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ワールドウォーズ  作者: ブラックシュミット
18/20

17

作「久し振りの~キャラクター紹介~。

ドンドンパフパフー」

ル「もうツッコマないぞ…………」

作「さあ、前回のゲストで大体予想はつくと思うけど、今回のゲストはこの子です」

ユキ「…………どうも」

ル「やっぱりお前か」

作「まあ当然の流れだな。

川が海に繋がるように、ルークが不幸にみまわれるように」

ル「待て、聞き捨てならない言葉が聞こえた」

ユキ「…………早くして」

作「おっと、じゃあユキのプロフィールをほいほいっと」

・シラユキ

・好きなもの(こと)

甘いもの、ホラー

・嫌いなもの(こと)

辛いもの、虫、野菜

・得意なこと

凍らすこと、裁縫

・苦手なこと

暑いところ

作「普通だな」

ル「普通だよ」

ユキ「…………そんなもの」

作「でも裁縫が得意とは意外だな」

ユキ「…………細かい作業は好き」

ル「クロが全然その手のものがダメだけどな。

こいつは普通にうまいぞ、服とかも破れたら縫ったりしてくれる」

作「羨ましい死ね」

ル「流れるように罵倒すんなよ!」

ユキ「…………作者はロリコンだから」

作「ば、バカな!?何故バレてるっ!?」

ル「これ(WW)だけでもロリキャラあんだけ出しといてどの口が言うのか………」

作「…………昔の偉い人も言ってた。

好きなものは好きだから仕方ない!と!」

ル「ただの開き直りじゃねーか」

ユキ「……………自覚があるバカは手に負えない」

作「だまらっしゃい!

ええい、本編の内容だ!」

ル「お、珍しい」

作「本編の内容!

ルーク羨ましい死ねこのくそリア充!」

ル「内容に見せかけたただの罵詈雑言じゃねーか!」

ユキ「…………あながち間違いではないかも」

「すごいですよ!ルーク!

ほら、あんなに地上が遠くに!!」

飛空挺が上昇を続け、シュリテンに向かうコースに乗る頃には、ユニは大はしゃぎで窓から外を見ていた。

うんうん、喜んでもらえたようで何より、それにこういう反応が見たかったんだよ。

魔導飛空挺は共和国民なら誰もが自慢する国の誇りだからな、こういう反応はとても嬉しいものだ。

周りを見ると、初めて飛空挺に乗った子供かと思ってか、周囲の乗客もはしゃぐユニを微笑ましそうに見ている。

「……………何故か失礼な視線を感じるのですが」

「んー?そんなことはないぞ、気のせいじゃないか?」

さて、ユニも期待通りの反応をしてくれたし、俺は到着までゆっくり寝るとするか…………。

「ルーク、ルーク」

持参のアイマスクを付けて寝ようとしたところで、ユニが俺の服をくいくいっと引っ張る。

「なんだ?飯ならさっき食ったから着くまでは買わんぞ?」

「違います!私が食べたばかりなのにもうお腹が減って呼んだみたいな失礼な考えはやめてください。

それだと私が大食いみたいじゃないですか」

「…………」

「その間は何ですか」

「い、いや。で、何の用なんだよ?」

「はい、あの………ここには外に出られる所があるんですよね?

