表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームには参加しません! ―悪役を回避して無事逃れたと思ったのに―  作者: 冬野月子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/34

13 図書館での邂逅

「醜聞かあ……」

学園の図書館へと向かう廊下を歩きながら内心ため息をついた。

確かに、王太子が婚約者以外の女性と二人きりで会うのはまずいだろう。

(でも……もしも本当に、殿下がアリスのことを好きだったら……)

心の奥がチクリと痛む。


殿下に対して恋心のようなものは抱いていないとはいえ、五年以上婚約者として接してきたのだ、さすがに他の人よりも情はある。

だから殿下が他の女性を好きになることに対して……正直、何も思わないとは言えない。

――それでも嫉妬という感情には遠くて。けれども少しモヤっとしてしまう……この感覚は、なんなのだろう。

「あーあ、つまんない」

不意に聞き覚えのある声が聞こえた。


見やると、中庭にアリスが一人で座っていた。

「なんかもっと刺激的な毎日が送れると思ってたのになあ」

ブツブツ言いながら、突然くるりと振り向いて――視線が合ってしまった。

「ねえ、ちょっと」

咄嗟に離れようとするより早く、アリスは立ち上がるとこちらへ向かってきた。

「あんたの婚約者、つまんないんだけど」

「……はい?」

つまらない? ……殿下が?

「花の話しかしないし、何言われてもヘラヘラしてるし。優しいだけの男ってつまんないわよね」

え……この人、王太子に対して何を言っているの?!

「転生してまで勉強とかしたくないし。あーあ、どうせなら魔法が使える世界とかRPGの世界が良かったな」

一方的にひとしきり愚痴ると、アリスはさっさと立ち去ってしまった。




(ええ……何なの、あの人)

ヒロインの衝撃的な言葉に動揺しながら図書館へ向かう。

確かに殿下は植物が好きで、優しい人で。穏やかだけれど……つまらなくはないのに。


少し嫌な気持ちになりながら書架の並ぶ中を歩いていると、前方に殿下の姿が見えた。何か熱心に開いた本を見つめている。

「……クリスティナ?」

その邪魔をしないようにそっと後ろを通り抜けようとすると声をかけられた。


「……何を見ているのですか」

「温室に植える植物をどうしようかと思ってね」

殿下が手にしていたのは植物図鑑のようだった。

「今ちょうど南方からの使節団が来ているだろう」

「はい」

「彼らに頼めば送ってくれるというから、どれにしようか迷っているんだ」

「そうでしたか」

「クリスティナだったらどれがいい?」

「……私ですか」

開かれたページには、彩色された様々な種類の植物の絵が載っていた。


「そうですね……これなんか可愛いと思います」

周囲が白く、中央が黄色い花は前世で見た記憶がある。南国のイメージがある花だ。

「プルメリアか。そうか、じゃあこれにしよう」

「え?」

「クリスティナはこれがいいんだよね」

「そうですが……それで決めていいのですか」

「もちろんだよ」

笑顔でそう返した殿下は、……やっぱり優しくて、いい方だと思う。



(そういえば……久しぶりに殿下とお話ししたかも)

図書館から帰りながらふと気づいた。

避けられていたように思っていたけれど、今日は普通に会話できたし。

(都合が合わなくてすれ違うこともあるのかしら)

その日はそう思ったけれど、それからまたしばらく殿下と会話のない日々が続いて。

ヒロイン、アリスにまつわる噂話も相変わらずで、むしろ広まっていく一方で。その中には殿下とアリスの噂も含まれていて。


季節が代わり四回目の試験が終わり、その発表も終わりあとは冬の休みに入るのを待つというある日。

アリス・リオットの退学告知が張り出された。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