41日目
朝、良い目覚めだった。
遊ぶ約束をしているから楽しみで。
今何時だろ。
さらゆりかと会うまで、あとどれぐらい時間あるかな。
あれ? 集合時間って何時だっけ?
そう考えて気づいた。
集合時間も、場所も決めてなかった。
oh……。
僕はすぐにさらゆりかにメッセージを送る。
だが、いつもならすぐに来る返信が来ない。
まだ午前八時半あたりだし、寝ているのだろうか。
僕も二度寝しよ。
再びオフトゥンに横になった。
スヤァ……。
次に目が覚めたとき、時計が指していたのは正午過ぎ。
寝すぎた。さらゆりか、ごめんなさい。
スマホを開く。
しかし、メッセージへの返信はまだ来ていなかった。
未読のままだ。
もしかして:寝てる
いつまで寝てるんやコイツは。
彼を通知で起こそうとメッセージのスタンプを送りまくったり、電話をかけたりしてみたが一向に既読になる気配はなかった。
早くタイタツしたい。コネカラやりたい。
うーん、柏行っちゃうか。
さらゆりかの家に近いから、起きたらすぐに会えるだろうし。
僕は家を出た。
駅に着いて、ICカードに千円をチャージした。
往復でかかる五百円だけ入れようかと思ったけど、電車を使う度に入れるのが面倒だから。
一瞬で消える千円札。
十クレ。
三十曲分。
尖閣すれば払わなくて済むのに僕は馬鹿なんじゃないか。
そんな考えが頭をよぎる。
この改札のセンサーを隠すだけで、交通費を太鼓の達人のプレイに回せるのか……。
はっ。
いけない。
思考を振り払って正攻法で改札を通り、電車に乗った。
柏のゲーセンに着いたが、まださらゆりかは起きていないようだ。
まったく。とりあえず一クレ分プレイしよう。
僕は筐体に百円玉を入れる。
そのクレジットの三曲目が終わったとき、電話が来た。
さらゆりかから。
「ごめんごめんごめん!! 寝てた! 船橋いかない?」
「おはよ。今柏で太鼓してるよ」
「え、柏!? すぐ行く!」
そう言われて電話を切るさらゆりか。
寝過ぎだよ。
エナジードリンクでも奢らせようかな。なんてね。
太鼓の筐体のそばで彼を待っていると、すぐに走ってやってきた。
電話から十分も経っていないのに。早い。
「ほんとごめん! これ、あげるよ」
彼が僕に差し出したのはエナジードリンクだった。
マジかよ。
「ありがと、いただきます」
その後は二人で別々の筐体を使い、太鼓をプレイしていた。
自己ベストタイ、可一は何度か出たのに、可ゼロはなかなか出ない。
コネカラ、相当難しい曲だ。
でも、頑張るぞ。
このバージョンでは超人を目指すんだから。