魔法使いのこどもたち
明るくなったので自然に目が覚めて、下に降りるとソファにアデルが座っていた。アルジーは女の子だから遠慮したのかいなかった。
「すっきり起きれたね」
にこっとアデルが微笑んで
「じゃあ服ね」
クローゼットをあけてアデルが説明する。
「この家はね、すべて魔道具になっていて脱いだ服もこうやってハンガーに、かけてしまえば、翌日にはキレイになってる」
「まどうぐ…」
「そう、魔法使いたちが魔法をかけて作った、魔法を使わなくても魔法を発生させている道具の事」
なにもかもが驚きの世界だ。
「じゃあ服はこれにしようか」
可愛いピンクのワンピース。それに編み上げのブーツ。ちっとも魔法使いらしくはない気がする。
アデルは昨日と同じく魔法使いの制服を着ている。
「朝の散歩がてらここを案内してそれから朝ごはんにしようね」
にこっとアデル言った。
朝の明るいなかでみると、森は明るくて、木の上の家はどれもとても可愛らしい。
「あたらしい子?」
ひょこっと木の上の窓から顔を覗かせている黒髪と黒い瞳の女の子。リルの隣の木に住んでいる。
たたたっと降りてくると、同じように水色のワンピースを着ている。
「わたしはマユリ!あなたは?」
「リルよ、よろしくね。マユリ」
「わたしも6さいよ、少しだけおねえさんだけど」
にこにことマユリはしていて、とても可愛らしい。
「むらをあんないするの?わたしもいっしょにいく!」
スキップを踏むようにマユリは前を歩いていく。
「リル、あっちに行くとみずうみがあるのそして、こっちが、りゅうのぼくそうちよ」
アデル以上にマユリがあれこれと説明してくれる。
森の入り口に来ると、
「こっちが女の子の、で、あっちのもうひとつの入り口が男の子がすんでるのよ」
森の外にはよくある街並みがあって、お菓子屋さん、本屋さん、パン屋さん、雑貨やさん…。リルの知る街と代わらない店揃えにリルはほっとした。
「7さいになったらがっこうに行くのよ」
「まだ1年あるけれどそれまではどうするの?」
「ただ遊ぶの。ここで元気にね」
アデルがそう、言った。
「遊ぶの?」
店を手伝っていたリルにしてみれば、遊んでいて良いのだろうかと戸惑う。
「遊ぶのが仕事。みてあの子達」
アデルが指を指した方には遊んでいる子供たち。
遊びながら魔法の気が取り巻いているのがリルには見えた。
「使おうと思って使ってるんじゃない。ああやって遊びながら自然に魔法を呼吸するのと同じように取り込んでいくの」
風をとらえて、ふわっと浮かぶ。光を手のひらからすくって空中に放つ。走っていても、足元から光が出ていたり…
「まずはここに慣れること、ね。リル」
「はい!」
アデルの言葉にリルは大きく頷いた。
「いっしょにまざりに行こう、リル」
マユリは手を引っ張ってリルを子供たちの輪の中につれていく。
「いーれーて」
「いーいーよ!あーそーぼ」
そんなやり取りも同じだ。
フィンともっと遊べば良かった………後悔がそっと忍び寄る。
けれど、みんなここにいるのはリルと同じ境遇の子供たちだ。
たのしもう!と屈託ない笑顔を向けてくる。リルもそして笑顔を返して仲間にはいる。
リルの新たな生活が始まったのだ。




