明日天気になあれ
迫り来る恐怖の念に俺は怯えているのか?
ガサッ
物音がした方に急いで向き直った。
ネズミが一匹走り去った。
「こっち、こっち。」
少女の呼ぶ声がした。
「覚悟!」
サッ
「ちくしょう、また松茸じゃなかった。」
「あー、また椎茸取ってる。だから松茸だってば。」
トリは現に責められた。
「私なんて、ほら、こんなに取ったよ。」
現は籠一杯の松茸を、腰に手を当てて胸を張って自慢した。
「ふうー、このお茶美味しいね。」
トリと現の二人は松茸狩りをしていた。
時間が経ったので少し休憩することにした。
トリはお茶を一杯飲み干した。
トリと現は広げた敷物の上で、お茶を飲んでいた。
「気持ちいいねー。帰ったらパパとママ、びっくりするね。」
満面の笑みの少女は猫みたいに毛のびした。
トリはお茶を継ぎながら、現の松茸狩りセンスに脱帽だった。
「帰ろう。もう昼だ。」
「そうね。」
二人は収穫した松茸と椎茸を背負うと、家に向かった。
ガサッ
二人のうしろを、誰かが隠れながら追って行った。
「それでさあ、私そのまま寝ちゃったんだ。」
「それは面白いね。」
話しながら帰宅するトリと現は楽しそうだ。
ガサッ
「現、俺の後ろに隠れろ!」
「!」
現はトリの背後に隠れた。
「流石は剣士だ。」
草むらの陰から現れたのは、筋骨隆々のスキンヘッドの大男だった。
「その松茸をよこせ。」
大男は二人を脅した。
「わかったわ。トリの為だもん。」
現は、潔かった。
現は籠を置いた。
「よしよし、わかってるねぇお嬢さん。」
大男は、籠を受け取った。
「って、なんだよこれ椎茸じゃんかよ!」
「松茸は渡さないわ。」
現は現金な子だと、トリは微笑んでいた。
「ふざけやがって。おりゃー。」
大男が二人目掛けて襲ってきた。
トリが前に出た。
大男のパンチをかわし、剣を抜き、切っ先を顔に近づけた。
「松茸は渡さないぞ。」
「くくくっ、それで勝ったつもりか。」
大男は身軽に後ろにバク宙して懐から剣を取り出した。
「喰らえ、大刀切り!」
トリの剣が大男の剣を受ける。軽く流して、また懐に入り込もうとした。しかし、大男は冷静だった。現を狙った。
現は構えた。
正拳突きで一撃で大男をノックアウトした。
チンッ
剣を収めながらトリは言った。
「データ不足だったな。現はただの女じゃないぜ。」
2人は家に着いた。
「あらー、すごい沢山の松茸。料理するわ。」
宝が早速料理に取り掛かった。
4人で夕食を食べ始めた。
「松茸上手いね。誰が取ったんだ?」
械の問いかけに、トリはむせた。
「私よ。だってトリってば椎茸ばっかり取るんだもん。」
トリは修行不足を反省していた。