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ワールドウォーズ  作者: ブラックシュミット
9/20

8

帝国軍の奇襲から数日後。

疾風率いる帝国軍の首都襲撃は共和国を大いに騒がせたが、大した被害がなかったのに加え、アカデミーの生徒が帝国軍撃退に貢献したというニュースが流れたために、そこまで動揺が広がることもなく収束した。

俺達もアカデミーに帰ると普段『ついてこれない奴は死ね!』だの、『私への返事は「はい」か、「死にます」しか認めん!』だの言っている教官達から気持ち悪いほど称賛をもらった。

ユニも身寄りが分からない、帰る当てがないということでアカデミー預かりになり、俺達と同じく生徒として授業を受けることになった。

人当たりの良いユニはあっという間に俺達のクラスに馴染み、特にその容姿と性格で男子生徒の一部にはもうファンが付いているとか。

あわや共和国が滅びる瀬戸際からの平和な日々。

しかしその平和は、ある日のHRで教官が放った言葉により崩れさる―ーーー。

「よし、今日の伝達事項はこれで終わりだ。

明日は休みだが、気を緩めすぎて私に迷惑をかけるようなことをするなよ」

明日休みか、また何とも中途半端な………。

アカデミーは定休がなく、不定期に休みがある。

その理由がというと教官達が会議で話し合って、休みを決めているそうだからだ。

つまり、休みは教官達の都合で決められる。

一週間に休みが5日ある時もあれば、1ヶ月休みがない時もある。

これは、未だに軍人現役の人も多いアカデミーならではの制度なのだが

『教官ー、明日はどういう理由で休みなんですかー?』

「最近、何となく怠くてな。

ここらで1回皆で飲みに行こう、という話になったんだ」

…………少なくともうちのアカデミーに限っては失敗だと思う。

「あーそれとルーク」

「はい?何ですか」

「ユニは明日からお前の家で預かれ、良いな」

…………………

「…………すいません、今何かよく理解できなかったんですが」

「お前は目を開けたまま寝てたのか?

だからユニは今日からお前の家で住むことになった、以上」

冗談か何かを期待していたのだが、教官の顔は至って真面目で、おまけにユニが「明日からお願いします」と言ってきて、俺はようやく冗談ではないと悟った。

「ちょ、ちょっと待ってください!

男の俺の家に!?女の子のユニを!?」

「そうだ。我々でも探しているがまだその子の身寄りは見つかっていない。

ならば、拾ったお前が最後まで面倒を見るのが筋だろう?」

「そんな犬猫じゃあるまいし!

大体今まではここに泊まってたじゃないですか!

いや、明日ここの人間が全員出払うからな。

仮の宿を探していたんだが、ならいっそ、そのまま暮らさせようという話になってだな、拾ったお前に白羽の矢が刺さったというわけだ」

「そんなんで納得できるかああああああ!!」

俺は勢いよく立ち上がり、教官に詰め寄る。

「良いじゃないか、良い子だし迷惑にはならないだろ?」

「それは全く気にしてませんが、男と女ですよ?

もしも万が一、間違いが起きたらどうするんですか!」

「なんだそんなことか。

なら男として責任を取ってやれば良いじゃないか」

「だめだ、この人話が通じねぇ!?」

俺は教官の説得を諦め、ユニの方を向く。

「おい、お前はどうなんだ?

男と一緒に暮らすのは嫌だろ?」

内心嫌だと言え嫌だと言えと繰り返しながら聞く。

「確かに………男の人と一緒に暮らすのは………」

「そうだろ!ほら教官、本人も嫌がってるし、やっぱり俺の家はなしですよ!」

いやーユニが常識的な考えを持っててくれて良かっーーーー

「ですが、ルークさんになら………その、私の初体験でも良い………ですよ」

「ブルータスお前もかあああああああ!!」

と、安心しかけていた所に、超弩級の爆弾を落とされた。

ユニの言葉にクラスメイト達から殺気が滲み出てくる。

「る、ルー君………ユニちゃんとそんな関係だったんだ………」

「待て!リリィ誤解するな!ユニと俺はそんな関係じゃない!

