デートは可愛く決めちゃおう
トリと現はまだ洞穴の中にいた。
もうすぐ洞穴から出れるところまで来ていた。
トリは思った。
(こいつなんて強さなんだ……。あの二十強の1人を一撃で倒すとは。)
現は隣で楽しそうに歩いていた。
「おい、現。お前何でそんなに強いんだ?神がかり的だぞ。」
「うーん。何でだろう。分かんない。」
とんでもない連れを仲間にしてしまったとトリは思った反面、なんだか心強くなった気がした。
出口が見えた。
「うわー、出口だ。」
「お、おい待て!」
走り出した現をトリは追いかけた。
三人だろうか。その部屋にはほとんど何も無かった。
「おい、龍がやられたぞ。」
三人の中の1人で中肉中背の全身に紅い着物を纏った男が言った。
「一瞬だったようね。」
女だろうか。オールバックのシャープな顔つきをしたもう1人が続けて言った。
「まあ、二十強の二十番目がやられただけだ。」
三人目は、獣だった。
一番目の男が言った。
「一応、十九番目を送るか。まあ俺達の方が上だがな。クククッ。」
「それー、続けー。」
現が虹のすべり台を滑り降りた。
「うわー、ま、待てー。」
トリがそれに続いた。
「よっと。」
現が虹のすべり台を降りきって、ジャンプして雲の上に着地した。
「うおっと。」
続いてトリが滑り込むように雲の上に着地した。
「ここは、雲の上の町スカイじゃ。ようこそ。」
帽子を手に取りお辞儀したのは町人のおじいさんだった。
「こんにちは、おじいさん。私は現幻と言いうものでこっちのトリと旅をして...ってあれ!?トリ?」
破天荒な少女は辺りを見廻した。突如背後からトリに話しかけられた。。
「おい、現。はしゃぎすぎるな。」
「ん?あはは。ごめんごめん。」
トリは現を近くの喫茶店に連れていき、この後の予定などを話した。
「俺は、世界中の星を旅しているのはわかるよな?急いでいる訳では無いが、そう悠長にもしていられないんだ。訳あって。」
「ふーん。私の旅の目的はお母さんについて知ることよ。」
チュー、ゴトッ。
お互いのコップに入ったジュースが少し減る。
(そうか、こいつお父さんと二人暮らしだったな。)
その頃、二十強のうちの19番目が2人に向けて出発しようとしていた。影のような存在が。
「まあ、いいじゃない?デートみたいでさ。」
「まあ、いいけど。」
「じゃあ、ジュースおかわり。」
(これで5杯目...。何杯行く気だ。)