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竜は大事なパートナー


学校の外へ出て少し歩くと竜舎がある。

竜舎の前にみんなを並べると

「みんな静かにしましょうね。まずは四人のグループを作って」

静かに、と言われたのにワイワイとみんな動く。


その中で、アラシとシオンが、ポツンと二人で離れている彼らを見つけた。リルは珍しく強引にマユリを引っ張って、

「一緒にグループになろ」

と笑いかけた。

「ちょっとリル!」

「いいでしょ?」

さっきの事を忘れたの?とマユリは言いたげである。

アラシは仏頂面だが、シオンはホッとしたように

「うん」

と嬉しそうに笑った。マユリとリルの後ろからアラシとシオンが歩いてくる。


まずはゾロゾロと竜舎に入っていった。

そこには子供の竜がたくさんいて、敷き草の上にちょこちよこと歩いている。

「ここにいる竜たちは、乳離れの済んだ子供の竜たちです。これからみんなは一頭ずつ大人になるまで世話を続けるのですよ」

にこっと微笑んだ。


竜の選び方……というか、竜に選んでもらうのだが……。

前の手を出して、触ってくれた竜がパートナーになるのだ。

「よろしくね…」


マユリたちもそれぞれに竜に無事に選ばれて、竜を連れて四人でひとつの竜の部屋を使う。

「お世話の仕方は簡単ですよ。まずは敷き草を換えます、それから竜たちは餌小屋にある竜のサラダを食べるので餌箱にいれてあげて下さいね」


1年生はまずは人力で敷き草を運んできて、それを敷き詰め、そして餌箱に一輪車で餌を運ぶ。まだ子供生徒たちには、協力してしていかないと大変だ。


「毎朝、ここにきてこのお世話をしてください。お世話をきちんとしない子は竜は逃げてしまいますよ」

竜の部屋に扉はもちろん柵などはない。

「先生~名前はつけていいんですか?」

誰か女の子がそう言った。

「もちろんですよ」


赤ちゃん竜はまだリルよりも小さい。鬣たてがみも短くて、ふわふわだ。鱗もまだ柔らかそうだし、小さな翼は飛べるのか飛べないのか………パサパサと動かす様も愛らしい。

「ピィ」

声も高くて可愛らしい。

「名前かぁ…どうしよう?」

リルは竜を見つめると、濡れたような真っ黒の瞳がとても綺麗で

「…うーん?」

「ピィ?」

同じように首を傾げるその姿がとても可愛らしい。

「シェリってどう?」

妹にも、そしてリルの真の名前にも似ている。

「ピピィ!」

嬉しそうなのでそれに決定ね、とその小さな爪のついた前肢を握った。

「マユリは名前はなんてつけたの?」

「ギン」

「……え?」

「銀色でしょ?」

マユリの竜は少しだけ不満げであり、バササッも翼を動かしている。

シオンの竜は、ナイル、アラシが渋々ながらようやく教えてくれた竜の名はリドールだった。


「じゃあ、あしたあさに森のまえでまちあせね!」

マユリが言い

「わかりました」

にこにことシオンが答えている。

「あんたもね、ちょっとはシオンのこういうところみならいなさいよ?人生そんするんだから、ちょっとのことで」

ひどく大人びた事をいうマユリである。


教室では竜の事を学び、必要なお世話を教わる。

そして、後の授業は必要な事を、読み書き計算が主な勉強で魔法的な事はまだまだ学ばないのだという。


魔法使いの学校なのにね、と不満げに言う子供たちもいた。


だがリルはどの授業もとても熱心に取り組んだ。


そして、毎日お世話をしていくうちにアラシが効率よく風をとらえて、一輪車を走らせる技を編み出すと、リルたちのグループはその分他のお世話に時間をかけることができた。

竜たちは、すくすくと大きくなる。こうやって日々世話を自分達がすることで、大人になったときにアデルやアルジーのように意志疎通が図れるのだなとリルは思ったので、お世話にもついつい力が入る。


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