あと、教官!ニヤニヤ笑うな!!

ユニ!てめえも頬を赤らめてんじゃねええええええええ!!」

くそ、俺の味方は誰もいないのか!?

「良かったじゃないか相思相愛で。

ユニ、今日からルークの家に住め、これは命令だ」

「はい、分かりました」

「おい家主の俺の意思は!?」

「知らん」

ひでえ…………こんな暴論聞いたことねえ………。

「ルーク、今日からよろしくお願いしますね」

そう言ってユニが微笑む。

なんの心配も不安もないその顔を見ると、一人でやきもきしているのがバカらしくなってくる。

「ちっ………しゃねえなあ。

分かった、帰るぞ俺の家にーーーー」

「というようなラブコメ展開を俺達が許すと思うか?」

…………気づかないフリして平和的に帰ろうと思ったのに。

振り向くとそこには殺気を迸らせるクラスメイト達が。

「ルーク………なんでお前ばっかり………」

「お前みたいなのがいるから、俺達に回ってこないんだ……………」

「そうだ、邪魔なら消せば良い…………」

「こいつがいなくなれば俺達にも………」

「お、おーい何か物騒なこと言ってないか特に後半」

俺はぶつぶつ呟くクラスメイト達から、ジリジリと距離を取る。

「ーーーーというわけでだ、ルーク。

ここで死んでもら」

「ユニ来い!」

俺はユニを抱き抱えた。

「きゃっ!?」

「だらっしゃああああああああ!!」

バリィン!!

そして窓ガラスを突き破り外に脱出、逃走。

『逃げたぞ!追え!!』

『何組かに別れるぞ!

アルファはそのまま追跡!ベータは先回りして奴の退路を塞げ!デルタは先回りして撹乱しろ!』

「くそ………!この前の戦いでいらん実力をつけやがって!!」

遠くから聞こえるクラスメイト達の声に毒づく。

「る、ルークって意外に大胆なんですね………」

「誰のせいでこんなアクション映画みたいなことをしてると思ってんだ?

てかお前、さっきのは意味分かって言ってんだろうな」

「さっきの…………ですか?」

「そうだ、初体験がどうとかの………」

「??お泊まりが初体験なのですが何か変ですか?」

「あー、いや何でもない。

薄々分かってたから」

ユニを下ろしつつ、予想通りの返答にため息をつく。

あいつらに説明………は無理か、聞く耳を持つとは思えん。

はあ…………まあ、明日は休みだ、その間にあいつらの頭が冷えてることを祈ろう。

「ということでユキ、頼む」

《………良いけど》

《わしらはマスターの修羅場から逃げるための剣ではないのだがの》

「うるせえ、あいつらに見つかったらどんな目に合わされるか分かったもんじゃない」

先日の戦いでユキとクロのことはバレてるし遠慮はいらないだろう。

ちなみにあいつらはユキとクロに対して、俺が心配していたような反応はなく、普通に珍しいインテリジェンスソードに対して興味を抱いてるだけだった。

…………まあ、俺は『お前、今までこんな可愛い子達と!』『このロリコンめええええ!』とか言われて追い回されたけどな…………今日みたいに。

俺はユキを抜き放つと地面に突き刺した。

『氷の移し身よ!氷像!』

すると氷がどんどんせり上がり見る間に人の形を作っていく。

「これは…………何ですか?」

「一言で言うと氷のカカシだ。

遠目に見たら人には見えるだろう?

こいつで時間を稼ぐ」

普段はほとんど使う機会はないが、こういう撹乱にはそこそこ使える。

まあ、近くに寄れば一発でバレるような代物だけど。

「時間を稼ぐ………ですか?