私、そこからの景色も見たいのですが………」

「あー、あそこね………」

知ってたけどあえて言わなかった場所だ。

「良かったら案内を「ダメだ」ってまだ言い切ってないですよ!?」

ユニが不服そうな顔をするが、俺は最初から案内する気などなかった。

「何故ダメなのですか?」

「危ないから。加えて言うとお前はすぐに落ちそうだからな」

落ちたら助けられないことはないが、テーマパークに行く前にアクロバティックなアトラクションをやるつもりはない。

「むー………最近、ルークは私が同じ歳だということを忘れてませんか?」

「もう少し背が伸びて、出るところが出て、落ち着きと常識が身に付いたら同じ歳と思ってやるよ」

「言い過ぎですよ!?」

ユニはぶつぶつ言いながらも甲板へ出るのは諦めたようだ。

それが良い、俺の心臓的にも。

「まあまあ、もうすぐ着くはずだからさ、今のうちに体力温存しとけよ」

申し訳程度に宥めていると

『次はシュリテンテーマパーク、シュリテンテーマパーク』

アナウンスが流れ、目的地に到着したことを告げる。

「よし、そろそろ降りる準備しとけよ」

「は、はい。ついに着いたんですね………」

ユニがさっきまでの不満顔はどこへやら、期待に顔を輝かせる。

『着陸します』

アナウンスが流れ、少し飛空挺が揺れた後、乗客がにわかに騒がしくなる。

「………もう着いたのですか?」

「ああ、さて俺たちも降りるぞ」

「…………静かなのは良いですけど、何か寂しいですね」

「何を言う、離着陸でこんだけ静かにできるのはすごいことなんだぞ?」

「それはそうかもしれませんが………」

まあ、俺も数年前までは物足りなさを感じていたがな。

慣れたらこっちの方が圧倒的に快適ではあるが。

「まあ、飛空挺のことは置いといて行くぞ」

「は、はい」

「おっと、その前に」

俺はユニの手をぎゅっと握った。

「えっ!?あ、あの………!」

《ま、マスター!?どうしたのじゃそんな大胆になって………!!》

《………ヘタレのくせにやる》

何故かユニが慌てだし、クロとユキまでもが信じられないものを見たかのように騒ぎ出す。

「ユニ」

「は、はい………?」

「しっかり掴んどけよ、迷子になったら大変だからな」

俺は幼かった妹に接するが如く優しい声で言った。

「え、迷………子………?」

《あー……… そういう意味じゃったか…………》

《………マスターはやっぱりバカ》

クロとユキは呆れた口調で俺を罵倒し、ユニは顔を俯かせふるふると震えている。

どうしたんだ、まるで恥ずかしさと怒りを同時に堪えてるみたいな様子だが。

俺は黙り込んだユニを連れて飛空挺を降りたのだった。

ーーーーーーーーーーーーー

「ここが…………テーマパーク………」

ユニは平日にも関わらずごった返す人混みの中、テーマパークの入り口で立ち尽くしていた。

俺も久し振りに訪れたテーマパークを改めて見る。

まず、正面にバカデカイゲート、その奥には様々なアトラクションがここからでも見え、おまけにテーマパーク内にはお土産屋や、露店に食べるところまである。

ここまで、娯楽を追求したものはこのテーマパーク以外にはないだろう。

「ルーク!早く行きましょう!」

ユニがキラキラと目を輝かせ俺をせっつく。

「まあまあ、そう焦るな。

まずは受け付けを済ませてからだ」

俺は長い列に並び、30分ぐらいかけてようやく1日チケットを購入した。

ユニとゲートを潜り、早速乗り物を選ぶ。

「さて、まずは何に乗る?

