サクラとの出会い
町の中心にある小さな広場で、アオイはふと足を止めた。
光の粒が空中でくるくると舞い、草の間から小さな花々がひょこっと顔を出している。そこに、同年代くらいの女の子がひとり、草の上を跳ねるように歩いていた。
「わぁ、見て! この花、光ってる!」
女の子は歓声を上げながら、手を伸ばして花を触る。触れると花が柔らかく光を放ち、ほんのり温かい光が女の子の手に伝わった。
アオイはその様子に心を奪われた。自然と顔がほころぶ。
「ねえ……」
モコがアオイの肩にちょこんと乗り、ふわふわの耳をぴょこぴょこ揺らす。
「君のこと、案内してくれる友達になれそうな子だよ」
アオイは勇気を出して声をかけた。
「こんにちは、私……アオイ。あなたは?」
女の子はにっこりと笑った。
「私はサクラ。この町で遊ぶの、大好きなの!」
彼女の目は輝いていて、言葉に迷いがない。アオイはその元気さに少し驚いたが、すぐに安心感を覚えた。
「一緒に町を見て回ろうよ!」
サクラは手を差し出し、アオイを誘った。アオイは少し戸惑ったが、モコの励ましもあって、手を握った。
こうしてアオイとサクラの小さな冒険が始まった。
町の路地や小さな橋、光る川を巡り、二人は互いの名前を呼び合いながら笑いあった。
「ここ、すごいね。なんでも話す生き物がいる!」
アオイは目の前の光景に心を躍らせる。透明な泡のような生き物が空中を舞い、花の水をまいていた。
サクラはにこにこしながら言った。
「この町は、毎日が冒険なんだよ。楽しいことも、ちょっと不思議なこともいっぱい」
二人は森の奥にある小さな丘に登った。丘の上から見る町は、屋根や塔、光る植物が入り混じり、まるで別世界の絵本のページのように広がっていた。
「……すごい」
アオイは言葉を失った。
今までの日常では味わえなかった感覚――胸が熱くなるような、わくわくする気持ちが心の中に広がる。
モコも小さく光を放ちながら、二人の周りを跳ね回った。
「ここで過ごす時間は特別だよ。君たちが仲良くなればなるほど、町の魔法も強くなるんだ」
サクラはアオイの肩を軽く叩き、笑顔を向ける。
「ねえ、アオイ。今日はこの町のいろんな場所を見て回ろうよ。秘密の場所も知ってるんだ」
アオイはうなずいた。
胸の奥が温かくなり、少しだけ勇気が湧いてくる。
「うん、行こう!」
こうして二人の友情と冒険は始まった。町の不思議な日常と未知の体験が、アオイの夏休みを色鮮やかに彩っていく――




