ほのぼの20! むじんとうでつり②!
日間ローファンタジー7位と大変驚いております。
今後ともよろしくお願いいたします。
「まずはだな。釣り竿にはランクがあってな。ランクが高いほど、耐久力のある釣り竿となる」
とは、レンブラントさんの言葉だ。
薄々気付いてはいたが、やはりこの村の釣りの仕様も、この村独特なものがあるらしい。
ちなみに、俺たち家族は、釣り竿を持ってないのだが、漁師であるレンブラントさんの好意により、今日は貸して貰えるということで、この釣りに参加させてもらっている。
「そして、この耐久力で釣れる魚の大きさも変わってくる。例えを言うと、耐久力の低い竿で、もし大物が掛かってしまったら、その竿は、その大物に見合う耐久力が無いので、その魚は釣れないし、最悪の場合釣り竿そのものが折れてしまう」
なるほど。狙う魚に合った釣り竿選びが必要というわけだ。
「今回の狙う魚は、小型から中型の魚なので、この竿は精々釣れると言っても大型の小さい魚までぐらいだな」
と言って、沢山並べられている竿を1つ取り、俺に渡してくるレンブラントさん。
「ありがとうございます」
渡された竿は、赤くコーティングされており、ファンタジーな釣り竿ではなく、普通のよく見かけるリールの付いた釣り竿だった。良かった……材料が木で出来た釣り竿とかじゃなくて。
「子供たちはこれだな」
と、レンブラントさんがフタバに渡したのは、子供用の小さい竿だ。ランクはそれほど高くなく、子供たちの力でも魚が釣れるような竿になっているらしい。
子供たちを見守る役目もあるので、俺とハナで竿を1つ交代しながら使うことにし、子供たちは、フタバとミツバで1つ、イチノスケとシュル君で1つずつ交代で使う。
ブラックさんは、シュルの面倒まで悪いなと言っていたが、いつも畑のことでお世話になっているので、これぐらいは何も問題はない。
ちなみに、ブラックさんはベラスケスさんと一緒に、素潜りをしてサザエやホタテなどを狙うらしい。ホワイトタイガーって泳げるのね……。いやでも、ここの住人は、動物でも二足歩行だし普通の動物とは違うからな。そもそも喋れるし…。また違う身体の構造なのだろう。俺が心配するのも無粋なことだ。
「それで、エサについてだが主に4種類。エビに小魚にゴカイ、そしてルアーだ」
ゴカイというのは、ミミズみたいな奴だったはずだ。レンブラントさんが言うには、このエビ小魚ゴカイの使うエサによって釣れる魚の種類も若干変わってくるらしい。ルアーに関しては、万能でこの3種類のエサと同じ種類の魚が釣れるらしい。また、形によってはイカやタコも狙えるとのこと。
「今回は、もう竿に付いているから分かると思うが、ルアーを使う」
と、レンブラントさん。
「あ、ホントだ。エビですか…」
見てみると、釣り竿の糸の先には、小さいエビの形をしたルアーが取り付けられていた。
「気付いてなかったのか…まぁいい。とりあえず、今日はそれを使う」
と、ちょっと項垂れるレンブラントさん。
「ユウ。お前、レンブラントさんのルアーは、ブランド品になってるぐらい。良く釣れるって評判のルアーなんだぞ」
と、素潜りの準備をしながら話を聞いていたブラックさんが俺に言ってくる。
「えぇ自作何ですか? これ!?」
「まぁな」
「え! 凄い!」
と、遅れて凄さに気付く俺たち夫婦。
「だって。これエビにしか見えませんよ?」
「それがレンブラントの凄いところだ」
と、俺とハナがレンブラントの凄さを改めて知ったところで、レンブラントさんは、少し照れながらも説明を再開してくれた。
「まぁ、竿とエサについては分かったな。最後は知識として、他の要素について教える」
と、最後に教えて貰ったのは、魚に関しての知識だ。
魚は、主に春夏秋冬とそれぞれの時期で釣れる種類が違うとのこと。まぁこれは何となく分かる。また、昼と夜でも釣れる魚が違い、夜の方が釣れやすいとのこと。これもまぁ分かる。そして、天候によって魚が釣れる確率も変わり、何故だか天気が悪ければ悪いほど、魚が釣れやすくなり、レアな魚も釣れやすいとのこと。これは…分からない。いや、まぁ天気が悪いと海も濁って魚もエサの判別がつきにくいとかなら分かるけどさ。普通に考えて天気が悪ければ釣りなんてしようとしないだろ!