ちなみに俺のおすすめはーー」

「私、アレが良いです」

俺が指した水に浮かぶボートにのんびり乗るアトラクションには見向きもせず、ユニが指差したのはジェットコースターだった。

俺は顔が青くなるのを感じつつ一応、確認を取る。

「………………アレ?」

「そうです、アレです」

「…………俺ちょっとお腹が」

「ルークなら大丈夫です、さあ行きましょう!」

ユニに袖を引っ張られ俺は処刑台に上がる罪人の気分で階段を上がっていくのだった。

ーーーー数十分後ーーーー

「うっ…………ユニ…………の、やつ…………絶叫系ばかり………乗りやがっ…………おえ………」

ユニに散々振り回された俺は、完全にグロッキー状態で休憩所のベンチに横たわっていた。

まさかユニがあんなに絶叫系が好きだったとは…………完全に油断してた、お子様らしく観覧車とかのゆるいのに乗るかと思っていたのに………。

ユニはグロッキーな俺に呆れた顔をしてから、仕方無いですねと言ってから飲み物を買いに行っている。

「マスター、災難じゃったのう…………」

「……………でも、楽しかった。また、乗ろう?」

俺と同じく絶叫系があまり好きでないクロは流石に俺に同情してくれている。

ユキのは聞き流しとこううん、これ以上乗ったら死ぬ。

「ってかお前らの入場料払ってないんだが、その姿で良いのか?」

「ふむ、気にすることはないじゃろう。

まさか剣が人の姿を取ってるとは誰も思わぬだろうしの」

「…………心配しすぎ」

「…………お前ら、俺のことだと思ってか気楽だなおい」

「「だってマスターだし」」

「………お前らの揺るがない忠誠心に涙が出そうだ」

「そうじゃろう?存分にわしらの優しさに涙すると良い」

「…………涙を凍らせてあげようか?」

「…………ほんと何でお前らは常に俺への好感度がゼロなの?」

「それに関してはマスターに文句を言われる筋合いはないわ」

「…………自業自得」

どこら辺が自業自得なのかじっくり問い質したいが、これ以上会話を続けると朝の食い物がリバースしそうだったのでやむ無く断念する。

早くユニ戻ってこねえかなぁ………早くスッキリした飲み物が欲しい…………。

「というかマスターよ、今気がついたのじゃが」

「なんだよクロ。言っとくがもう相手しねえぞ、吐きそうだから」

「情けない理由はともかく、飲み物を買いに行ったユニじゃが………」

クロは黒い目で俺を見つめながら困ったような表情で言った。

「…………販売所までの道は知っておるのか?」

「……………」

俺が固まってるとユキがさらに続ける。

「…………もし買えたとしてもここまで戻れる?」

「…………」

俺はユキとクロの言葉をじっくりと頭の中で反芻し

「ユキクロ今すぐ販売所いや迷子センターだああああ!!」

俺は吐き気も忘れてすぐさま走り出したのだった。

ーーーーーーーーーーーーー

「…………すみません」

「いや、グロッキーだったとはいえ、初めて来た場所で一人にさせた俺にも責任はある。

だから気にすんな」

「そうじゃ、全部マスターのせいにしておくのじゃ」

「…………全責任はマスターに」

「お前らはちょっと俺のハートに気をつけて下さいませんかねえっ!?」

テーマパークの迷子センターや販売所を探し回り、ようやくユニを見つけた俺は落ち込んだユニを慰めながらテーマパークを歩いていた。

共和国最大のテーマパークだけあって、地図やパンフレットを持っていなければ確実に迷うと言われてるぐらいだから、初めて来ておまけに道も分からないユニが迷ったのは当然のことなのだが、ユニはそんな俺の慰めもあまり聞いていないようだった。

