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第二部 サキュバスでなくなった私と推しの恋 プロローグ 蜜月の同棲生活

「美鈴、こっち片付け終わったよ~。ついでに昼飯できたから」


キッチンから声が聞こえてきて、ついでに和食のいい香りがしてきたから洗濯物を畳むのをやめて向かった。ダイニングテーブルに並んでいたのは鶏肉の照り焼きをメインにしたきれいな和食で、驚いてしまう。


「わっ、すごい! 和希さんが作ったの?」


「他にいないでしょ~? 夜は俺いないからね。その分、愛情こめたんだ」


そんなことを言いながら慣れた仕草で私を抱き寄せてこめかみにキスした。黒いダメージジーンズに白いシャツとシンプルな黒いエプロン姿だけど、見ているのが私一人なのがもったいないくらいカッコいい。


本人は全くカッコつけてるつもりなんてないんだけど、見た目のいいひとってすごい。こんななにげないところまでカッコイイと思えちゃうんだもの。


「美鈴…? もしかして、俺に見惚れてる?」


そんなことを言うものだから、素直に頷くしかないんだけれど。


「うん。なんか雑誌の撮影みたいだったから」


和希さんは私を抱き締めて頭を撫でてくれた。甘えていいんだって思える人と出合えるって素敵なことなんだと思えるのはこんな時。私はすがりつくように背に腕を回した。


私が化粧していてもすっぴんでいても全く変わらないでいてくれる人。


「メシは間に合わないけれど、風呂入って待ってて」


そんななにげない言葉の端々がセクシーに聞こえるのはやっぱりそういうことを意味しているんだよね。でも、嬉しく思っている私がいる…


「分かった… 和希さんの好きな香りのバスボム使って待ってる」


「OK.全力で早く帰ってくるから」


私よりも魔族らしく妖しく笑うと、昼間から交わすにはセクシーすぎる大人のキスを交わす。舌の絡み合うなんて気持ち悪く感じていたけど、和希さんのは全く気にならないから不思議だ。


「このままいいことしたいけど、時間もないことだし。メシにしよ」


大人のキスの余韻に浸りそうになる私を椅子までエスコートしてくれて。ようやくおなかがすいていることに気づく。


「食べるのは大事にした方がいいと思うんだよ。俺は」


「そうかもしれないけれど… 小食になったのかな?」


サキュバスでなくなった私は劇的に食べる量が減ってしまって。おなかがすいたことも気づかないくらいになってしまった。サキュバスだったころは食べても食べてもおなか一杯にならなくて、逆にどんどん痩せてしまって困るくらいだったのに。


「小食すぎて心配になるって! 夜はきちんと食えよ。もう少し時間あったらお前の夕食くらい作っておくんだけどな」


「子供じゃないんだし、そこまでしなくていいってば!」


「俺がそうしたいんだって。俺の作ったものでおなか一杯にしてくれるって嬉しいじゃん」


そんなことを話しながらも和希さんはテキパキ食べていく。その仕草はきれいで、顔立ちが私よりも魔族に見えるイケメンでなかったらどこかの御曹司みたいだ。


「俺に合わせようとしなくていいから、残さず食べて。な?」


「うん。和希さんの料理は好き」


午後は仕事があるからだろう。手早く食べ終えてしまった和希さんは急ごうとする私の手を止めて言ってくれる。相変わらず気づかいしてくれる優しい人だ。


「役者さんってみんな食べるの早いの?」


「早くないと困る仕事だからってだけだよ。早食いしたいわけじゃないって」


他愛ないことを話しながらも、和希さんはのんびりコーヒーを淹れてくれる。和希さんはブラックで、私はミルクを一つ。その違いがなんだか複雑になるけれど、きちんと用意してくれるのが嬉しいから黙ってる。


「和希さんは和食が好き?」


「別に。低カロリーなのが多いからってだけかな」


そう言いながら淹れたばかりのコーヒーを私の前に置いてくれる。


「じゃあ、私が洋食覚えるね! 好きなのある?」


「好き… ねえ。美鈴のイく所が一番好きかな」


耳元で囁く声がセクシーで顔が赤らんでしまう。不意打ち過ぎて反応できない。


「あっははは! 可愛いなあ。こんなので恥ずかしくなってるんだからさ」


向かいに座り直しながら言う和希さんをにらんでみるけど、何も言えない。…確かに一番幸せな瞬間ではあるけれど。


「ずるい… 和希さんって」


「美鈴より色々経験した大人だからだって。俺はコーヒー飲んだら支度するから、美鈴はここでのんびりしてて。俺が帰るまで誰が来ても開けたらだめだよ」


「子供じゃないもん! そんなことしませんってば!」


唇を尖らせて拗ねてみるけど、和希さんは満足そうに笑うだけで通用しない。…こんな風に毎日ちょっとセクシーで幸せな日々を送っていられるのが奇跡みたいだ。でも、現実なんだよね。


サキュバスでなくなったのも、あんなに私を苦しめていた飢えがなくなったのも。…夢になって消えたりしないよね? 現実でいいんだよね…?


「美鈴? もしかして夢みたいだと思ってた?」


小さく頷く。すると、魔族みたいに笑ってたのが嘘みたいに優しく微笑むと、


「俺だって奇跡だと思ってるから同じだよ。毎日、抱いて確かめないとやってられないくらいだって」


腕を伸ばして私の唇をそっと撫でながら言ってくれるから、ごはん中なのに泣きそうになっちゃう。愛されてるってこんな感じなんだね。


お母さんからは愛されてるって思えなかったけれど、和希さんからは誰よりも分かりやすく情熱的に伝わってくる。だから、こんなに幸せでいられるんだ。…いつまで? きっといつまでも。


「ありがとう。もう落ち着いた」


「落ち着いちゃったの? それは残念。ちょっとだけ時間あるからヤラしいことしようと思ったのにな」


ニヤリと妖しく魔族みたいに笑うから、顔が赤らんでしまう。…こんな風に私は幸せだった。このまま何事もなく時を重ねていけると思ったのに……



お待たせしました( ^^) _旦~~

昴流和希くんの第二部です。プロローグから和希くんが飛ばしていますね((+_+))

またR17.9の限界に挑戦でしょうか。がんばります(`・ω・´)

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