24話 スタートライン
――闇露店通り
「……変わらない様子だね」
ネアン達は外来種襲来の後どうなったかを見る為、もう一度闇露店通りへとやってきている。
見る限りはいつもと変わらない状況である。
「旦那!」
「あ、おじさん」
ぶらぶらと歩いていると、前方から以前に露店場所を貸してくれたおじさんがやってきた。
「おじさん、ここ数日で変わった事はあるかい?」
「ああ、あの騒動の後だな。何にも変わりはしないよ」
「そうなのか……あれだけの大事件だったのに」
「大事件? 火事なんて日常茶飯事だ。大事件って程でもないだろう。まぁあそこまでの規模はまれだがな!」
「え……? 火事?」
「え? 旦那もそこにいたんだろ? 大変だったなぁ!」
「あ、ああ……」
(外来種の事は知らないのか? 話が火事にすり替わっている……)
「あ、でも一つ変わった事があるな」
「そうなのかい?」
「ああ、なんでも闇露店を取り仕切っていた総支配人ゼンレが失踪したようだ」
「なんだって!?」
「実質、ゼンレ一人であそこを運営していたようなものだ。突然空白になって混乱してるみたいだぜ。まぁ関係のない話だがな!」
「そうだったのか……」
その後、地下へのエレベーターの方へも行ってみたが、硬く鎖で閉ざされており、無期限封鎖という文字がでかでかと描かれていた。
「ゼンレが失踪……」
「……」
ネアンはかなり驚いた様子だったがすぐに笑みがこぼれた。
そして、両手を挙げて万歳した。
「これ、借金返さなくてよさそうだよね!!」
「おー!」
「ふふ、でも万が一出会ったら請求されるんじゃないですか?」
さなえは微笑んだ。
ツグユも一緒に万歳している。
意味が分かっているのかは謎である……。
「よし、ならもう学園がある中央都市へ行こうか。お金も十分あるしね」
「おお! 学校ー!」
翌日……3人は出発の準備を進め、駅へと来ていた。
「商業都市……ありがとう。色々勉強になったし稼がせてもらった」
3人の旅はまだスタート地点にも立っていない状況だった。
「お兄ちゃん! また遊びに来ようね!」
今の時代で最低限身分を証明し、円滑に移動できる準備はこれで整った。
「そうだね。ここには美味しそうな食べ物もいっぱいありそうだからね」
ここがようやくスタート地点。
――列車が到着します。
「お、来たよ。乗ろうか」
「はーい」
ネアン達の冒険はこれからである。
――第1章 商業都市 編 完