「ああ。そうだ、忘れてた。釣った魚は、これに入れろよ」
と言って、レンブラントさんがカバンをあさり、取り出したのは、巨大な水槽だった。幅は2メートル、奥行きは1メートル、高さは1メートルはありそうだ。
「生き物カゴに入れても良いが、数が多いと嵩張るからな」
やっぱり、魔法のカバンは便利です。
それから、レンブラントさんに釣り竿の仕掛けの投げ方を教えて貰い、魚釣りを開始する。最初は俺からで、ハナには子供たちを見てもらっている。
無人島はゴツゴツとした岩場が多く、少々高さのある岩を見つけたので、そこから海へと仕掛けを投げ込む。
「来た!」
開始10秒。魚がヒットした。
ググッと、釣り竿がしなり、魚が逃げる感触が手に伝わってくる。
「慌てず、ゆっくりとリールを巻いていけよ」
と、隣にいるレンブラントさんからアドバイスを貰いつつ、俺はリールを巻いていく。久しぶりの感覚に、俺の鼓動も高鳴っている。
「よーしもう少しだ。いいぞ、そのまま上げてくれ」
と、レンブラントさんが網を出して魚を待っている。
魚はもう水面で泳いでいるのが確認できる。何やら、色の茶色い魚だ。
俺はひたすらリールを巻く。
「よーし。いいのが釣れたな」
と、魚を引き上げてくるレンブラントさん。
俺が最初にゲットしたのは――――。
タイ焼きだった。
「魚じゃねぇ……」
くそ! ここでファンタジーである。何で海にタイ焼きが泳いでるんだよ。いや、まぁ元ネタは分かるが……もうちょっと…こう何と言うか…久しぶりの釣りとしては、まともな魚が釣りたかった……。
と、落ち込む俺にレンブラントさんは。
「何言ってんだ。タイ焼きも、これはこれでレアな魚なんだぞ」
今日のユウゴは、釣りのラッキーさんかもなと励まして貰ったが、やっぱり俺は魚が釣りたいです。
あれから、1時間ほど3匹ほど釣ることはできたが、全部が全部タイ焼きだった。
なんでだよ! 俺は魚を釣りに来たんだ。断じて和菓子を釣りに来たわけではない。巨大な水槽には、タイ焼きが4匹自由に泳いでいるし…何なんだこいつら。あとで、絶対食ってやるからな!
とは言え、俺はハナと交代である。次は、俺が子供たちを見守る番だ。
子供たちは、岩が周りにあり、少し窪んだところ、潮溜りとなっている場所で釣りをしていた。潮溜りと言っても以外と広く深さもあるので、子供たちにとっては釣りのしやすい良い場所だろう。
俺は、ハナに交代だと告げ、その辺の岩に腰を下ろす。
「つれたー!」
と、高い声を上げたのはミツバだ。見ると、釣れたのは、魚……の形をした透明な袋だ。中には、これまた魚の形をしたスナック菓子のようなものが入っている。こっちもか……。
「マ、あ、パパ! 魚取って!」
と、ミツバが俺を見つけて、釣ったお菓子を向けてくる。ミツバよ……これは魚ではない。
ともあれ、子供たちは、それはそれで嬉しそうなのでまぁ良しとする。
魚を針から外して、俺は子供たち用にレンブラントさんが出した先程より少し小さいぐらいの水槽へと魚を入れに向かう。というか、こいつ、透明なくせにどうやって生きてるんだよ。目も鱗もヒレですらないんだぜ。形がただ魚なだけである。
と、子供たち用の水槽に到着すると、同じような魚…お菓子が沢山泳いでいた。
だが、それだけでなく、普通の普通の魚も一緒に泳いでいる。
「なんか……負けた気分だ」
質でも、量でも…。
「パパ! 魚取って!」
と、今度はイチの声がしたので、俺はそこへと向かうのだった。




