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作者「お待ちかねの第二弾です!」
ルーク「この作品を待ちかねてる人がいるのか?」
作者「きっと70億分の1はいるはず!」
ルーク「全人類の中で一人かよ!?」
作者「まあ自己満足のために書いてるような物だから別に良いけどね」
ルーク「開き直んな!!」
作者「それでは本編をお楽しみください」
「………は?教官、今、何と?」
俺が教官の言葉に思わず聞き返すと教官は端正な顔を苛立ちに歪めた。
「時間がないと言っただろうが。
もう一度しか言わんぞ。
良いか、ここ首都ガリウスは今、帝国の奇襲部隊に攻撃されている。
防衛隊が応戦しているが、突破されるのも時間の問題だ。
援軍は要請しているが、時間がかかる。
その間に首都は陥落するだろう。
そこで―――議会はアカデミーの生徒を独立軍として編成し、任務を与えることにした。
任務内容は『帝国軍の撃退』、つまり貴様らが帝国軍を追い払え、ということだ。
分かったらさっさと行け」
「説明がざっくりすぎる!?
それにそんな説明で行けと言われて行く人は」
『『『『サーイエッサー!!』』』』
「いないって何でお前らそんな簡単に受け入れてんのっ!?」
俺は驚いてクラスメイト達を振り返る。
そこには戦う気満々のクラスメイト達の姿があった。
『ルーク!
今、先生の説明にもあった通り、俺達しかいないんだぞ!』
『そうだぜ!
今こうしている間にも、罪なき一般人が傷つけられてるかもしれないんだ!!』
熱く説得してくるクラスメイト達にたじたじになりながらも反論する。
「い、いや、そうだけどよ、戦争に出るんだぜ?
死ぬかもしれないんだぞ?」
俺がそう言うとクラスメイト達は分かってねえな的に肩をすくめ
『ふう………やれやれ、ルークは分かってないみたいだな』
『ああ、哀れな奴だ』
ひとしきり俺をこき下ろした後、口々に言った。
『俺がこんな所で死ぬわけないだろ!』
『大丈夫だ、このペンダントが守ってくれる!』
『明日俺の誕生日なんだ。
だからこんな所で死ぬわけがない!』
『それに敵は少数なんだろ?
な〜に、楽勝じゃん!!』
『俺は不可能を可能にする男だぜ?』
「どれもアウトだよ馬鹿野郎!!」
特に最後が。
「よし、気合いは十分だな。
逝ってこい!!」
『『『『おーーーーーーー!!』』』』
「今、字が違った気がするんですけど!?
ちょ、嫌だ………嫌だああああああああ!!」
俺は抵抗虚しく、クラスメイト達にずるずる引きずられていった。
―――――――――――
『いたぞ!!殺せ!!』
そして早速逃走中である。
クラスメイト達と離れて別行動し始めた途端、帝国兵に見つかってしまった。
絶体絶命のピンチだが
「ふ、だが俺はアカデミー一のサボり王と呼ばれた男。
この程度の窮地なら(先生によって)経験済み……」
→帝国兵が目の前に現れた!
「…………俺もここまでのようだな」
空を見上げた俺の目は心なしか滲んでいた。
俺を追っかけてた帝国兵Aが追いついてきた。
『はあ………はあ………このガキ、逃げ足はええ………!』
『こんなガキ一人に何やってんだよ。
さっさと殺して探し物の続きするぞ。
全く………兵器のキーだか何だか知らねえが、俺たちゃ何でも屋じゃねえんだぞ』
『お、おい。
機密事項だぞ』
帝国兵Aが慌てて遮ったのをBはフルフェウスのヘルメット越しに笑う。
『は、こんなガキに聞かれたからどうだってんだ?
それにどうせこいつはここで死ぬん』
喋っていたBの頭が突然吹き飛んだ。
『な、なん』
「死ね、帝国兵め!!」
狼狽えていたAも横から駆けてきた影が手を振ると、首と胴が離れそれきり喋らなかった。
「ふう……大丈夫か君?」
刀を振って血糊を払った人がこっちを向いた。
厳つい顔つき、たくましい体、どっからどうみても武人としか表現しようがないおっさんだ。
俺はとりあえず「はい」と返しておく。
見たところ防衛隊の人のようだが………
「あの………防衛隊の人ですよね?
