表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
タナトスを殺せ  作者: イソジン
1/1

タナトスを殺せ

重い両足を左右に動かし、前に進む

タナトスを殺せ

私に科せられた呪い。

私はタナトスを殺すために生まれ、タナトスを殺さなければ私が殺される。タナトスを殺せ。タナトスを殺せ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

…お前が生まれるずっと前、世界は二分されていた。


手足を拘束されたまま浴びせ続けられる世界の成り立ち、何も無い無機質で気味の悪い部屋でどこからしているかも分からない音を聞いていた。

ずっと生きてきたそんな気はするが、今この景色以外何も思い出せない。

声を出せず、自分の身体も見れない状況で自分が女か男か、身体は実際にあるのかそれすらも分からない。

説明は続く


…お前に科せられた使命は1つ。タナトスを殺せ。タナトスを殺さない限りお前の命はないと思え。


タナトスとやらを殺すこと。それが私に科せられた使命だそうだ。

それから途方もない時間気が狂いそうな長い間、話を聞かされていた。時計も時報もない中、時間の経過がわかることは眠りそうになった時に身体に流れる電気と目の乾きだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ーーや、ーーー。ーーや。…きて。…て。起きてかりや」

2度目の覚醒だ。目が慣れていないのだろう。周りは真っ暗で何も見えない。

「起きたのね。かりや」

右後ろから声が聞こえる。

どうやら自分は座っているようだ。声の主の顔を確認することは出来ないがおおよその年齢と性別は判断できた。

「誰だ。貴様」

自分から出た声に驚く。どうやら女性らしい

「何寝ぼけたこと言ってるの。早くここを移動しないとタナトスにやられるわよ。」

20代女性。背丈は多分同じぐらいだろう。腕を掴みながら話しかけてくる。状況はよく読み込めないが移動した方が良さそうだ。

ここで手に持っているものに気づく。形状重さから拳銃だとわかる。ただ拳銃を握った記憶は無い。ただ使い方はわかるみたいだ。安全バーを外しリロードをした。

「すまない、あまり夜が得意では無い。その腕を掴んだまま道を案内して貰えないだろうか」

「そんなこと今まで聞いたことないけど、どっちみちこのままじゃ2人ともやられるしね。いくわよ」

一向に見えるようにならない目。果たして開いているのか閉じているのかも分からない感覚になってくる。


2kmほど歩いただろうか。この道中、私は彼女から疑われない範囲で色々聞き出した。話す度に「なんでそんなこと聞くの?」「大丈夫?」と聞かれたが、どっちかと言うと聞きたいのは私だった。


わかったことを列挙する

自分のこと

・私は25歳、女、どこかの部隊の一員でタナトスを追っている。仲間は他に5組いるようだが途中ではぐれたようだ。

一緒にいる女の事

・この女は22歳、同じ部隊の後輩で今回が初任務だが昔から知っている仲らしい。名前は話の流れでは聞き出せず貴様と呼ぶことに違和感を相手が抱かなかったため貴様と呼ぶことにした。

いる場所

・この場所はどこだかは彼女も知らず、目隠しをされ移動をし、着いたら降ろされ目隠しを外せと言われたらしい。目的地に着く直前大きな爆発音がし、慌ててバディである私を連れて車を降り、今に至るらしい。目隠しはいつもそうなのか?と聞かれたが私は何も覚えていないので「そうだ」と答えておいた。


「ねぇかりや。ずっと気になっていたんだけど、いつまで目隠しをしていないといけないの?」

「え?」

「だってずっと目隠ししてるから」

後頭部に手を当てると布の結び目がある。

「…早く言え」

「…こんな状況でふざけてるの…?すごいねかりや」

目隠しを外すと多少明るく感じる。

「さあ行こうか、貴様」

「…うん」

彼女は可愛い顔をしている。きっと私も可愛いんだろう。

銃を持つ私の指は細く綺麗で、腕は細いがしっかりとしていた。胸はあまりない。


タナトスを殺せ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