あまり稼げそうにないですが…………」

「確かにこいつだけだとあまり稼げないかもな。

だが、これに教官直伝『必殺トラップコンボ』を仕込むと………」

俺は個人的に携帯しているワイヤーや、“ハンドグレネード”等を氷像を中心に設置する。

ちなみにこれは俺が違法に所持している物ではなく、アカデミーが無償で提供してくれる物だ。

アカデミーでは、生徒が早くから武器に慣れるために、申請さえすれば武器をいつでも提供してくれ、それをいつどこで使おうとも原則咎められることはない。

もちろん、無用に人を殺傷したり建物の破壊はNG(逆に言えば理由があるならOKだったりする)だが、個人的な訓練やアカデミーの生徒同士なら使用は認められている。

もちろんこのグレネードも、通常の物より遥かに威力を落としてある物で、直撃しても体が数メートル吹き飛ぶだけだ(実体験)。

という説明をユニにしながら手早くトラップを作っていく。

「…………この学校にはリリィしかマトモな人はいないのですね」

「……………よし、これで終わり。

ん?ユニ何か言ったか?」

「いえ、何でも」

「そうか?なら追っ手が追いつく前に行くぞ」

「…………はい」

どうしたんだユニのやつ、まるでマトモだと思っていた人が、マトモじゃないと分かってショックを受けたような顔をしやがって。

俺とユニがその場を離れて数分後、爆発音が響き、奴等が混乱した隙に俺とユニは無事学校の外に出たのだった。

ーーーーーーーーーーーーー

「…………では今は妹さんと二人暮らしなのですか?」

「ああ、昔はよく付いて回ってきたもんだが、最近俺を避け気味でな。

ま、あいつも年相応になったんだろう」

できればたった二人の家族なんだし仲良くはしたいが。

「うーん…………避け気味、ですか…………」

「ああ、もしかしたら嫌われてるのかもな俺」

「いえ、話を聞くとそんな感じではないと思うのですが…………むしろ逆のような」

「逆?」

どういうことか聞き返そうとするが、いつの間にか目の前に見慣れた家が見えてきた。

「お、あそこが俺の家だ。

まあ、気になるなら見とけ、俺がどんだけあいつに嫌われてるか」

「それ自信満々に言うことではないと思いますが………というより」

ユニは俺の家を指差した。

「ここ…………ですか?」

「おう、愛しの我が家だ」

「…………本当ですか?」

「ああ、我が家を忘れるもんか」

「でもここ………廃屋………ですよね?」

ユニが指差した先には、見た目は2階建ての普通の家だが、その壁は所々塗装が剥がれ、蔦も這っており、庭は雑草が生え放題な…………まさに廃屋と呼ぶに相応しい家だった。

「失礼な、確かに“ちょっと”ボロいが立派な家だろうが」

「ちょっと…………?何ですか?

すみません………失礼なこと言ってしまって……」

本当はちょっとどころではないが、そう思っていてもらおう。

それに中はそこまで酷くないし…………見た目よりは。

「気にすんな。じゃあ早速中にーーーー」

「………兄………さん………?」

ん?この声は

「お、ナギサじゃないか、ちょうど良かった。

ユニ、こいつが俺の妹のナギサだ」

「初めまして、ナギサさん。

私はユニと言います」

「……………」

ユニが挨拶するも、ナギサは黙ったままだった。まるで、ショックを受けているような顔だ。

訝しげに俺はナギサを見る。俺と同じ黒髪に、平均的な身長、バランスの取れた体、そして家族の贔屓を抜きにしても整った顔立ち。

おまけに人当たりも良く、誰とでもすぐに打ち解けられる俺の自慢の妹なんだが………

「おい、ナギサ。

一体どうした?なんで黙ってーーー」

「兄さんのーーーー」

静かだが確かな怒りを現して呟く。

「兄さんの---馬鹿ーーーーーーー!!」

叫ぶと同時に俺に強烈なストレートを叩き込む。

「げふあっ!?」

「変態!ロリコン!こんな幼い子を家に連れ込んで何をするつもりだったのよ!!」

そして倒れた俺を足で言葉に合わせて踏みつける。

「ごふっ!?ぐはっ!?