一人なんですか?」
俺の言葉におっさんは目を伏せ答えた。
「…………私は小隊長だったが………部隊員は全員奴らに殺された」
「あ………すみません」
「いや…………」
下りる沈黙。
うん……アレだな……。
地雷踏んだああああああああ!!
時よ、止まれ!いや戻れ!!
戻ってください、お願いします!
戻れ!戻れ!戻れ!戻れよおおおお!!
思わず心の中で祈ってると隊長さんは気を取りなすように笑った。
「ま、今は俺のことは良い。
それより君はどうしてこんな所に?
ここがもう戦場になってるのは知ってるだろう?」
いやー実は兵力足りないから実践投入されたアカデミーの訓練生なんすよ!
しかも俺達で敵を撃退しろとか言われまして、参っちますよネ!
……………言えません。
さて、どう誤魔化そうか…………。
唸っていると隊長さんが突然ハッと後ろを振り向いた。
「避けろ!!」
そう言って俺を突き飛ばし自分も地面を蹴ってその場を離れた。
直後、俺達のいた場所を大量の弾丸が抉る。
『ちっ!!外しちまったぜ!!』
『焦るな、相手は二人だ。
ゆっくりなぶり殺せば良い』
ガション!という音に振り向くとそこには、逆関節の二足歩行で、両腕にガトリングを備えた機械が数体いた。
大きさは2メートル程度、その機械に馬のようにまたがる形で帝国兵が操縦している。
これは………帝国軍の強襲用汎用機『ストライカー』だ。
汎用の名の通り、様々な作戦に投入されている帝国軍の最もポピュラーな機動兵器だ。
マズいな………完全に囲まれてる、逃げ道は………くそっ、ダメか。
『ヒャーハー!
こいつら殺しても良いんだろ!?』
『ああ。それにあの刀使い、見たことがある。
確か、大佐だったはずだ。
殺しておいて損はない』
「え、大佐だったんですかっ!?」
アカデミーの訓練生は、一応少尉の階級を与えられてるが、大佐はそれよりさらに相当上の階級である。
つまりとんでもなく偉い人ということである。
大佐は真剣な顔で俺にだけ聞こえるよう話す。
「………巻き込んでしまったな、すまない。
だが君だけは逃がしてみせるからな」
そう言って刀を振り帝国兵に叫んだ。
「こっちだクソ野郎共!!
風剣のシュライトと一戦交える勇気はあるか!!」
隊長さんの言葉に一人が嬉しそうに叫ぶ。
『風剣のシュライトだとよ!?
大物だぜ!!』
『ああ。奴を最優先目標に設定する。
ガキは後回しだ』
そう言って全てのストライカーが隊長さんに向かう。
隊長さんはそれを必死に避けながら俺に目で合図を送ってきた。
今の内に逃げろ………そう語っていた。
「くそっ…………!」
俺は判断に迷う。
俺が逃げれば隊長さんは確実に殺されるだろう。
だが隊長さんを助けるためにはあいつらをを使わないといけない。
普通なら人命優先だ、だがあいつらがまた危険に晒されるかもしれないと思うと、使う決心がつかない。
隊長さんは必死で避けつつも徐々に動きが鈍くなっているのが分かる。
「くそっ、どうしたら…………!」
「伏せろ」
思わず毒づいた時、そんな声が聞こえ、反射的にしゃがむ。
ゴオッ!!
