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瞑想と論争  作者: ムルイ
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瞑想と論争(2話)

瞑想と論争(2話)



不意に込み上げてくる懐かしさが、思い出の日々を思い起こさせていく


消えない傷跡を指でなぞりながら

人を閉じては、何度も思い出の日々を繰り返しながら眺めていた。


遠くから聞こえてくる車の音と人の声が聞こえてくる。

ほんの少しの間…感傷に浸っていた。


『あの…すみません…』


『………』


『すみません』


『………』


私は、ぼんやりと誰かが呟くのを聞きながら夕焼けの空を見つめていた。

此処は、喫茶店の中だからとなりの席の誰かに話しかけているものと思いながら無視をしていた。


『あの…』


『………』


『………』


梶山(かじやま)さん?!』


『………はい??』


私は、少し驚きながら振り向くと背広姿の男性が立って私を見ながら愛想笑いをしていた。


『あら?高山(なかやま)さん!どうして此処に居るんですか?』


『柴原さんに頼まれたもので』


『柴原さんが?』



私は、少し驚きながら高山さんを見た。

少し肥満体型のスーツ姿の男性が額に汗を滲ませていた。

この真夏の暑さの中を歩いていてきたのだろう

私は、高山さんに前の席に座るよう言うと高山は、笑いながら座ると片手に持っていた。

B4サイズの茶色の封筒をテーブルに置いた。


『あら?なんなの?』


『柴原さんから預かってたのを持ってきたんですよ。この時間に梶山さんが、この喫茶店に居るから渡して欲しいと…』


高山は、周りの客の様子を見ながら小声で囁く


『実は、あの事件の何かの資料みたいですよ。』


私は、一瞬鋭い痛みを感じるような胸の鼓動を感じていた。


1ヶ月前の殺人事件の事を思い出していた。

都内のビルのゴミ置き場に、数体の女性の死体が発見されたのだ。

その事件から約1ヶ月…捜査は、難色の色に染まり

手かがりも目撃者も居なかった。


遺体は、大学生や主婦に子供だった。

被害者の共通点も見つからないまま…犯人の犯行目的も分からないままだった。


ただの愉快犯か…?


ただの気のふれたイカれたサイコなのか?