ま、待て!ユニとはそういう関係じゃ」

「そ、そうです!

今日はルークの家で初体験をしにーーーー」

「お前は黙ってろおおおおおおおおお!!」

ユニの一言でナギサの目がスッと細められる。

「…………まさか本当に兄さんがロリコンだったなんて」

「違う!それは大きな誤解だ!」

「シロちゃんとクロちゃんも妙になついてると思ったら………裏でそんなこと考えてたなんて!」

《そ、それは違うぞナギサ!

マスターは純粋にわしたちをーーー》

《…………そう、マスターに邪な気持ちはーーー》

「そうそう!俺がこんなガキ共にそんな気持ちを抱くわけがーーー」

《ーーーそういえば、ある日一緒に寝ようと言われたことがあったような、なかったような気がするのう》

《…………私はお菓子を作るから、代わりに体を触らせろって言われたようなないような…………》

「おおいっ!?俺がいつそんなことを言った!?」

ユキとクロの突然の裏切りに合い、味方を失う。

「………………兄さん」

「………………なんだ妹よ」

「私も鬼じゃない。

遺言ぐらいは聞いてあげるけど?」

…………どうあっても助からないか。

ちなみに妹はこれでも魔法の成績は通っている学校でもトップクラスである。

対して俺はアカデミーのクラスでは、魔法の成績はビリに近い。

つまり、ユキとクロが裏切った以上、俺は逃げることすらできないということだ。

「なら一つだけ。

死ぬ前に一度有名料理店の品を端から順に食べたかっ」

「ブレイクバースト!」

「聞いてくれるんじゃなかっぎゃあああああああああ!!」

ーーーーーーーーーーーーー

「………じゃあユニさんはたまたまここで暮らすだけで、本当にそういう関係じゃないのね?」

「そうだよ…………」

俺はぐったりして返す。

あの後、ナギサが説明を求めてきたので(最初に聞いて欲しかった)、ユニと出会った時から今に至るまで一切合切話した。

それを聞き、やっと納得したナギサはまずユニに頭を下げた。

「ごめんなさい、兄さんとその………そういう関係だと思ってしまって。

失礼でした」

「気にしないでください。

ところで、そういう関係ってどんな関係だと思ったのですか?」

「えっ!それはその…………!」

「おい、それより妹よ。

今、兄に対してさりげなく失礼なこと言わなかったか?」

「兄さんは黙ってて!」

「本当お前俺には厳しいよな…………」

誤解が解けたからか、ナギサはすぐにユニと打ち解けた。

特に身寄りがないことも話したからか、積極的にユニの助けになろうとしている。

流石は我が妹、だがその優しさの半分でも俺にくれないだろうか…………。

「さて、飯でも作るか。お前ら何か希望あるか?」

「私は何でも良い」

「私も特にありません」

「欲がないな。特にユニ、お前は客なんだから遠慮するなよ」

「ならわしは団子にしてくれ。みたらしが良いのう」

「…………私はケーキ」

「ご飯にスイーツは論外だ。

ご飯後に作ってやるから待ってろ」

「自然に入ったからいけると思ったのじゃが」

「…………残念」

「ふ……ミジンコの気配すら見逃さない鋭い俺にとっては造作もないことよ」

「兄さんが鋭い………?はっ」

「片腹痛いのう」

「…………へそで茶を沸かす」

「その………そ、そうですね」

「お前ら畳み掛けてくんな!

あとユニ!フォローは嬉しいがそれが時に最もダメージを与えると知れ!」

結局、夕飯はユニも入ったことだし、近所から貰った肉塊を薄く切ってコショウで焼いたステーキ、コーンポタージュ、野菜に自作のさっぱりドレッシングをかけたサラダ、余った肉を一口大に切って揚げた唐揚げ、そして近所のパン屋から貰ったパンというメニューになった。

「相変わらず料理はうまいのね兄さん」

「“料理は”ってどういう意味だ?」

「うむ、唐揚げもわしらの口に合わせて小さくしてあるのう」

「…………美味しい」

「料理ってのはただ美味しいだけじゃダメだ、食べる人が食べやすいように配慮してやらないとな。

で、お前らさりげなく嫌いな野菜を除けて食べるな!」

「ちっ、気づきおったか」

「……………ケチ」

「ケチじゃない、ちゃんと食べねえと大きくなれんぞ?