「ふう………やれやれ、どうしたものか………」

困り果てている所にふとアイス屋の看板が目に入った。

このテーマパークにあるアイス店は中々の人気で、甘味にうるさいユキとクロも大好物だったりする。

そういえば、ユキとクロに買ってやるって約束してたな………よし。

「悪い、ちょっと離れる。

ユキ、クロ、ユニをちょっと見ててくれ」

「了解じゃ」

「………分かった」

ユニを二人に任せ、俺はアイス屋へと近づく。

「いらっしゃませ」

「ストロベリー一つとラムネ一つ。

それと……………」

しまった、ユニの好み知らねえ。

うーん…………ここは定番のチョコで良いや、好きそうだし。

「チョコ一つ」

「はいどうぞ」

お金を払ってアイスを手に三人のもとへ戻ると、二つほど氷の像みたいなのが立っていた。

「…………なんだコレ」

「お帰りじゃ、マスター………おおっ、ストロベリーアイスではないか」

「…………ラムネ、ラムネ」

「ほらよ、で、コレはなんだ?」

「こやつらはユニに無理矢理声をかけて連れていこうとしていたのでな」

「……………私が退治した」

よく見ると氷の中にいかにもチャラ男といった男二人が閉じ込められている。

幸いというか周りの人は、テーマパークに設置されているオブジェか何かと勘違いしてるようで、騒ぎにはなっていない。

まあ、時間が経ったら溶けるし、反省の意味も込めてこの二人にはこのままいてもらおう。

「ユニ、ほらこれ食え」

俺はユニに視線を向け、買ってきたアイスを差し出す。

「?これは…………?」

「ここのアイスはうまいぞ、これ食ってまた午後からアトラクション回ろうぜ」

ユニはジッとアイスを見つめていたが、そっと俺の手からアイスを取りかじりつく。

「っ!美味しいです!」

「そうか、良かった。

好みの味が分からなかったからな、ほらあそこのベンチに座って食おうぜ」

俺は休憩所まで歩き、そこのベンチにもたれかかる。

昼時だからか、人の姿はなく俺たちだけのようなので遠慮はいらないだろう。

ユキとクロもベンチに座ってアイスを食べ始め、ユニも俺の隣に座りアイスを食べ始める。

「もぐもぐ…………そういえばルークの分はないのですか?」

「あー、俺は今食ったら戻しそうだからパス。

ま、あんまり腹も減ってないし減ったら後で買う」

実は割りと財布の中身がピンチなので、俺の食費だけでも浮かそうと思っている、リバース寸前なのも本当だが。

「……………」

ユニは何故かアイスと俺の顔を見比べてから

「ルーク」

「ん?なんだ?」

「あーんしてください」

「ぶほおっ!?」

俺はユニから貰ったジュースを噴き出し、ユニの方へ顔をぐりんと向けて怒鳴る。

「ななななな、何を言ってんだお前はっ!?」

「ですからあーんしてください。

一口分けてあげますから。

それともチョコ味は嫌いですか?」

「いや、そういう意味じゃなくて…………!!」

俺はアイスを見る。

当然、さっきまでユニが食べていたので、アイスは食べかけ、つまり俺が食えばユニと間接ーーー

「うおおおおおお!!」

「る、ルーク!?木に頭をぶつけてどうしたのですか!?」

去れ、煩悩よ…………!ユニはただ単にアイスを一口やる、と言ってるだけだ。

そうだ何もおかしくはない、だからユニの唇とアイスに視線を送るのをやめろ俺…………!!

「早くしてください、腕が疲れます」

「い、いや俺は遠慮しようかと」

「こんな楽しいテーマパークに連れてきてもらって、私とても嬉しかったんです。

だから、ルークに少しでも感謝が伝われば、と思ったのです。

「そ、それは良いが何であーんなんだ?」

「男の人はこういうのを喜ぶとクラスメイトの皆さんが言ってました」

「…………」

あいつら、ユニに余計なことを……………!!

「それとも………私ではダメでしょうか………?」

「…………分かった、じゃあ一口貰おう」

ユニが悲しげな顔をしたのでやむなく承諾する。

それを聞くとユニはぱっと顔を輝かせアイスを俺の口へ持ってきた。

「それでは、はいどうぞ。あーん」

「あ、ああ」

俺は差し出されたアイスを一口かじる。

チョコ味だが甘味がくどくなく、男の俺でもうまいと感じる。

流石は有名なアイスだが、正直今の俺にはゆっくり味を味わう余裕はなかった。

「(無心無心無心無心無心無心無心無心無心無心無無無無無無無無)」

余計なことを考えないようにしながらひたすらアイスを飲み込むことだけに集中する。

普段なら五秒もかからないことを一分もかけたような気分でようやく飲み込み一息つく。

「どうでしたか?」

「え、あ、ああ。

中々の味だ、こんな状態じゃなかったら一本ぐらい余裕でいけそうだな」

今すぐ叫びながら全力疾走したい気分にかられながら、いつも通り返すよう努めつつ答える。

くっ………確かに一度はこういうのに憧れたことがあったが、実際にやると恥ずかしくてたまらない………!

「ルーク、顔が赤いですよ?

風邪ですか?」

「……………」

おまけにこいつに自覚がないのがホントに………!この鈍感!

「…………お主ら、お似合いではないか」

「…………バカップル」

ユキとクロが呆れた視線を送ってくるのを苦々しい表情で返す。

どこがお似合いだ、俺みたいな繊細「とは反対」な男を

「って今のはどっちだ!?

喧嘩なら買うぞ!」

「ほほう、我らと勝負すると?」

「……………かもん」

「い、いややっぱり喧嘩はいけないよなうん」

ユキとクロはこの姿でも自分で能力が使えるので、本気にさせたら俺に勝ち目はない。

小さい頃は、無謀にも喧嘩を売ったことがあったが………結果は散々だった。

一言で言うなら街の中で雪山で遭難した気分になったな。

「さ、さーて次行こうぜ!

ほらユニ行くぞ」

「はい。アイスごちそうさまでした」

「ユキとクロも行くぞ」

「広い場所に移るのか?」

「喧嘩のためにじゃねえよ!」

ーーーーーーーーーーーーー

「ルーク、アレは何ですか?」

しばらくテーマパークを歩いていると、ユニがある建物に興味を持ったようだった。

「ん?どれどれ………」

ユニが指差した建物を見ると、そこはおどろおどろしい雰囲気を漂う建物………つまりはお化け屋敷だった。

「……………やめとけ」

「ま、まだ建物の説明も受けてませんよ!?」

「いや、入ったらお前絶対に、絶対に後悔するぞ。

泣かれても困るし本当にやめとけ」

「ま、またそうやって子供扱いを………!!