それとも…精神を異常な者なのかもしれない…。


私は、茶色の封筒から中身を取り出すと数枚の紙と写真とコインロッカーの鍵が入っていた。


『梶山さん…あの事件に触れない方がいいですよ。上層部の方もなにやら…このまま、未解決のままにするんじゃないかっという噂を聞いたもので…。』


『未解決…?』


『ええ…見つかったビルが、どうやら大手の製薬会社が所有するビルみたいで、どうやら…上層部も安易に足を踏み込めれない大物が居るみたいですよ…』


『大物?』


『ええ…所轄の職員全員移動させられるとか…依願退職に追い込まれるとか…色々あるみたいですよ』


『もしかして…身内?』


『梶山さんでも知ってるでしょ…警察でも恐れる部所ですよ…』


『まさか…なんで、そんなものが、製薬会社とどんな繋がりがあるのよ』


高山は、額にビョショリ濡れる汗を浮かべていた…。

私の顔を真顔で見ていた。

どうやら、彼は、何かの情報を掴んでいるのだろう…



『上層部の天下り場所ですからね…。その製薬会社の警備担当者全員…所長クラスの人達ですから…。』


『全員、所長クラス?私、五年警察してるけど、そんな話し聞いた事ないわよ ガセネタか噂話じゃない?』


『それは、梶山さんが、女だからですよ』


『女だから?それは、差別じゃない高山さん…』


私は、少し不機嫌気味に言うと高山は、慌てながらハンカチで額の汗をぬぐいながら


『違います!違います!女性だから差別してませんよ!本当ですよ!信じて下さい!』



高山は、何かに脅える目で私を見ているのに、私は、違和感を感じていた。

高山は、挙動不審に辺りを見回している態度を見ながら語りかけると高山は、少し驚きながら私に返答した。


『どうしたの?高山さん?さっきから落ち着きもないし…いつもの高山さんと違うわよ』


『そりゃそうですよ…柴原さんが調べてる事は、日本初の大事件なるかもしれないんです!』


『日本初??』


『国家権力の闇の部分を暴くかもしれないですから今回の事件の真相は?』


『柴原さんは、一体何を調べてるの?そんな事、私は聞いた事はないわよ』


突然携帯の呼び出し音が響く

高山は、慌てながら携帯をズボンのポケットから取り出し携帯の画面を見ると呼び出し音が鳴る携帯をまたズボンのポケットの中に入れた。


『??高山さん出ないの?』


『えっ…?!いや…別にいいんですよ。高校の同級生ですから…。』


『そうなの…』


無理な愛想笑いを浮かべながら喋る高山さんの姿を見ながら私は、違和感を感じていたが何も聞かないまま…高山と普通な会話していた。

この職業している者同士あんまり詮索しない方がいい…。


10分ぐらい話してから…

高山は、喫茶店から出ていくと私は、高山から受け取った封筒をカバンに入れて喫茶店を出った。


いつもは、穏やかな性格をしていて警察官だと思えないほどのオチャラけた性格の高山さんだったのだが、今日は、いつもと違う何かに脅えるような瞳で、私を見ていたのが、なんとも言えない違和感を抱かされた…。


私は、歩道を歩いていると道路の向こうで、携帯で話しながらタクシーに乗り込む高山さんの姿を見た。


これが、高山さんの最後に見た事になるとは、思わなかった。

もし、高山さんに私は、携帯相手が誰だったとか…なにをそんなに警戒しているのかを聞いていたら

この死という結末は変わっていたのだろうか?


私は、うっすらとした意識の中で、高山さんの葬儀に参列していた。

遺族の人達は、涙を流しながら参列している人達に挨拶をしていた…。


私の心の中で、瞑想と論争が繰り返されていた。

まるで、答えのない問題の答えを模索していた…。


何度も…


何度も…




雨が降る都会の街は、真夏の暑さが湿気を誘い

ほんのり冷たい風が吹き抜けていく

女性が一人歩きながら曇り空を見ていた。

先程のどしゃ降りの雨が嘘みたいに消えて

微かに降る雨の中を歩く

パトカーが数台止まっており周りには、人気がない…路地裏の向こうは、大きな倉庫が並んでいた。


『あっ、すまないが…今現場の保存してから鑑識を呼んでくれ』


一人の年輩の男性が、二人の黒いスーツの男に、そう言うと女性の存在に気づくとほんの少し溜め息をついた。


『ふぅ…梶山のネェちゃんは、署でノンビリ待っていたらいいものを…何で来たんだい?』


『高山さんらしき死体が発見されたと聞いたからです。』


私は、真剣な表情で年輩の男性の瞳を見つめる


『此処にある遺体が高山だと言ったら大人しく帰るかい?』


『それは、できません!高山は、私達と同じ部署の人なんですよ!犯人を捕まえるつもりです!』


『……自殺だから犯人も探さなくてもいいんだよ。梶山…高山の為だ帰れ…。』


『自殺??』


『そうだ』


暫くの間…年輩の男性と私は、深い沈黙の中…見つめ合っていた。


『ふぅ…梶山のネェちゃんの熱意は分かるが…真実と現実は、残酷だぞ 俺も高山のあんなブザマナ最後を見ると思わなかったぜ』


年輩の男性は、ほんの少しどんよりした曇り空を睨んだ。


『………』


私は、無言のまま…黄色のテープで貼られている

廃虚とした団地の建物を見つめる。



『梶山来い…お前も捜査員の一人に入れ!今回は、殺人じゃなく自殺だが…高山は、警察の一員だから現場検証は、一般人と違って徹底的やるから誤って自分の指紋とか痕跡残したら徹底的疑われるから気をつけろよ』


『はい!木嶌(きじま)さん』


私は、木嶌さんと廃虚化した団地に入っていく


この出来事が、全ての引き金になっていったのかもしれない


古く閉ざされた真実へ通じる扉を開く鍵を探すように、全ての疑問、トリック、痕跡、を探し解いていく事で手に入るのかもしれない

この大きな謎の真実の答えを



私は、蒸せかえるような湿気を感じながら廃虚とした団地の一室に居た。壁は、カビがはえているし畳みもボロボロになっていた。

天井の中央にある蛍光灯はなく

そこには、天井に縛りつけた縄で首吊りしてる高山の姿があった。


私は、思わず…涙が込み上げてくるのを我慢をしながら高山の遺体に近づくと微かに悪臭がした。

畳みの上に、遺書らしきものがあった。


『遺書には、触るなよ 鑑識が来るまで待ってろ梶山…』


『はい…』


私は、ほんの少し違和感を感じていた。

何故…高山さんが、こんな所で自殺していたのか?


2日前の高山さんの不審な行動と関係あるのか?


