ほのぼの27! ふしぎなたね!
土の配合の結果は、明日にならないと分からないので、俺たちは、次に新しく作物を育てるために、畑を耕すことにする。
「むずかしー」
「でも、ふかふかー」
「さくさくー」
と、子供たちも小さいクワをを持ちながら、畑を耕していく。ちゃんと村長は子供たち用のクワまで用意してくれてたのだ。このあいだは、ブラックさんの時間を取らせてもらっている関係上、子供たちは畑を耕せなかったからな。子供たちも大変ながらも楽しそうに作業をしている。
子供たちに合わせてゆっくり耕し半時間程、次は種をまく作業だ。
今回まく種は、カブとラディッシュのほかに、ジャガイモの種、それとダリさんから買った魔法が掛かっているため育つのが早いという大豆の種だ。
俺たちはさっそく種をまいていき、水を掛ける。
「じゃあ、みんなこれをシュッとしてね」
と、赤い肥料水スプレーを渡していく。今植えた作物の種は、肥料水で育てるものだ。こちらも先程の土と同じで、実験的な意味合いが強い。前回のカブとラディッシュは土も肥料も使わずの結果だったので、今回は、肥料水を使ったカブとラディッシュ。土の配合が成功したら、それを使ったカブとラディッシュを植え、それに肥料水と肥料水を使わないパターンの3つを同時並行で進めることにするのだ。
畑も増やそうと思えば、少々手間が掛かりはするが増やせはするし、今回植えた分を除いても、まだ片付けた場所は残っているので、まだまだ作物を植えることは出来る。まぁ、すぐに実験の成果は出ないかも知れないが、今から始めていけば出来るだけ早く実験の成果は出てくるだろう。
「そう言えば、あのプレゼントの種は植えないの?」
と、みんなで肥料水をまき終えるとハナがそう言ってきた。プレゼントとの種と言うのは、狙撃で撃ち落とした種のことだろう。
「忘れてた……」
「どうする? 何の種か分からないまま植えても面白そうだけど……」
確かに、それも面白いとは思うけどな…。だけど、この村の農業の仕組みがそもそも違う限り、ちゃんと育つかも分からないんだよな。
「うーん。今、ちょっとひとっ走りして、村長に聞いてくるよ」
と、悩んだ俺はそう結論を付けた。
「もうハナたちは、家で休んでても良いよ」
と俺は言い残し、村長宅まで走り出す。
敷地を出て、すぐに喫茶店pot&eggの屋根が見えだす。
何故走ってるのかと言うと、先程気付いた靴下の効果を知りたいためだ。体力アップの魔法ってよく考えたら便利だよな…。
全力疾走というわけではないが、軽いジョギングほどのペースですぐに村長の家についた。身体は、やはり少しは疲れているが、久しぶりに走ったにしては、息もあまり乱れてないし、そこまで怠惰感もない。やっぱり、この靴下凄いな。
「おお。なんじゃユウか。どうしたのじゃ?」
呼吸を整えてから、インターホンを押すと、今日はツルの姿の村長が出てきた。
「実はですね――――」
と、俺は事情を説明しながら、種を見せると。
「ほっほっほ。また、面白い種を持っているの。ちょっと待っておれ…」
と、村長が一旦家の中に引っ込んだ。村長は何の種類の種か分かったようだ。
「ほれ。この通りに育てれば大丈夫じゃろう」
と、村長が渡してきたのはメモ用紙だった。それには、どうやら土の配合方法などの育て方が書いてあるようだった。状況から察するに、この通りに育てないとキチンと育たない感じの植物なのだろう。やはり、村長に聞きに来て正解だったようだ。
「結局、この種は何の種なんです?」
「ほっほっほ。それは育ってからのお楽しみじゃよ」
と、俺が聞くと村長にはぐらかされた。まぁいっか。育て方は分かったし、何が出来るかは楽しみにとっておこう。
そして、俺が帰ろうとすると、何かが上から降ってきて俺の肩に当たった。
「なんだこれ? アラレ?」
と、俺に当たって地面に落ちている白いそれを見て呟く。
すると、パラパラとそのアラレのような丸いものが大量に空から降ってくる。でも、その固形物は、色が白だけでなく、赤や青、紫といったカラフルな色だ。
「おお。やはり、降ってきよったな」
と、それを見て村長が言う。
「あ! そう言えば、午後からにわか雨に注意と昨日聞きましたが……」
え? これってもしかして……。
「アメってこの食べるアメが降るってことですか!?」
「そうじゃよ? にわかアメと言えば、このアメじゃろう」
「おぅ……」
天気もファンタジーなのか。やっぱり、何でもありだなこの村は…。もういっそのこと、コーラの雨とかソーダの雨とかも降りそうだな。降ったあとは、その辺一帯むちゃむちゃしそうだが。
「で、お主。畑は大丈夫かの?」
と、俺が帰らずにアメ宿りしていると、村長が言った。
「え? その大丈夫と言うのは……?」
「おぉ言ってなかったか? このアメには、肥料水でいう甘み成分が含まれておるのだが……」
と、村長がそこまで言って理解した。
「つまり、今日の分の肥料を与えていると、植物が枯れるという事ですね……何か対策は…?」
うわ……今日肥料まいちゃったよ……大損害じゃねぇか。
「うむ。アメが地面に溶けきる前にアメを取り除くことじゃな」
と、それを聞いた俺はすぐに家までダッシュである。
「見てみて。ユウ君! 空からアメ玉降ってるよ!」
「「「わー! あめだま! あめだま!」」」
俺が急いで家に戻ると、妻と子供たちは、縁側に出て傘を広げて、それを逆さまにしていた。
なるほど……アメ玉が降る場合は、傘をああ使うといいのか。
「ってそうじゃないよ! 畑にアメ玉が落ちると作物に影響が出るらしいんだ!」
と、俺は走りながらみんなに告げる。
「えぇ! それは大変! みんな! 傘なんか広げてないでアメ玉から畑を守るよ!」
と、ハナも俺が焦っていることに気付き、子供たちに声を掛けた。
「ほら! 畑に植えた種の場所を踏まないようにアメ玉を拾っていって!」
「「「わかったー!」」」
それから、俺たち家族のアメ玉から畑を守れ! 作戦が始まった。
アメ玉を降らせる雲が過ぎ去っていっても、1時間ほどはアメ玉を拾う作業を続けた。ただ、幸いなことに、アメ玉が地面に溶けきるまでには、少々時間が掛かるらしく、おそらく畑に影響は出さずにすべて回収することが出来た。
「いやーもうベトベトだね」
「ベトベトー!」
「ペタペタ…」
「ムチャムチャ!」
と、拾ったアメ玉を袋に詰め、出荷箱に入れたハナがそう言った。子供たちもハナに続いてそれぞれ感想を言っているが、正しくその通りである。今の俺たちの状態は、アメに打たれて全身ビショビショではなく、ベタベタのペタペタのムチャムチャだ。これだったら、まだ普通に雨が降ってくれた方がマシである。先ほどまで、服にも沢山アメ玉が付いていたし。
「まずは、お風呂に入ろうか」
「賛成!」
「「「さんせー!!!」」」
と、俺たちはファンタジーな天気に振り回されながら、今日も1日が過ぎていくのだった。




