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小話②
【小話】「受容」について
※本作の内容に触れるため、未読の方はご注意ください。
本作の転換点は、「浄化」という<正攻法>が通じない瞬間です。
悪魔憑きに対して、聖女候補として真っ先に選ぶべき手段が弾かれる。そこで残るのは、力で『排除』することではなく、相手の痛みや恐れを引き受ける覚悟でした。
私は「救う」という行為を、必ずしも『祓う』『消す』だけにしたくありませんでした。
相手を切り離して助けるのではなく、手を伸ばして、同じ場所に立つ。
――その意思表示として置いたのが、「受容」を示す口づけです。
もちろん、キスは軽い行為ではありません。
だからこそ、ここで描きたかったのは『ロマンチックさ』よりも、ルミナスの決意です。
ただ同時に、マルスへの一途な想いが、この一歩を支えていることも描きたかった。
怖いのに、逃げない。相手を人として受け止める。
その一歩が、閉じた扉を少しだけ動かす――そんな瞬間を目指しました。
この選択をどう受け取るかは、読者の皆さまに委ねたいと思っています。




