んで手伝いでもさせて貰ったらいいんじゃない?」
すると、テーブルにちょこんと座って聞いていたルルがそんなことを言った。
「確かに……それが出来るなら喜んで手伝わせて貰うけど……。それって良いのか?」
「良いのかって何か悪いことでもあるの?」
「いや何というかその、みんなの今までやって来たノウハウや知識を横から奪うようで悪い気がして」
俺がそんな心配事を吐露する。
「はぁ。もうホントにキムラったら心配性ね……。そんなこと村の誰も気にしないわよ。あんた達がそんな悪い性格がじゃないことは、もう村のみんなが知ってるしね。逆にあんた達が困っているならみんな喜んであんた達に手を貸すはずよ。それにあんた達が真似したって、最初から上手く出来るはずもないでしょう? みんなプロなのよ。素人に教えたところでどうってことないわよ」
「そうか。そうだな……」
それに今だって、ブラックさんには毎日と言っていいほど迷惑をかけているんだ。今更、躊躇したって意味はないよな。それこそ時間の無駄だ。
よし、決めたぞ。
「それなら、早速このあとにでも手伝いの相談をしてくるとするよ」
「そうだね。私も一緒に行って話を聞いてみるよ」
こうして、波乱の……だったかは分からないが、家族会議は終了した。
何故だか、ルルに俺が怒られてばっかりだった気もするけど、ルルもそれだけ俺たちのことを考えてくれてるっていう事なんだと思う。




