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7話 商業都市へ

「ここが駅か」

「ボロボロな駅だね~」


 目の前に現れたのはほとんど使われて無さそうな無人駅だった。

 ここで降りるのも乗るのもあの村の人だけだからだろう。

 ホームの真ん中には、古びたボタンが設置されており、[ご利用の方はこちらのボタンを押してください]と書かれていた。

 ここは利用者がかなり少ない。このボタンを押さないとここには停車しないようだ。


「結局あれから何も出てきませんでしたね……」

「そうだね。でも、それが一番だよ」

「よかったぁ~」


 ツグユはほっと肩を撫でおろした。


「ボタンは押したから、列車も待っていればくるよ。そこで座って待ってようか」

「はーい! ツグユ疲れたよぉ」


 そうして一行は設置されて椅子に腰を掛け、列車を待つことにした。


・・・


「列車来たよ!」

「おお」


 ほとんど音を出さずに列車はやってきた。静かさは電気自動車並である。

 

――カンカンッ カンカンッ


 扉が開くと同時に鐘の様な音が鳴り響いた。


「よし、入るよ」

「楽しみ~!」


 楽しそうな様子で列車に乗り込んでいくツグユを見て、ネアンは微笑ましい気持ちになった。


(しかし……転生前は電車とかにもあまり乗らなかったのかな……?)


 列車は地球で生活していた時と内装がかなり似ている。

 3両編成で乗客は思ってた以上に乗っている。


「ここに座ろうか」


 ネアン達は、二人掛けの席が向かい合っている所に腰を下ろした。


「はぁ~足がじんわりしてますよ」

「いっぱい歩いたから疲れたぁ!」

「二人ともお疲れ様」

「ネアンさんは全然疲れないんですね……」

「まぁ体力と直結している闘気も無限だからね☆」

「羨ましいです……」


 そんな会話をしている内に列車は進み始めた。


(中央山……かつては瘴気の山と言われ、一般人は一切近づく事ができなかった山だ)


ネアンは窓から見える草木が生い茂った綺麗な中央山を見ながら感慨深い気持ちになっていた。


「あの、今更何ですが……」

「うん?」


 さなえはネアンを見ながら恐る恐る聞いてきた。


「ネアンさんも……元々日本の人なんですか?」

「そうだね。私も元々は日本でサラリーマンだったよ。色々あって過労死してしまってね……この世界に生まれ変わったんだ」

「過労死……大変だったんですね」

「もう殆どその時の事は覚えてないけどね……既にこっちの世界で何百年と生きてる。地球で過ごした20年そこらなんて本当に小さな出来事になってしまったよ」

「何百年!?」

「え! お兄ちゃんって何歳なの……!」

「うーん……もう150を越えたあたりから数えてないな……」

「すごいおじいちゃんだ……」


 ツグユが小さな声で驚きながら話した。


「こらツグユ! 失礼ですよ!」

「ごめんなさーい……」


 こうしてみると、姿は姉妹だが、まるで親子の様だ。


「あはは、でもそうだよ? 人間でいえばもう立派なお爺さんだ……!」

「そんなことないですよ! 見た目は20歳前半位にしか見えないです……何百年ってのもその見た目で言われても信じられませんよ……」

「もう少し大人の風格が欲しいけど中々この姿からもう一段上に行けないんだよ……ちなみに、二人もエルフ族になってるし……多分何百年も生きられるうえに私くらいの姿をしばらく保つと思うよ?」

「なんですかそれ……! 夢のような話じゃないですか……!」

「ツグユ達もおばあちゃんにならないのー?」

「そう見たいですよ! 年を取るのがむしろ楽しみになってきましたよ……」

「さなえちゃん……凄く嬉しそうだね!」


 さなえの目がかなり輝いた。

 やはり女性はいつまでも綺麗に居たいものなのだろう。


・・・


「突然だけど二人に問題!」

「はい!」

「私達が居た地球と言う星は丸かったよね?」

「うん! 地球は丸いんだよ!」

「うんうん流石だね! では……この星[ネアン星]はどんな形をしているでしょうか!」

「ええ?! 地球とおんなじで丸いんじゃないの?」

「そうだよ~この星は丸くないんだ!」

「え~……だったら全然分かんないよぉ」


 ツグユは頭を抱えている。

 だが、その横でさなえはきりっとした顔でネアンを見ていた。


「さなえは……分かるのかな?」

「ふふん。知っていますよ! この星には世界の端があります。この事実から星の形状の調査が始まり、その答えが……」


 さなえはライトペイントを使って空中に絵を描きながら説明を始めた。


「正確には何層あるかは分かりませんが、世界の中心には地下ダンジョンが柱としてあって……ハードディスクの※プラッタの様にこの地上界、白の世界、黒の世界、シャドウ界とあるんですよね?」