そんなことないですよ!私だって大人なんですから!」

ユニはそう言うと俺の制止も聞かずにお化け屋敷の受付へと行ってしまう。

はー…………仕方ない、付き合ってやるか………。

俺はため息をつきながら、ユニに付いて受付へと行く。

大抵、お化け屋敷は受付も恐怖感を与えるように作られている。

ここも例にもれず受付がやたら赤い色で塗られた雰囲気満点の受付になっていた。

さて、入り口の時点で泣いて逃げ出さなきゃ良いが………ここでうらめしやーとか言われたら危ないかーー

「いらっしゃーい。

お客様二名ですか?」

………………いきなり雰囲気をぶち壊すようなことを言いやがるなこの店員。

「大人二枚です」

「毎度ー、お客さんカップルかい?」

「違います」

ユニが即答する。

肯定されても嫌だが、即答で否定もなんかアレだな……。

「そうかい?

まあ楽しんで行ってらっしゃーい」

「行きますよルーク」

「分かった分かった」

ユニに付いてお化け屋敷の扉をくぐると、中は当たり前だが暗く仄かな灯りのみが点々と規則的に並んでいる。

ユニの方をチラッと見ると、暗くてよくは見えないが若干顔が青ざめているように見える。

「…………どうする?

引き返すか?」

「い、行きますよ………!」

俺の言葉に対抗するかのようにユニはずんずんと奥に進む。

あいつ完全にむきになってるな、まあ散々子供扱いされたから当然か………。

《自覚はしとるんじゃな》

《…………成長?》

「まあ言い過ぎたかとは思ってるがな。

反応が面白くてつい………」

「きゃあああああ!!」

クロとユキと話してると突然、ユニの悲鳴が聞こえた。

「……………早速引っ掛かったなあいつ」

声のした方へ近づくと、足の生えた傘、唐傘お化けの前で震えているユニを見つける。

「おーい、ユニー」

「る、ルーク…………早く助けてください…………」

「分かった分かった、そこ動くなよ」

俺はユニと唐傘お化けの間に立ち、ユニからお化けが見えない位置に体をずらす。

少しするとギミックだったお化けはまた元の場所へ戻った。

「ほら、もういなくなったぞ」

「ううっ…………ルーク、怖かったです…………」

ユニは涙目で俺を見上げる。

不覚にもドキッと心臓が高まるのを感じつつ、冷静に返すよう努める。

「だ、だから言ったろ、お前には無理だって。

ここはお化け屋敷と言ってだな、怖い思いをしたい人達が入る場所なんだぞ」

「最初に言ってください………」

「言う前にお前が入るって言ったんだろうが………とにかく、もう引き返そうにも道が分からなくなったし、このまま進むしかないぜ」

後ろを見ると灯りは消え、前のみが点いている。

たぶん、引き返せないように前のみ灯りが点っているようにしているんだろう。

これもこのテーマパークならではの、無駄に高い技術を駆使したアトラクションということだ。

「る、ルーク…………」

「なんだ?言っとくがクロの能力じゃ出れないからな」

「そうではなくて………その、手を…………」

「あ?何だって?」

「手を繋いで歩いてください………」

「はあ!?お前、そんなこと………」

恥ずかしくてできるか!と続けようとしたが、ユニがすがるような視線を送ってくるので

「………………分かったよ。ほら」

と、手を差し出す。

「あ、ありがとうございます」

ユニは出された俺の手をぎゅっと握りしめる。

や、柔らかいな………それにほんのり暖かくて………

「ざ、雑念退散!雑念退散!」

「ひゃあ!?な、何が出たのですか!?」

「い、いやすまん。

独り言だ」

思わず叫んだ言葉にユニが過剰に反応したので慌てて謝る。

くっ………ユニにとっても戦いだが、これは俺にとっても戦いだぞ………!

声に出さないよう雑念退散を繰り返しながらユニと進むと、古ぼけた井戸が出てきた。

「い、井戸?水を飲めということでしょうか?」

「いや、そんなわけないだろ。

アレもお化け屋敷の定番でな、あの中から幽霊が出てきてそして」

《……………うらめしや》

「きゃあああああ!!」

「うおっ!?

急に叫ぶな、あと、ユキ!今のユニをからかうな!」

《…………面白そうな感じで怖がってたからつい》

「面白くねえよ!?今、ユニが悲鳴出したら俺の耳に全部入るんだよ!」

俺、ここを出るとき鼓膜破れないだろうな………。

「る、ルーク………見てきてください…………」

「分かった、そのまま待ってろよ」

俺はすたすたと井戸に近寄って行く。

タネが割れてるホラーなぞ怖くもなんともない、とっとと確認して先へ進まないと。

俺は井戸の側まで寄って中を覗き込もうとする。

すると中から何か黒い影が上がってきてそれは

ゴンッ!!

