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実験作  作者: げるとう
3/13

異変

「うわぁ……」

「ひどい……」

「これは……」

漏れ出る群集の声が指し示す先にあるのは、無残な姿となった少女の遺骸であった。

中にはもちろん動画や画像に保存して拡散を図る人もいたが、そんな彼らでさえも気味悪がって近寄ることはしないほど。

おれは足早にその場を離れ、立ち去ろうとした。

「ちょっとキミ、待って!」

声をかけられた。

「…………なんでしょうか」

聞かれても答えることはない。

「第一発見者、わかる?」

「知りませんね。おれが来た時にはもう野次馬が集まってたんで」

「あっそ、じゃあ行っていいよ」

相変わらず無礼なやつらだ。

おれには彼らについて良い思い出がない。

昔からそうだ。

前世からそうかもしれない。

まあ、そんなことはどうでも良いことだ。

この騒ぎは早くも大ニュースになっている。

なにしろ繁華街の雑踏で起きた猟奇的事件だ。

耳目を集めないわけがない。

速報では遺留物が多く残っていて、犯人は早晩特定されるだろうと言っていた。

とは言え、おれには関係のないことだ。

なんなら連続した事件になっていけば良い。

それにしても。

おれには今や人間関係らしいものが残っていないから、会話する相手もいない。

喋ることがないから口を開けるには基本的に食べるときだけだ。

ということは、食べることもなくなれば本格的に口を開くこともなくなるな……と思った辺りで。

おれはそれに遭遇した。

禍々しいとでもいうべきか、人としての気配を感じない。

形容するなら、例えば、悪霊とか。

怨霊かもしれない。

ホラーものであれば目が合えばそこで物語開始、必死に逃げて怖い思いをするのだろうが。

生憎と現実はそんなものではなく。

その日、1人の男が闇に吞まれた。

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