※プラッタ(Platter)とは、ハードディスクドライブやフロッピーディスクと呼ばれる磁気ディスク装置の、平滑な円盤状の記録用部品のことである。


「一般的には使わないような単語をよくしっているよねさなえ……もしかして元々はコンピュータ関係の仕事を?」

「ええ、そうかもしれませんね。知識としては残っているのですが、記憶がまだしっかりとは……」

「そかそか、とにかくさなえ! 大正解だよ。どこかで見たのかい?」

「はい、実は村長の家にあった本にこの星についてのものがありましたので読んでました」

「へ~……色々な本が出回っているんだな……中央都市にある学園の図書館の本も一新されていそうだな……少し行ってみたいな」

「え! この世界にも学校とか図書館があるの!?」

「お、ツグユは興味津々だね」

「うん! あんまり小学校とか……行けてなくて……ずっと行きたいなって思ってたの」

「そうだったんだね……」

「……」


「まぁでも実はね、色々課題はまだ残っているけど、学園には通ってほしいと思っててね……。私は古代魔法しか知らない。新生魔法って奴は学園じゃないと習う事ができないと思うんだ」

「おお~!」


 ツグユのテンションが目に見えて上がっている。


「魔法を習う学校があるんですね……!」

「そうだね。形式は大学に近いけどね……好きな科目を選択して単位を取っていくような感じだ」

「でも……学園に通ってしまったら旅が出来ないですよね?」

「えっと……」


 ネアンの言葉は詰まってしまった。

 さなえの言う通り、学園に通うという事は定期的に登校はしなければならないし、旅をする為に何カ月と登校しなかった場合、単位を落としてしまう可能性がある。


「興味はありますけど、学園に行く為にネアンさんと旅ができなくなるのは嫌です……」

「ツグユもそれはいや……」


 ネアンはその言葉を聞いて頭を悩ました。

 実際、危険な場所にも今後足を踏み入れなければならないし、外来種との戦闘に二人を巻き込みたくない。

 学園に興味を持って入学となればおいて行けるかもしれないと考えていたのも事実である。

 だが、そんな子供だましの様な形で置いて行くことは賢いさなえがいるので難しいだろう。


「そうだね……ではこういうのはどうかな? 学園は私の記憶が正しければ2~3年しっかりと単位を取って勉強さえすれば後は自由登校になるんだ。更に、優秀者は卒業後も図書館を使ったり授業も受けたりできるんだよ」

「ふむふむ……」

「だから、学園近くに住んで自由登校になるまで私は待つよ」

「そんなに待てるんですか? 急ぐと言っていたのに……」

「もちろん家でずっと待つわけでは無いよ。今は列車もあるし、正直各国の様子を見るくらいなら日帰りとか、2~3日の出張感覚で帰れると思ってね。学費や生活費を稼ぎながら調査だけは進めようと思っているよ」

「なるほど……」

「まぁ……何というか、出張の多いお父さんみたいな感覚でいて貰えれば……」

「ふふ……確かにそうですね。あたし達も役に立つには知識はある方が良いですし、ちゃんと定期的に帰って来てくれるなら文句はありません」

「ええ……ずっと一緒じゃないの……?」

「ツグユ、ネアンさんはあたしたちのご飯や服を買う為にお仕事に行くだけなんですよ。ちゃんと帰ってくるし、どこかへ置いて行ってしまう訳では無いみたいです」

「本当……?」

「ああ、嘘はつかないよ」

「ならツグユ待てるよ!」

「あはは、ツグユはえらいな」

「ふふ……こういう会話をしていると家族みたいですね」

「そうだね。私がお父さんで、娘が二人……かな?」


 ネアンがそう言うと、さなえは少し不貞腐れた顔をした。


「さなえ……?」

「いえ! なんでもありませんよっ!」

「ならいいんだけど……」


 そうしている内に列車はどんどんと進み、気がつけば商業都市手前まで来ていた。


――まもなく商業都市です。お降りの際は足元にお気を付けください。


 アナウンスと同時に列車の速度はどんどんと落ちて行った。


「お、着くよ」


 列車からは少しだけ都市の様子が見える。

 町並みは中国の旧市街を彷彿させつつも、高価そうな装飾や石で屋根が飾られており、キラキラと光っているのが目立つ。


 商業都市で店を構え商売をする際は、屋根や入り口にこれでもかと言う程、宝石などで装飾を施している店舗が多い。

 様々な店が乱立する中、少しでも目立とうとそのような店舗が増えたようだ。それは次第に品ぞろえの多さや店舗の信頼度の指標となり、お客はお店の豪華さや綺麗さで店を判断し入店する。


――こちらは商業都市です。ご乗車有難うございました。


 ネアン達が乗車したホームより遥かに整備されており、人の数も凄い。

 まさに大都会という感じだ。


「思っていたより遥かに賑わっているね……」

「凄いよ! 色々な人がいっぱいいる!」

「そうですね……色々な……人……?」

「まぁ色々な種族が居るからね。君達もエルフ族だし、あそこの耳が生えた人は獣人族だね。その横にはドワーフ族もいるよ」

「凄いですね。本当に異世界って感じです」

「建物もすっごい綺麗だね~」

「うんうん。キラキラしすぎて目が少し疲れるけどね……」

「そうですね……」

「さて、とにかくまずはギルドへ行こう」

「はーい!」


 ネアン一行はホームを後にし、商業都市の中心にあるギルドへと向かう事にした。

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