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Responce
湊が振り向くと、そこには葵が立っていた。目元は腫れているし、しゃっくりも止まっていない。にもかかわらず葵のその純粋な目は湊をしっかりと見据えていた。
「なんで、なんでお母さんを……明日香を殺したの。」今にも泣き出しそうな葵。そんな奴に付き合っている暇はない、と湊は思った。そして、面倒くさそうに呟く。
「お前、なぜ俺が視える?」
「私、昔から幽霊とか、そういうものは視える体質なの。それより、質問の答えを、聞きたい、んだけど。」所々途切れながら、葵は呟く。
「俺は……。」部屋の窓に足を掛け、湊は告げた。
「俺は、俺の仕事を全うしただけだ。死神に課せられた責務を、な。」そんじゃ、と言って立ち去ろうとした湊を横目に、またしても葵が悲しそうに呟く。
「……ひどいよ。」