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23話 無事に!

「ネアンさん!」

「さなえ!!」

「緑水晶! ゲットしましたよ!」


 さなえは扉を勢いよく開け、戻ってきた。


「よくやった! こっちじゃ!」


 緑水晶を長老に手渡すと、すぐさま魔法陣を描きなおし、緑水晶を上にそっと置いた。


「ネアン、さぁ手をこっちに」

「はい」


 ネアンは長老に言われるがままに手を差し出した。


――シュゥゥ……


「む、冷たい……」

「しばらく我慢するんじゃ。冷たく感じるが凍ってるわけでは無いからのう」


(まるで氷水に腕を入れているようだ……)


「すごいです……黒い部分がめくれて元の色に……」


 まるで、日焼けの皮がめくれるかの様にネアンの腕の黒い部分が消えていった。


「30分ほどで完治するはずじゃ」

「良かった……ツグユの様子はどうですかっ」

「ツグユはそこで眠っているよ。体調に問題は無いよ」

「よかったです……」


 それから長老の言った通り、たった30分ほどで腕は完全に元に戻った。


「……」


 ネアンは自身の掌を握ってみたり、指を動かしたりしてみた。


「元通りだ。本当に助かったよ、長老」


 そういった後、ネアンはさなえをぎゅっと抱きしめた。


「ネアンさんっ?!」


 さなえは突然の事に顔が赤面している。


「本当に無事でよかった……有難う。私の為に危険な所へ……」

「ネアンさん……」


 しばらく抱き合うのが続いたが、頃合いを見て長老は軽く咳ばらいをした。


「完治して良かった……じゃが!」


 長老は突然大声を出した。


「もう剣技の類は腕で撃つな。今までちょっとした怪我で済んだ剣技でも、腕は真っ黒に戻り回復不能に陥る可能性がある……」

「え……?」

「先ほどの緑水晶を使う治癒は……厳密にいえば治癒では無い。剣技を使用し、腕が黒くなってしまった仮定を忘れさせただけに過ぎない」

「えっと……つまり……?」

「まぁ簡単に言うとじゃな……怪我をする前に戻す……に近いんじゃが時限爆弾付きじゃ」

「時限爆弾?」

「そうじゃ。例えばもう一度剣技を腕で放ったとしよう。すると、同じように怪我をするだろうが、更にその治ったはずの傷が開くんじゃ」

「今治った傷が再び開くと……」

「そうじゃ。同じようなダメージを同タイミングで二重に食らったら間違いなく腕は無くなる。弱い剣技でもきっかけを与える事になり、今回の傷が開く可能性もある。もう一度開いた傷は緑水晶でも治せるかどうか……」

「……成程。肝に銘じておくよ」

「ネアンさん! やろうとしてたらあたしが止めますからね!」

「ああ、よろしく頼むよ。長老、今日は一晩泊めて頂けないだろうか。ツグユが起きたら私達は商業都市へ戻るよ」

「何を言うか。お主達は恩人じゃ。何泊でもするがいい。帰るときは何人か護衛……そして砂上馬を貸してやろう」

「砂上馬?」

「ああ。砂をスムーズに歩く馬じゃよ。徒歩の半分以下の時間で駅へ行けるじゃろうて」

「有難う。とても助かるよ」

「とにかく今日はもう遅い。早く寝たほうがええ」


 そうしてネアン達は長老の厚意に甘え、ここで一泊する事となった。


・・・

・・


――4日後


「フーちゃんまたね!」

「お世話になりましたっ!」


「本当に良いのかい? まだ休んでもよいものを……」

「いえ、むしろ4日も泊まらせて頂いて……すいません」

「気にするんじゃない! またいつでも遊びに来とくれ。何もないがのう!」

「ありがとう。また遊びにくるよ! フーちゃん達も元気でね」


 ネアンは軽く手を振った。

 ツグユはすっかり元気になっており、二日間はフーちゃん達とずっと遊んでいたようだ。

 さなえは何かをずっと悩んでいる様子である。

 ネアンはその姿を見て少し心配していた。


・・・

・・


 砂上馬を乗っての移動は本当に早く、護衛についてくれた人が先導してくれている事もあり、外来種に出会う事は一度も無かった。

 行きとは違い、非常にスムーズに駅まで行く事ができた。


「じゃぁ気をつけてな!」

「有難う! 本当に助かったよ」


 護衛について来てくれた人は、そのままとんぼ返りで村へと帰って行った。


「さて、また帰ったらお金稼ぎしないとな……」


 ネアンはそう言いながらデバシーの残金メモを見た。


残金[黒210枚と白50枚] と 借金[黒150枚]