俺に強烈なアッパーを食らわせた。

「ごはっ!?」

「ルーク!?」

まさか直接的な攻撃を食らうとは思わず、俺はろくに受け身も取れずに床に倒れ込んだ。

揺れる視界で何とか俺をぶっ飛ばした物を見ると、井戸から出ていたのはアッパーの姿勢で固まっている筋肉ムキムキの男の人形だった。

「何で………やねん………」

薄れゆく意識の中、何でお化け屋敷なのにボクサーの人形?おまけにアッパーの姿勢でとか確信犯じゃねーか、という思いを込めたツッコミを入れつつ俺の意識は途切れた。

ーーーーーーーーーーーーー

あの後結局、ユキとクロが人になって俺を引きずりユニを護衛しつつ外まで連れて行ってくれ、無事お化け屋敷を抜けることができた。

意識を取り戻した俺はスタッフに文句を言ってやろうかと思っていたが、受付にいたスタッフはおらず「トイレ休憩」とふざけたことを書いてある紙切れ一枚しか残っていなかった。

「いてて………くそ、あそこの製作者見つけたら絶対に同じようにアッパーカット食らわせてやるからな………」

「中々斬新で面白かったぞ?」

「……………センスを感じた」

「そりゃ井戸からお化けの代わりにボクサーの人形を出すお化け屋敷は斬新に見えるだろうよ…………」

やられる方はたまったもんじゃないが。

ちなみにユニは

「……………………」

よほど怖かったのか、ぼうっと一点を見つめたまま動かない。

恐らくこれから先、ユニがお化け屋敷に入ることは一生ないだろう。

「さて、わしらは戻るぞい」

「……………そろそろ時間」

「ああ、もうそんな時間か」

時計を見ると、あともう少しで飛空挺の発着時間だ。

急がなくても大丈夫だが、あまり時間のかかるアトラクションは乗れない。

かと言って最後がアレと言うのもちょっと嫌だ。

何か良いのがあれば………。

周りを見回すとある物が目に入り、俺は最後に乗るアトラクションを決めた。

「おいユニ、最後はあれ乗るぞ」

「……………はっ、あ、あれとは何ですか?」

「あれだよあれ」

俺は目の前を指差す。

そこにはテーマパークの目玉の一つ、観覧車があった。

ーーーーーーーーーーーーー

「うわあ……………!」

感嘆しながらユニは地上に広がる景色をはしゃぎながら見ている。

「良かったよ、喜んでくれて」

予想通りユニが喜ぶ姿を見て満足げに頷く俺。

それにしても狭いからかちょっと暑いな、窓を開けとこう。

観覧車が一番高いところにさしかかるころ、ユニは俺の方へ顔を向ける。

「ルーク、今日は本当にありがとうございます。

私、すごく楽しかったです」

「改まって言われるほどのことはしてないけどな」

「いいえ、ルークは私に今まで見たことのない世界を見せてくれました。

だから改めて………ありがとうございました」

そう言ってユニは深々と頭を下げる。

俺は内心照れ臭く感じながらも表面上はいつもの通りに返す。

「お前は本当に律儀だなー」

「もう、茶化さないでくださいよ。

私、真剣に言ってるんですよ?」

ユニが少し怒った顔で俺に顔を近づける。

俺は少し立ち上がってユニから少しでも距離を遠ざける。

「ちょ、近いって」

「いつもルークは私をからかうんですから。大体いつも子供扱いしますが私はれっきとした17歳………」

その時、開けた窓から強い風が吹き込み、俺たちの乗ったゴンドラが揺れた。

「うおっ!?」

「きゃあ!?」

その時、立っていた俺はユニの方へ倒れ込み、ユニの白い髪に触れ、ユニの甘い匂いを感じながら、そしてユニの方へ倒れ込みーーー

ずるっ

ユニを通り越して開けていた窓から外へ落ちた。

「え……………ぎゃああああああああああああ!!」

「る、ルークーーーーーーーーーー!!」

その後俺は、落ちた時がちょうど低かったので大事には至らなかったが、帰りはまたユキとクロに頼ることになったのだった。

ーーーーーENDーーーーー

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