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  作者: 葉山光輝
青い思い出
9/10

Accident

その次の日も、また次の日も。湊は葵を観察していた。葵は、湊が心配する以上に勇敢に毎日を過ごしていた。湊は見守る側として、極力影を薄くして観察していたため、気付かれることはなかったものの、心は以前よりも大きく揺れ動いていた。そして、自分の死神の役職について考え直していた。自分は命を盗んで……奪って本当に良かったのだろうか?と。(俺は、明日香の命を盗んだ。そうしたことによって葵は昔よりも成長して……強くなって……。でも、本来なら、あいつの隣には母親がいたんだよな……。)本来なら幸せな毎日を過ごすはずだった葵は明日香の「死」によって幸せではない毎日を過ごしているように湊は感じていた。そして、その毎日を奪ったのは湊なのだと実感するたびに、湊の心は痛むのであった。

夕飯の買い物をした葵はいつものように家に帰っていた。その影をやはり湊は見守っている。

「なんだ?あいつ。今日はいつもと違う道を……。」いつもは路地裏を通って帰るはずの葵が、今日は市街地の大通りを通って帰っていた。

「何か、思い入れのある道なんだろうな……。」湊はどこか懐かしげな表情で見守る。大通りなので信号が多数存在しており、そのうちの一つで、葵は信号が青になるのを待っていた。(死神になってからは、信号なんて気にもしていなかったな。)なんて考え事を考えていたその時。


ドスッ!


「キャッ‼︎」突然、葵が横断歩道に向かって飛び出した。どうやら後ろから誰かが葵にぶつかったらしい。

「‼︎」湊は慌ててそちらを振り向く。信号は以前赤のままだった。そして、葵の目の前には大型のトラックが迫ってきていた。(まずい……。このままじゃ……葵は…………!)

「痛っ…………。」葵は身をゆっくりと起こし、あたりを見回す。ふと、耳元でクラクションのような音がけたたましく鳴り響いた。恐る恐るそちらを見ると、大きなトラックが葵の目の前に迫ってきている。

「っつ‼︎」葵は頭を抱えてうずくまる。この距離だったら今から動いても、もう、助からない。死ぬ。(ごめんね。)そう思い、葵は目を瞑った。クラクションとブレーキ音がけたたましく鳴り響く中、葵の身体は、横へと急速に移動させられた。視界が、歪んだ。

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