私は、頭の中で思考を巡らせながら辺りを見回してみると先程の木嶌さんが指示を出していた男性二人の姿はなかった…。


『梶山、ちょっとこっちに来てみろ…お前には、あんまり見せたくなかったんだが…高山の奴の本当の姿を知る事も大切か…。』


『木嶌さん、それは、一体どゆう事ですか??』


『まぁ、、自分の目で見てみればいい…隣の部屋を…さっきの問いの答えが分かるさ…』


『………』


私は、無言のまま木嶌さん見てから隣の部屋の扉を開けた。




真っ暗な暗闇の中に、私は、なにも考えないまま…

ただ、呆然としていた

高山さんの葬儀も終わり私は、自宅で居た。

葬儀は、密やかなものだった。

参列する者は、警察関係者や身内の人しか居なかった。

マスコミもなく混乱もなく騒動もなく静かに終わった。

私は、五年間この仕事をしているが…同僚が自殺するとは考えもしなかった。


私は、喪服を脱ぎ捨てて

下着の姿で、ぼやりと窓の外の夜景を見ていた。


『私は、なぜあの時…』


ほんの少し…疑問符を抱き始めたのかもしれない…。

木嶌さんが、現場を取り仕切り

上層部と木嶌とで、あの時見たものを一部隠ぺいしたのだ…。

警察の名誉の為だというべきだろうか

高山さんの功績を汚さない為だと木嶌さんが言うが…私は、その真実を目の当たりして

その隠ぺい工作に対して何も言えないまま

無言のまま…頷いた自分自身に、今になって腹立たしさと後悔の念に苦しんでいた。


でも、木嶌さんと上層部との隠ぺいにより

マスコミ、野次馬から誹謗中傷的な事は、言われないまま

高山さんは、よき警察官として人生の幕を下ろせたのだからよかったのかもしれない…。


私は、何故か何処と無く疑問と納得できない気持ちが込み上げていた。


私は、テーブルの横に置かれたカバンの中から高山さんから受け取った茶色の封筒を取り出して

テーブルの上に、中身を出した。


もし、柴原さんが居れば、木嶌さんの考えが間違っていると口論しているだうか?

高山さんの自殺の原因が、どんなものでも

柴原さんは、上層部の考えに反論しただろうか?


私は、浴室に行き熱いシャワーを浴びながら頭の中で交差する瞑想と論争


私は、深夜のタクシーに乗っていた。

人気のない街を走りながら

駅の側にあるコインロッカーを目指していた。

柴原さんからの手紙には、こう書かれていた。


[私は、過去の中にある事件の真相を探している時に、偶然にも梶山さんのお父さんの最後の山の資料を見つけたので、この資料を梶山さんに預けたいと思います。]


そう書かれている手紙と10年ぐらいの前の未解決事件の記事を切り抜きコピーしたものがあった…。

その記事の内容は、1ヶ月前に起きた事件と類似したものだった。


私は、タクシーを降りて辺りを見回してみると人がまばらに居るだけで、いつもと変わらない風景だったが…。

どことなくいつもと違うような異様な空気を感じていた。



夜の街を横切るように終電の電車が走る車内は、人の気配がなかった…。


古びれたノートには、父の文字で書かれたと思われる過去の事件の捜査資料があった…私は、それを読みながら終電の電車揺られながら父の最後の事件の資料を見ていると…そこには、私も知っている人の名前があった。


柴原さんは、父が死んだ真相を知っているのかもしれない

10年前の父の事件の捜査資料の中に、柴原さんの名前があった。


粗大ゴミの中から数人の遺体が見つかった

そんな、新聞の記事の写真があった。

その記事の映るモノクロの現場の写真には、野次馬の人達の中に父と木嶌さんの姿があった…。


私は、この3日間の間で様々な出来事から強いストレスと疲れを感じていた。

高山さんの自殺から私は、ひとつの疑問を感じていた。

木嶌さんと上層部のやり取りの中で、私は、父と高山さんの死は、自殺ではないと感じていた。



コインロッカーを開けた時、私の後ろに立つ者を気配を感じ振り向くと木嶌さんが居た。


『梶山、それを俺に渡してくれないか?梶山の娘だから妙な痛い目をさせたくないんだ』


木嶌は、険しい顔をしながら私を睨んでいた。


『木嶌さん、なぜ此処に居るんですか?』


『……高山が何やら古い事件をあれこれ探っていたんで、尾行をつけていたんだよ。高山が自殺する前の日に、梶山と会っていたと二時間前に聞いてな…梶山を尾行してたんだよ』


