ほのぼの0! ぷろろーぐ!
新作投稿です。よろしくお願いします。
「これで説明は以上じゃ。もう夕方じゃが、引っ越しの当日で、いろいろとやる事もあるじゃろう。わしはこの辺で失礼するぞ。今日はもう遅いから、明日にでも村のみんなに挨拶するといいじゃろう。では、これからよろしくの」
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
と、俺たちは、家まで案内をしてくれた村長にお礼を言う。
「ほっほっほ。では、また明日の」
そう言って村長は、ドロンッと人間の姿からウサギに姿を変え、そのまま俺たちに見送られながら走り去っていった。
「…………」
そして、俺たちは、新しい我が家に入る。
「なんか、いろいろ凄かったね」
リビングにある食卓につきながら、妻のハナが苦笑交じりに話してくる。
凄かったと言うのは、今日の出来事についてだろう。
「うん…まぁ、流石に予想外だったというか……想像できないというか……」
俺はハナの言葉に、今日の出来事を思い出しながら答える。
まさか、農家になるために来た村が、ファンタジーな村だったとか誰が想像出来るだろうか。
具体的には、村長がゾウガメになったりウサギなったり。牛が二足歩行で服を着て歩いていたり。
今日は終始、驚きの連続だった。もう、最後には驚きを通り越して、妻と二人、飽きれながら笑っていたが。
あんな大きい頭の牛さんは、どうやって服を着たのだろうとかね。だって、どう見ても2頭身だったし。
「ははっ」
俺はその姿を思い出して笑ってしまう。
「ふふっ」
ハナも何か思い出したのか一緒になって笑い合う。
「これから大変だろうけど、楽しくなりそうだな」
「そうね。家族5人で頑張りましょう」
そう言って、ハナはリビングの隣にある畳間に目を向ける。
そこにいるのは、もうすっかり寝てしまっている三つ子たち。俺たち夫婦の宝物。
一番上の長女の双葉に、次女の三葉、末の長男の一ノ介だ。そして、妻の華に、俺、優吾。
この5人で明日からの新生活を頑張るのだ。
「ハナ。俺のわがままでここまで来ちゃったけど、改めてよろしくお願いします」
「ううん。私もオッケーしたんだし、こちらこそよろしくね」
こうして、俺たち家族の農場生活が始まった。