(このまま借金返さずに済めばいいんだけどな……)


 少し待つと列車が到着した。

 一行はそれに乗り、商業都市へと帰って行った。


・・・

・・


――商業都市


「このうるさい感じ、久しぶりな気がしますね」

「そうだね。とりあえず……魔法装具、まだ出来てないと思うけどギルドに寄ろう」

「はーい!」


 魔法装具が出来ているか確認すべく、ネアン達はギルドへと向かった。


――商業都市ギルド


「完成してますよ!」

「え! まだ1ヵ月も経ってないのに……」

「材料の在庫があれば早いですからね~。はい3名様分どうぞ!」


 受付の人は3つの魔法装具セットを手渡した。

 それぞれ名前が刻印されている。


「見た目の通りですが……こちらがスペルバングル、そしてこっちがスペルカードホルダーとスペルシールドの効果があるベルトです。あと、今回だけ無料で、スペルカード[シールドバッテリー]もあげます!」

「おお~!」

「改めてみると、かっこいいね……! ベルトがスペルシールドの役割なんだね」


 幼少の頃、おもちゃのベルトや剣で喜んでいた時の気持ちが少し蘇ったネアンだった。


「これ、私はまだしも、二人は大きくなる。サイズ調整はどうすれば?」

「安心してください。勝手に身体に合わせて調節されますから」

「……高性能ですね」

「ええ。何か分からない事があればいつでも聞いてくださいね! あ、ちなみに魔法装具所持した時点で、ギルドの正式登録となります。ようこそ、商業都市ギルドへ!」

「あ、そうだった。これからよろしく頼む!」


 3人はその場を後にし、早速魔法装具一式を装備した。


「おお……身体にフィットしてる……」

「すごい! かっこいい!」


 ツグユのテンションはかなり高い。

 さなえも心なしかテンションが上がっているようだ。


「よし、とりあえず[シールドバッテリー]は買い込んでおこうか。それと……」


 ネアン達は装飾雑貨のスペルカード屋に行って魔法装具に必要なスペルカード[シールドバッテリー]を購入。

 そして現在武具通りに居る。


「おや、いらっしゃい。いつぞやの」

「おお、覚えてくれていたんだね」

「まぁエルフ二人を連れたヒト族なんて珍しいですからねえ。今日はどうしました?」

「ああ、今日はトリガーを買いに来たんだ。ライフル型1つとハンドガン型を3つ」

「まいど! の前に……ギルドには入っているかい? 身元の分からない人には売れなくてね……」

「ああ、魔法装具ならつけているけど……」

「お、ではバングルの手首側を見せとくれ」


 ネアンは言われるがままにバングルの手首の方を見せた。

 そこにはネアンの名前と番号が刻印されていた。


「ここにも名前が……気がつかなかった」

「なるほど、商業ギルドの人達だね。なら大丈夫! 全部で黒65枚です」

「あ、それとベーシックバレットを頂いても?」

「ええ勿論です。では合計して……」


 そうしてネアンはトリガーを計4本とベーシックバレットを50枚購入した。


~デバシーmemo~

入手

ライフル型トリガー1丁

ハンドガン型トリガー3丁

シールドバッテリー20枚

ベーシックバレット50枚


残金[黒139枚と白50枚] と 借金[黒150枚]


・・・

・・


「二人とも……子供に渡すものじゃないと思うけど……」


 ネアンはそう言ってハンドガン型トリガーとベーシックバレットをそれぞれ手渡した。


「3丁も買ってどうするのかと思いましたが……」

「シャドウ相手なら古代魔法が通用するし、使う必要はない……けど外来種となると話は別だ」


 ネアンは、そう言いながら自身もハンドガン型トリガーをベルトのホルダーに装着した。


「ほら、ちょうどこっちに入れられるようになってる。二人もここに装備しておいてね」

「はわわ……銃を持つなんて手が震えますね……」

「早く撃ってみたいね!」

「ツグユ、これはスペルシールドを貫通する……本当に危険な代物だ。安易に使ったり、持ったりしてはいけないよ? それが約束だ」

「うん……わかった……!」


 ツグユはそう言って、そっとホルダーにトリガーをしまった。


「ネアンさん、ライフル型も持ち運ぶんですか?」

「これは大きいから……」


 ネアンはそう言いながらデバシーにライフル型を収納した。


「そういう事ですね!」


 そうして一行は武具通りを後にした……。


・・・

・・

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