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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

101万回恋をした少女

作者: 雪柳オイル
掲載日:2026/04/13

恋人は近くにいた。

「ゴメン! キミとも駄目みたい!」

手を合わせ、頭を下げる。申し訳なさそうな顔で。

「ははは、いや、いいんだよ。

いい人が見つかるといいね」

ひきつった笑みで、男子は言ってくる。


「あー。

また1つ恋がおわったー」

私は歩きながら、ガクンっとうなだれる。

隣の幼なじみ(♀)は、何も反応してくれない。

「またフッちゃったよー。

なんかふしだらな女だー」

涙目の私。


「はあ。いつになったら恋できるんだろう、私」

さっき、放課後で男子と1つ恋を終わらせてしまった。

恋ができなかったから。


今は、下校中。毎日のように、幼なじみのサエと一緒に帰っている。相変わらず無口だけど。嫌われている訳じゃないよ、幼稚園から今の高3まで一緒だけど、1回も声を聞いたことがない。誰も。サエの弟すら。

中学校の卒業証書を校長のハゲからもらうときは、そりゃあもう、声を聞けると期待したんだけど、うなずいただけだったし。


「恋したーい! 青春おくれー!」

叫ぶ。




『恋心』が私には分からない。

アロマンテイック、と言うらしい。


産まれてから1回も恋をしたことがない。

イケメンって周りの女子から言われていた男児も、付き合ってみたけどダメだったし。


分からない私なりに考える。

ドキドキするのが『恋心』なんだろう。

相手を見るのすら恥ずかしくてできない。手をつなごうとするけど、やっぱり恥ずかしくてできない。


ドキドキ=恋心。


100万回生きたネコか、100万回死んだネコか、どっちだったか忘れたけど、そんな絵本がある。

何回も死ぬけど、何回も転生してしまう、転生モノの開拓者。けど、最後は、ある1匹のネコに恋をし、付き合い、幸せに暮らし。

転生はせず、その人生(ネコ生?)で命が終わりになる。


私も、100万回くらいはムリでも、たくさん付き合ってみようと。

そうすれば、いつかこんな私でも『恋』をして、幸せになるんじゃないかと。


幼稚園から高3まで、たくさんの男子と付き合ってきた。

「100万回って言っても過言じゃないよね、よねっ」


反応はない。

こっちはわざわざ顔を見て言ってやってるのに、向こうは見もしない。


小学校から高3まで、毎日ずっと一緒に帰ってるし、昼休みも一緒にいるのに。


なんか、一緒にいると落ち着くから。

ドキドキはしないけど、落ち着く。

ストンッ、て、テトリスみたいに、何かがピッタリとはまる感じがして。


…。


いやいや、まさかね。


「いっそ、サエちゃんと付き合ってみよっかなー」

笑顔で言ってみる。


ピタリ、とサエちゃんが立ち止まる。

不味いな、怒らせてしまったか。大切な親友なのに。


「冗談だってー、だって幼なじみだし、女子と付き合ったことないし」




相変わらず、立ち止まったまま。

ブラック校則が健在していたら、切ってこいと命令されるような、サエの長い前髪。それのせいで、感情はなんとなくしか分からない。


サエちゃんは、ゆっくりと、私に顔を向け、


「小さかった頃から、わたしはずっと貴女に恋してたよ?」

初めて聞いた声、それと一緒に衝撃的な発言。


小さかった頃から、ずっと私に恋してた?


え、ずっと近くにいたのに、この女子は私に恋を…? 私は全く気付かないで?

いや、確かに、テトリスみたいな、はまって気持ちいい感じは、あるんだけど。


今度は、私が立ち止まり、固まる番。


数秒の間。

なんとか私は声をノドから絞り出す。


「…マジで?」

100万回恋人の関係になり、『恋』をしようとした。


101万回目の『恋』は、本当の『恋』になるのかもしれない。


100万の次は100万1?

読んで頂きありがとうございました!

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