しゃがんだ俺の上を炎の渦が通過し、ストライカー一体を焼いた。
『う、うわああああ!!』
ドオンッ!!と何かに誘爆したのか爆発するストライカー。
爆発の煙の中、影が一つ降り立ち
「炎爪!!」
手に炎を纏わせストライカーに突き刺し、持ち上げて炎を叩き込み、投げ捨てる。
そのストライカーは地面に叩きつけられた後、爆発四散する。
『何だぁ!?ストライカーがこうも簡単にっ!?』
『落ち着け、冷静に対処を………』
言いかけた一機がバッと後ろを振り向く。
目の前には大佐がいた。
『風剣を………』
言いかけた一機を大佐が刀で縦に両断する。
『り、リーダー!?』
『くそっ、ここは引くぞっ!!』
残ったストライカーが逃げようとするが、大佐の刀に全て斬り捨てられた。
「お前か、ルーク」
声に驚きながら振り向くと、髪が長くなっているがフォンがいた。
ってことは、さっきのはフォンがやったのか……………。
流石、アカデミーでも屈指の魔闘術使い、ストライカーをああもあっさり二機倒すとは。
でも助かった、一応礼ぐらい言っとくか。
「サンキュー、フォン。
今回ばかりはダメかと…………」
「礼を言うにはまだ早い」
「えっ?」
フォンの言葉と同時にストライカー数機、それに歩兵の帝国兵が十数人現れた。
俺の顔から血の気が引く。
「や、ヤバくね………?」
大佐とフォンを見ると、二人とも顔を厳しくしていた。
「………私が囮になる。
だから君達は逃げろ」
「しかし、大佐は重要な人です。
囮になるなら俺達が」
フォンの言葉に大佐は笑った。
「こんな老いぼれ一人より君達若者を生かす方が重要だ。
それに俺には奥の手がある」
大佐の言葉にフォンが答える。
「召喚………ですか」
召喚魔法とは、異界の住人を呼び出す魔法のことだ。
ジルフォーレ共和国しか解読できてない言語で呼ばれるそれは、一体で一軍に匹敵するような強力無比なものであるが………代償は大きい。
何故なら召喚魔法には、使用者の命を捧げる必要があるのだ。
正確に言うと、莫大な魔力を捧げる必要があり、生まれつき魔力が高い魔人の高位種ぐらいにならないと、魔力を全部持ってかれる。
魔力の枯渇=死だから、召喚魔法の使用は特攻と同義なのだ。
フォンの言葉に頷く大佐。
「そうだ、それで時間を稼ぐからその間に逃げてくれ。
そしてできれば風剣のシュライトは最後まで立派に戦ったと……伝えてくれ。
頼んだぞ」
そう言って隊長さんは帝国軍に向き直り、召喚の詠唱を始める。
良いのか………?このまま隊長さんを見捨てて。
あいつらを使えば、この状況を打破できるかもしれないのに。
俺は…………俺は………
「ぐあっ!!」
「っ!?隊長さん!!」
詠唱を始めたのをチャンスと見てか帝国軍が発砲し、それに当たって隊長さんが負傷する、が隊長さんは血を流しながらも、詠唱を止めない。
その姿を見た瞬間、俺は反射的に叫んでいた。
「来い!クロヒメ!シラユキ!」
「ルーク、お前何を……………!」
俺の突然の行動に何か言いかけたフォンが、途中で止め驚きを露にする。
何故なら俺の目の前の空間が割れ、剣が二本飛び出してきたからだ。
「空間が斬り裂かれただと…………!」
フォンが呟く。
俺はそれを掴み、二本を帝国軍に構えて言った。
「力を貸してくれ………クロヒメ!シラユキ!」
《了解じゃ!》
《…………分かった》
――――END――――
作者「恒例の次回予告〜」
ルーク「まだ一回しかやってねえ」
作者「帝国の攻撃に防戦一方となった共和国は驚きの作戦を決行する!
作戦に(強制的に)参加させられたルークは果たして生きて帰れるのか!」
ルーク「……………」
作者「ん?どうした?
鳩がガトリングガン喰らったような顔して」
ルーク「どんな顔だよ!?
いや、結構マトモに予告するから珍しいなと」
作者「ボケは小出しにしないとすぐ枯渇するからな」
ルーク「そんな芸人みたいなこと考えなくても…………」
作者「お笑い王に俺はな―――」
ルーク「言わせねーよ!?」
作者「ではまた来週〜」
ルーク「何事もなかったかのように締めるな!」