港町リュウ
なだらかな傾斜を背にすると、大きな海が広がっている。土から伸びるふかふかした粟の1本1本が元気よく、風になびく草原に3人は立っていた。
「見えたぞ。あれが港町リュウだ。」
サマの一言で一行は前方に目を向けた。
そこに広がっていたのは、青い大海と、そこに浮かぶ沢山の船、さらに人々が活気づいている街の様子だった。
「うわあ〜、すごく綺麗。ダイヤモンドみたい。」
賑やかな街の光景に、現は元気いっぱいに喜んだ。
「これが港町リュウか。」
いよいよ、バゼルに向かって進み始めるのかと期待しているトリは、一呼吸ついて落ち着いた。
ある人は小麦粉の入った袋を持ち、また別の人は工場の青い作業着に身を包み歩いていた。小さな子供達は、楽しそうに追いかけっこをしていた。
「よし、まずはバゼルがある北の大陸へ出ている船を探すぞ。」
サマは2人をまとめた。
「オッケー。さあ、行きましょう。」
現は元気いっぱいに踊るように回った。
「何も無ければいいが...。」
トリはある意味、いやいろんな意味で心配していた。自分達の敵が、藍木が現れないかとか、北の大陸に行くための船は出ているのだろうかとか、現ははしゃぎ過ぎないかとか。
「行くぞ。」
サマの一言で、一行は草原を後にしてリュウへの道のりを歩き出した。
リュウに辿り着くまであともう少しのところで、3人は今まで通ってきた街道を振り返った。
「でもさあ、この世にはいろんな国があるよね。バゼルもその中の1つじゃーん。他国からの応援要請は出ていないの?」
最もな現の質問だったから、サマはそれに答えた。
「いい質問ですね。答えましょう。他国からの応援は来ています。特に、隣国であるシキからの軍隊が藍木の連中を倒そうとしています。しかし、藍木は強いのです。だから、我々が倒すしかないのです。また後で話します。着きました。港町リュウです。」
サマが到着を告げると、トリと現は、リュウの賑やかな雰囲気に笑顔になった。住民の人達が楽しそうに、活発に生活してワイワイガヤガヤしていた。
「ひとまず宿を探そう。」
「そうですね。」
「オッケー。」
トリの提案に、サマと現は賛成した。
3人はリュウに入っていった。これから長くなる旅に備えてゆっくりと休むことにしたのだった。