尾行(びこう)?なぜですか?』


『お前には、問題を問いかける権利はない…それを俺に渡して…全て忘れろ…』


『何を言ってるんですか?木嶌さんは、父の死の事で何かを知ってるんですか?』


『………梶山も高山も自殺だ。その資料は、警察の資料室から盗まれたもので、それを持っていると梶山も知っているだろうが…犯罪だぞ!』


『………』


木嶌さんは、威嚇するように私を睨みつけながら罵声のように語りかけてくる。


私は、コインロッカーの中にあった黒いカバンを力強く持ちながら木嶌さんを無視をして歩き出す。


『犯罪だというなら捕まえたらどうですか?』


『親父さんにそっくりだな…』


木嶌さんは、それ以上は語る事はなく

私の背中を見ていた。


『梶山、その資料は、焼き捨てろ』


『………』


私は、無言のまま駅のホームに入ると五分後に終電の発車を知らせるアナウンスを聞いていてた。

後ろを振り向いたが、木嶌さんの姿はなかった。



私は、足早に最終電車に飛び乗り宛のない旅に出た。

父が残したもの全ての謎を解き明かす鍵になっただろう


この迷宮の謎の真相を紐解く

答えを残していたのだろう


柴原さんは、蓮君という探偵の卵の青年と小さな町に行った事を知った。


杉原蓮(すぎわられん)は、私が初めての殺人事件を担当した時に知り合った。

青年だった…もしかしたら歩むべき道が一緒だったら彼は、優秀な刑事になっていただろう


『柴原さんと蓮が、どうして一緒に居るのだろうか…なぜ、柴原さんは、私に何も言わず行ったのだろうか?』


私は、そんな独り言を言いながら資料を暗記していく

携帯のカメラを使い

資料の所々を写していく


『父は、なぜ…この事件の事で、単独で調査をしていたのだろう…?』


人気のない車両の中で、そんな独り言を呟きながら電車の窓から見える外の世界を眺めていた。


この電車の行き先は、どうやら柴原さんと蓮の居る小さな町がある方向に向かっていた。

必然というべきだろうか?偶然じゃなく運命的なものだろうか…?


私は、携帯の画面を見ながらボタン押していく

そして、とある人物に電話をかけた。


『もしもし…梶山です。もし訳ないですが、暫く休みたいのですが……はいはい……分かってます。……2日だけ休みます。……はい……はい……無理を言ってすみません……。』


私は、一息をつきながら少し緊張した心を静めるように深呼吸した。


私の上司の所長に電話をしてみたのだ…

さっきの木嶌さんの話の中で、二時間前にそんな話しを聞いたと言っていたが…所長は、普通に応対をしてくれたが、何も不審な点もなかった。木嶌さんは、一体何者から聞いたのだろうか?

そんなに、この資料に重要なものも感じなかった…。



どうして、木嶌さんは、この資料を返せっと言ったのだろうか…?


私は、そんな疑問を抱いていた。




荒れ果てた部屋の扉を開けた

目の前には、二人の黒いスーツ姿の男が部屋の中を見渡しながら現場の状況を調べていた。


私は、テーブルの上に置かれた鞄と白い粉らしきものが入った透明の袋が散乱していた。


私は、恐る恐るテーブルの側に歩み寄ると背後から声がした。


『それは、うちの署から紛失した。ヘロインみたいだ。どうやら高山が盗んでさばいてみたいだぞ』


『高山さんが!?』


私は、信じれない気持ちと現実感のない感覚の部屋の中で、ただ、今起きてる事が、現実なのか夢なのかを疑っていた。


私は、木嶌さんと捜査員と鑑識と上層部との会話の中で、高山さんが死んだ事は、ただの自殺で亡くなった事にしてヘロインは、なかった事にしていく論争の中で、私は、反論したが…高山さんの最後の人生に汚点をつけたくないのと、警察への信用を失う事を恐れていた。