その辺とか」

「………どこを指差しておる?」

「…………徹底抗戦」

そんな風にわいわいしながら食べていると、ふとユニの手が止まっているのに気づく。

「どうしたユニ?

腹が痛くなったのか?」

「兄さん………女の子にそれはないよ」

「失礼極まりないぞマスター」

「………デリカシーの欠片もない」

「ボ、ボロクソ言うな………」

いつものことだけど。

「はっ、まさか口に合わなかったか?」

「いえ!そんなことはありません!

凄く美味しいです!

ただ…………そのこんな風にわいわい食べるのが………私は今までなかったので………」

「………前はこういうことはなかったのか?」

「前のご飯はとても冷たかった気がします。

誰かと話しながら食べるということもなかったです」

ユニが何気ない風に言った言葉に俺達は黙り込む。

俺達だけでなく、普通なら誰しも一度は経験があることをユニはなかったと言う。

しかもそれを何気なく言うということは、ユニにはそれが当たり前のことだったんだろう。

「ユニさん………」

「………いえ、変なことを言ってしまいました。

せっかくの美味しい料理です、冷めない内に食べてしまいたいです」

「あ、ああ。そうしてくれ」

俺はユニに何かを言わないといけない気が強くしたが、結局口から出ることはなかった。

「(くそ…………情けねえ………)」

俺は自分を罵るがそんなことをしても何が変わるわけでもない。

「ユニさん、食事終わったら一緒にお風呂入ろ!」

「お風呂、ですか?」

「うん、ここのお風呂は広いから3、4人なら余裕だよ。

ユキちゃんとクロちゃんも入ろうね」

「うむ、久しぶりじゃのう」

「…………おーけー」

「リンド家の家訓その一、『家族同士で遠慮はするな』ユニさんもここで暮らす以上は我が家の家訓には従ってもらうからね」

「家訓………ですか?」

「そうだよ、いつ帰れるか分からないんでしょ?

なら家族みたいなものじゃない」

「………私が、家族………」

呟くユニの顔はどこか嬉しそうな表情だった。

「(サンキュ、ナギサ)」

「(全く頼りないんだから。

私に感謝してよね)」

ナギサが呆れた表情で俺を見る。

言い返したいが、ユニを元気づけてもらった借りがある以上手口を出せない。

それにナギサの言うことも最もだ、肝心な時に声をかけてやれないなんて。

全く………本当にナギサに救われたな。

その後は、ユニも交えて皆でわいわいし、そのせいで疲れたのか女組は早々に寝てしまった。

一人残った俺は、飲み食いした物を片付け、リビングで寝ている女共をベッドに運んでいく。

「やれやれ………一人一人は軽いとはいえ、4人も運ぶと流石に面倒だな………」

俺は最後のユニをベッドに下ろし呟く。

「すー………すー………」

穏やかな寝息を立てているユニを見ていると不意にユニのさっきの言葉を思い出す。

「そういえば………俺、ユニのこと何にも知らないんだよな………」

住んでいる場所、家族、そして何故帝国から狙われていたのか。

もちろん帝国のことだ、獲物を狩っていただけかもしれないが………それだけで片付けるには、帝国の執着が強かった気がする。

ふと風剣がしきりに繰り返してたE-000という言葉を思い出す。っ!!

「まさか………ユニが………?」

俺は思わずユニの顔を見る。

「う~ん、おなかいっぱいです………」

「……………………ないな」

俺は馬鹿馬鹿しい考えを葬ると、部屋を出て自分の部屋へと戻ったのだった。

ーーーーーENDーーーーー

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