不思議な日常
翌朝、町は穏やかな光に包まれていた。
空は透き通るように青く、草や葉は朝露に濡れてきらきらと光る。町の屋根の上には小さな生き物たちが集まり、柔らかく光る羽で空を舞っていた。
アオイは目を覚ますと、モコがそばでふわふわと跳ねているのに気づいた。
「おはよう、アオイ。今日も冒険の日だよ」
モコの声に促され、アオイは昨日と同じくサクラと広場で合流した。
「おはよう、アオイ! 今日は川まで行ってみようよ!」
サクラの瞳は昨日以上に輝いていた。アオイは思わず笑顔になる。
二人は町の小道を駆け抜け、光る川のほとりに到着した。
水は虹色にきらめき、踏み込むと足元が柔らかく弾むような感触だった。川の水面には小さな光の粒が漂い、触れると手に温かさが伝わる。
「すごい……触っても大丈夫なんだ」
アオイは慎重に手を入れ、水の感触を楽しんだ。
「この川の水にはね、ちょっとだけ魔法があるんだよ」
サクラが小さな声で教える。
「触ると、心が落ち着いたり、楽しいことを思い出したりするんだ」
アオイは目を閉じ、川の温かさを感じながら、自分が少しずつ町の空気に溶け込んでいるのを感じた。
その後、二人は町のあちこちを巡った。
壁を滑る妖精たちに追いかけられながら、小さな迷路をくぐり抜ける
光る花の庭で、花を集めて小さな光の輪を作る
空中を漂う植物に乗って、町を上空から眺める
どの体験も、日常では考えられない不思議さと楽しさに満ちていた。
「ねえアオイ、町の時間ってちょっと変だと思わない?」
サクラがふとつぶやいた。
「朝に出かけても、気がつくと夕方になってるみたい。でも、不思議と疲れないんだ」
アオイはうなずく。
「うん……時間の感覚が少し違うんだね。でも、ここにいると安心する」
モコは二人の周りでふわふわ跳ね、耳と尾を揺らしながら言った。
「町の魔法は、住む人や訪れる人の心とつながってるんだよ。君たちが楽しんでいると、町も元気になるんだ」
夕暮れになると、町は柔らかいオレンジ色の光に包まれた。空を飛ぶ生き物たちや光る植物が、静かに輝きを増す。
二人は広場に座り、今日の冒険のことを話しながら笑いあった。
「ねえ、アオイ……この町、ずっといたくなるね」
サクラの声には、本気の喜びがこもっていた。
アオイも心からそう思った。
「うん……本当に、特別な場所だね」
その夜、アオイはふと考えた。
この町で過ごす時間は夢のようで、現実の世界では味わえないけれど、確かに自分の中に何かを残している――勇気や友情、そして自由な心。
「明日も、もっといろんな冒険をしよう……」
アオイは小さくつぶやき、モコの暖かさを感じながら眠りについた。
町での不思議な日常は、アオイの夏休みを少しずつ色鮮やかに染めていく――