今年になってから警察官の汚職、未成年への淫らな盗撮行為や暴行が繰り返されていた。

その事から これ以上の警察官の失態を晒したくないという上層部達の考えに、私は、逆らえずにいた。

この時、ヘロインの話しは、まるでなかったようになった…。


私は、瞳を閉じながら暗闇を走り続ける最終電車に揺られながら

高山さんが死んだ時の事を思い出していた。


もしかしたら…父が残した事件の調査に何か隠されているのかもしれない…。

私は、ぼんやりとした意識の中で、封筒の中を見てみるともう中身はないと思っていたが、封筒の奥に一枚の写真があった。


私は、その写真を手に取るとそれを見た。

そこには、木嶌さんと少女が写っていた。




ひとつの波紋は、やがて大きくなっていく巨大な波紋になってく

そして、全てを奪いすくし無にしていく巨大な津波なっていくだろう…。





深夜の街は、人は絶えず何かを求めるように歩き続けている。

様々な願望と願いを求めながら

今日という1日を生きていく

新しい1日の始まりの時間を無機質の街をさ迷いながら生きている意味を探しているのかもしれない


一人の少女は、ほんのり微笑みながら星の見えない夜空を見上げながら歩いてる。

誰かに話しかけられても無視をしている。

まるで、人形のような顔立ちの少女は、無機質な夜の街の中を漂う蛍火のような存在に思えるような無垢な微笑み浮かべながら歩いてく


少女の瞳には、不思議な力があるのかもしれない

度々ナンパ目的や水商売のスカウトの男達が、しつこく声をかけているのだが…誰もが、その少女の瞳を見つめると無口のまま、その少女が通り過ぎていくのを見ているだけだった。


その少女は、真夜12時の純粋ねシンデレラだと言われていた。


その少女の瞳を見ていると救われる癒されると噂があった。

冗談混じりに、若者達がその少女に話しかけると誰もが無口のまま

その少女の瞳を見つめたまま、その少女の後ろ姿を見つめていた。


いつしか、マリアの瞳の少女と呼ばれていた。


無機質な真夜中の街に現れる少女は、この街で知らないものは居ない


ただ一度、少女が立ち止まった事がある

誰もが、その光景を異様に感じたのかもしれない


青年は、ベンチには座りながら

ぼんやりと星の見えない夜空を見つめていた。


少女は、その青年に話しかけると青年は、微笑みながら少女に答える


少女は、夜空を見上げると無邪気に微笑みながら指差しながら呟く


『星が見える』


微かに輝く一つの微かな星の輝きを周りの人も見つめていた。


青年は、立ち上がると歩き出していく

少女は、なぜか今まで見せた事がない微笑みをしながら背中を追いかけていく


青年は、戸惑いながら少女と微笑みながら話していた。


まるで、別世界の二人を見るように、行き交う人達が二人を見ていた。




深夜のニュースが、深夜の番組が独占していく

電車の脱線事故…乗客は、全員死亡と報じられていた。

消防活動や警察の映し出されテレビの画面には、微かに小さく映る木嶌の姿があった。

私は、その映像を見ながら古びれた探偵事務所に居た。


あれから4つ目の駅から降りた私は、駅のトイレに入っていた。

コインロッカーから柴原さんからの資料と服が入っていた。

一枚の手紙が書かれていた。


[梶山へ 私は、とある事件の真相を探している。君は、私の友達の娘さんだから巻き込みたくなかったのだが…。色々な事情から君を巻き込む事になるだろう…もし、最終電車の座席に座り この資料を見ているならば、4つ目の駅で降りて、この服に着替えて欲しい]


私は、柴原さんが何をしようとしているのか分からなかったが、突然の脱線事故の報道のニュースを見ていると事の重大さと恐怖と不安を感じていた。



私は、スーツ姿からカジュアルな十代風の格好をしていた。

そんな姿をした自分を見ていると…

父に反抗していた私を思い出していた。

古びれたビルの一室の探偵事務所の中は、古めかしい家具で統一されていた。

まるで、探偵洋画の映画に出てくる部屋を見回してみると

テーブルの上にある携帯電話に気づき

私は、その携帯を手に取り

電話帳の画面を見ると名前の所に、[梶山さんここに電話してね]

そんな文章を見ながら蓮君の悪戯ぽい笑顔を思い出していた。


呼び出し音が響く

やがて、蓮君の声が聞こえてくる。


『蓮君!』


『梶山さん??』


『そうよ。柴原さんは居るの?』


『それが、はぐれてしまったというか、襲撃されたというべきか…』


私は、蓮と話しながらテレビの画面を見ながら何が起きているのかを理解して情報を整理しようとしていた。


『とりあえず、こっちの状況が、何とも言えないから その部屋なら安全だからゆっくりとしていてください。また、後で連絡しますで…』


『もし、柴原さんに会ったら連絡頂戴!蓮君無理しないように!』


私は、困惑していたのかもしれない普通なら警察に頼る状況なのに頼る事ができないという事と私自身が警察という立場に居ながらなにもできない無力感に…




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