まあいっか
トリと現とサマの3人は幻家からバゼルまでの道のりを進んでいた。
幻家からバゼルまでは海を超えなければならなかった。港町リュウからでる船に乗らなければならなかった。
「リュウまではどれくらいあるの?」
最もな質問を現がサマに投げかけた。ここは幻家から北に位置する草原だ。3人は草原を抜けてリュウを目指していた。
「この草原からしばらく北に向かって、それから森を抜けるとあります。」
「今日は森の中で寝ることになるな。」
トリがつぶやいた。
「その森には、モンスターがいると分かっています。この草原は安全です。」
サマの一言に2人は少し怯えた。
「モンスター?強いの?」
「はっきりと申します。お二人よりは弱いです。」
3人は草原を抜けそうになった。その時、現が何かにつまずいた。
「いたっ。」
つまずいたのは、岩だった。
「大丈夫か、現?」
3人は草原を抜けた。
すると、前方に大きな森が見えた。
「あの森を抜ければ、港町リュウです。今日は森に入るのはやめた方がいいでしょう。この草原で夜を明かしましょう。」
「それがいいな。」
「うん。」
3人は草原の空地に座った。
「バゼルってどんな街なの?」
現が興味深そうに訪ねた。
「とても大きく、お城もあります。」
「へえー、お城か。住んでみたいなあ。」
サマから聞いた情報に現は憧れを抱いた。
「...。」
トリはまた突っ込みを入れたかったが、蹴られるのを恐れて黙っていた。
「しかし、今は藍木が支配し始めた為、国王も囚われています。」
「そっか...。じゃあ、私達が助けなくっちゃ。」
気合いの入った表情に現は変わった。
「それでは、今日はもう休みましょう。」
「明日の朝、あの森を抜けよう。」
3人は眠りに着こうとしていた。
その後だろうか、遠くにある森から何かが吠える声が聞こえた。
「おはようございます。」
サマが2人を起こした。
「おはよう。」
「おっはよー。」
3人は朝食を取り始めた。
その時、昨日の夜聞こえた吠える声がまた聞こえた。
ガーー。
現の御飯を食べる手が止まった。
「...。まあいっか。」
現はまた朝食を食べ始めた!
「...。」
トリは無言だった。
「ご心配には及びません。お二人よりは弱いですから。」
サマの言葉が届かないほど、2人は緊張していたが、それはまた、これからの冒険に胸を踊らせているからでもあった。