ポンガに到着
ここは、港町リュウからポンガへ向かう船の中。トリ達一行は、船の一室に居た。
「パパとママ元気にしてるかな?」
現は船の出窓の上に肘を突きながら、窓の外の海を見渡して言った。
「これからの予定を話そう。」
サマは座りながら、自分の周りを探した。
パサ
取り出したのは、1枚の地図だった。
「これは...地図?」
サマの真正面に座っていたトリが、目の前に現れた地図に驚いた。
「ああ、バゼル迄の道のりが描いてある。」
「え?何なに?」
現が参加し始めた。
「今現在はここ。リュウからポンガへ続くソラ海の途中。」
サマが地図上の海の1点にペンを突き立てる。
3人の視線がバゼルに向かった。
バゼルは地図の真ん中を上にたどるとある。
「ポンガを北に行き、山を越え、北の町ホラントのさらに北に行くとバゼルです。」
トリと現は緊張した。
これから対決する敵が怖かったからだ。
船の先端にあるベンチに、現は座っていた。
トリが側に駆け寄った。
「おい、現。」
現は振り向かない。
(緊張してるな...。)
ぐぅーぐぅー
「...。おい、現。起きろ。」
「ん...あ、トリ。おはよう。」
(この女はどういう神経してるんだか。)
「緊張するな?」
「そうね。でも私達が食い止めなきゃ。」
2人は迫り来る戦いに怖気付いてはいなかった。
「トリ...。こんなことを考えてたの。もし私達が負けちゃったとかさ。」
「負けないさ。俺たちならやれるよ。」
トリの声が力強くそう言った。
「でもさ、お腹減ったからパン買ってきてくれる?」
「...。」
「ポンガにもうすぐ到着しまーす。」
船員の声が船中に響いた。
トリは荷物を確認すると、現を連れてサマのところに行こうとしていた。
「現。準備はいいか?」
「オッケーよ。」
2人は船の先端にいるサマのところに向かった。
「おはようサマ。」
「おっはよー。」
2人がやって来るまで、サマはこれからの予定を考えていたらしい。
「おはようございます。」
サマがお辞儀しながら挨拶した。
「ポンガに到着。ポンガに到着。」
船員が大きな声で、ポンガへの到着を告げた。
「これからの予定はポンガで話します。とりあえず船を降りましょう。」
「ああ。」
「オッケー。」
3人は船を降りた。
これから先にある凶大な敵に立ち向かうための、気持ちを抑えながら。