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世界旅行記  作者: グロス
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あなたのそばで

 ヒヨリノトリは宇宙を旅していた。目的は不明。

 

少年の格好は、黒の半袖シャツに黒のチノパンのような丈夫そうなズボンを履いて、白いマントを羽織って、腰には剣を一本下げている。

星の名前を集めること。それが彼の目的だった。これまでに、いくつもの星を回り、現在に至る。


新しく来た星で、住人はいないか探すことにした。



トリは山の中にいた。


どれくらいの時間、探し続けただろうか。茶色の皮でできたブーツが泥で汚れた。山を降りとある村落へ出た。トリはしばらく歩いた。疲れた感じで白い髪を撫でた。


トリは村の中に一軒家を見つけた。


 窓辺の片隅に、一人の少女がいた。


トリは目標が達成出来ることを喜んだ。


若干15歳の彼にとって、人との出会いはめずらしいものと化していた。多くの星に出掛け、人と会うことが無いときもあったからだ。


少年は少女に近づいた。

 少女に話し掛けた。

 「この星の名前は、なんと言うんだ?」


 少女は、微笑みながら言った。


 「私の名前は、現幻(うつつ まぼろし)よ。」


 シーン。的はずれな答えに場は凍りつく。


 「いや、だから星の名前なんだけど。」

 トリが聞き返すと、二人の間に、沈黙が流れた。

 

 

 「私の名前は現幻よ。」現幻と名乗る少女は、うふっと、お茶目さをアピールしたいのか、頭の後ろに右手をやって答えた。


 「いや、だから星の名前なんだけど。」

天然ボケ?トリはそんな感情に晒されながら再度、確認した。

 しばらく二人の取り留めもないやり取りが繰り返された。


 少女は、やっと分かったらしい。黒髪のロングヘアーを軽く整えながら目はトリのほうに向けていた。


 「ああ、教えてくれ。」

冒険者は、任務遂行に命を掛けていたため、トリの表情は真剣そのものといった感じで頼み込んだ。。理由は、この少年の故郷にあるのだが…。

 「そうねぇ…」

 お二人の間に、沈黙が流れる。何秒立ったか、少女は口を開いた。

 「100メートル走。」


 「え?」

少年は驚いた。

 「だから、星の名前を…」

 「100メートル走で勝ったら教えてあげる。」

 驚いたことに、少女は100メートル走での勝負を要求してきた。


 少女の発言に、また少年は驚いた。

 足が速いのか、100m走とはなんだとかいった疑問が少年の頭には浮かんだ。


トリは戸惑ったが、了承するしかないと思った。任務遂行の為には何でもしてきた。

 「分かった。」


 トリは覚悟を決めるかのように条件を承諾した。

「ふふ。」

少女は笑った。

 「どこで勝負する?」

 「ふふ。」

少女はまた笑った。トリは、ますます訳がわからない。

 「私が走るんじゃないの。」

 少女は笑っていた。


「?」


 「おーい、現。」

 パタパタ。廊下を歩く音とともに、男の声がした。


 「お父さんよ。」

現は声のボリュームを落として囁く。

 現が言い終わると、ドアが開いた。


 ガチャ。

 現れたのは、1人の背の高い中年の男だった。

 

「おお、お客様か。」

 「ヒヨリノトリと申します。」


自分に気づいた中年の男に、トリは丁寧に、自己紹介した。少しでも印象を良くしておいた方が、良い結果になると思ったからだ。

 

「見ない成りだな。」

「俺は、星を旅する者です。」

 「旅星者(りょせいしゃ)か?」


初対面なりとも、少なくとも自分の家に上がったものに対して怪しいと思ったのか、男は身分を尋ねてきた。それに対して、トリは簡単にだが自分の仕事について答えた。男は驚いて確認した。


 旅星者…。それはこの宇宙の中で最も孤独で最も広く動き回る職業。しかし、最も多くの人に出会える職業なのだ。


「私は現の父で、械幻(かい まぼろし)という。」


械は少し偉くなった感じで自己紹介した。

 「お父さん、この人、ここ星の名前を知りたいんだって。


現は、楽しそうだった。というのも、この界隈には人があまりいないため、孤独を感じていたからだ。

「そうか。条件がある。」

械は条件を突きつけてきた。


ただ星の名前を聞きたいだけなのにとトリは思った。

 

現が立ち上がり、トリの顔をのぞき込んだ。


 「お父さんと、100メートル走で勝負して!」

少女は楽しそうにはしゃぎながらいった。


 「場所は、近くの荒野。一週間後の朝8時だ。ルールは、誰が走ってもよいということ。」


100m走で勝つというかとにトリは自信があった。運動というか戦いというか、自分の得意分野ではないか。

「分かりました。」


中年の勝負師は、笑っていた。すでに勝った気でいるようだ。


そのあと、械は晩御飯が出来たと美しいに伝えた。


そのあと、 械は部屋から出て階段を降りていった。

 

トリは勝負がどうなるか考えた。


 「ふふ。」


 考えるトリを見ながら、少女は嬉しそうに微笑んでいた。

 

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