この変態!
喫茶店から出た2人は、少し歩くことにした。
「トリ?」
「なんだ?現。」
「聞いてくれる?」
「ああ、いいけど。」
2人は話し始めた。
「私のお母さんってどんな人なんだろうなって思ってさ。」
突然の質問にトリは少し照れ臭そうにしながら答えた。
「...。ん、まあ優しい人なんじゃないかな。」
「そうよね。きっと優しくって綺麗でなんでもできる人よね。」
(こいつふざけてるのか。)
「いたいた。おいお前らだろ、ドラゴン壊したの。」
トリは驚いて後ろ手に現をかばって刀を構えた。
「現、俺から離れるな!」
「俺の名は影。19番目だ。」
現は状況をよく分かってない。
「誰なの、この人?」
「二十強だ!」
うっすらと存在感があるような無いような感じの物腰。
影と名乗るそいつは強そうとは言えなかったが、自信溢れる感じが妙にいやな感じがした。
「いくぞ。」
消えた。目の前から。
トリは刀を抜く態勢に入った。
影は突然現れた。トリの背後に。
「!?」
トリは不意をつかれた。現が狙われている。
(しまった!)
「現!」
「きゃあー、変態!」
現のパンチが影を殴った。
「ケケケッ。俺には効かないよ。さあ、捕まるが良い。」
「どこを見ている。」
トリの刀が影を切り裂いた。
「何!?」
影は自分に攻撃が通じたことを驚いた。
「俺に物理攻撃は効かないはずが、何故だ。」
影の存在がなくなった。
現がトリに駆け寄った。
「トリ、ありがとう。」
「影の気が消えた。馬鹿な。」
中肉中背の男が言った。
「おかしいな。相当強い奴らだな。」
オールバックの女が付け足した。
「俺が行く。」
獣人の男が言った。
「いきなりだな。これで終わりだな。」
男がニヤリと笑った。
「クククッ。」
獣人の男が消えるように飛び出したその後で男と女が笑った。
「トリー。次はどこに行くの?」
トリと現は、スカイを見て回っていた。
(まずいな。強い奴らがどんどん襲ってくる。どうにかしないと。)
刀を腰から下げているトリは、それを掴んだ。
(さっきの影っいうやつも、現の力が通用しなかった。)
「現、ちょっといいか?」
「何?」
「クラニズムを出る。」
「えー!?」
トリの回答に現は驚いた。
「どうして?」
「やばい奴らが俺たちを狙っている。」
「やっつけようよ。」
少年は黙った。そして重い口を開いた。
「俺達の旅の目的は違うだろう?」
「...。」
現は黙った。トリは少し酷かったかなと思った。少女はお母さんに会う手掛かりを探しているのに。
「ごめん。...お腹減っちゃった。」
「そっちか!」
2人はスカイの宿屋で夜を明かすことにした。