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序文
男といって思い浮かべるのは若者か、中年か。老人であるという人はそう多くもないだろう。
しかし女といえば若い女性を思い浮かべる人が大半なのではなかろうか。
これこそまさに男女差、いや男女格差というものかもしれない。
ともかくもその男が思い浮かべた「男」というものは、中年の男であった。
それが多数派なのかはわからない。
しかし、男は男として多数派であった。
すなわち、基本的に女の目に留まることもなくさりとて何かに秀でた働き者でもなく。
特にこれと言って良いところがない塵芥の男であった。
うだつの上がらない中年男の前に果たして何か特別な存在が現れようか。
もし仮に現れるとしたらそれは一体どのような意図があるのだろうか。
はたまた本当にただの偶然で起き得る奇跡なのだろうか?
その答えを知るのは謎めいた黒幕のみであるというのが定番なのかもしれない。