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21話 外来種再び

「では、行ってきます!」

「いてきまーす!!」


 さなえとツグユは元気よくネアンに言った。


「行ってらっしゃい。本当に気を付けてね……」


 ネアンの心配は拭いきれないが、二人を信じ待つことにした。


・・・


「ネアンよ、お主はこれ以上悪化しない様に治療をして待つんじゃ。いいな?」

「ええ、分かっていますよ」


 長老はまたトゲトゲ草を追加した。当分魔法陣を切らさない様に草の追加を続ける様だ。


「にしてもじゃ……何故そんな無茶をした?」

「ええ、実はここへ来る途中で外来種と戦いまして……」

「外来種……あの白い亡霊の様な奴か」

「ええ。とても勝てそうになく、最終手段として使用しました……」

「何故、わざわざ外来種に手を出したのじゃ? 武装をしていなければまったく襲ってこないと言うのに……」

「ええ……私もそれは知っていたので、服も持ち物も全部おいて全裸で近づいたのですが……襲われました」

「ぶふぉ! 全裸ってお主……しかし。それで襲われるとは妙な事じゃな……もしや……お主の股についているのもを武器と判断して……」

「いえ、ちょっと肌寒かったので縮んでいました。多分誤認はされないかと……」

「……真面目な奴じゃな」

「……?」


 ネアンは疑問に思ったが、自分の答えた質問を冷静に思い出し、少し赤面した。


「ふぉっふぉ可愛い奴じゃ。わしがあと60年若ければのう」

「所で長老! 外来種は昔からこの辺に居たんですか?」

「いや、初めて姿を見たのは半年前程じゃ……それまで書物に出てくる伝説上の生き物だと思っていたよ。その時期から、色々な所で現れるようになったそうじゃな」


(半年前……丁度私が起きて、ツグユ達を見つけた頃か……)


「じゃが……今の話が本当ならこの半年で奴らの性質も変わった……いや、つい二日前は武装しなければ近くを通っても大丈夫だったしのう」

「そうなんですね……」

「ああ……」


 こんな会話をしながら、気がつけば3時間経っていた……。


(二人は大丈夫だろうか……)


・・・

・・


――1時間前……(ネアンと別れて2時間後)


――洞窟ダンジョンへの道


 さなえたちは砂地を越え、岩で囲まれた岩壁地帯へと出てきていた。


「さて……この通りを抜けると洞窟ダンジョンが見えてくるんだけど……」


 男性は大きな岩山に挟まれた小さな通路を指差した。


「よし、では早く行きましょう」

「まってくれ!」


 どんどんと進もうとするさなえを男性が抑止した。


「この先……少し広い場所に出るんだけど……外来種がいるんだ」

「こんな所にも外来種ですか……!」

「ただ、武装さえしていなければ襲ってこない。僕が先に行くから隠れていてくれ」

「わかりました」


 男性はそう言うと持っていた杖などを全てバッグにしまい、両手を前に出しながらゆっくりと進み始めた。


「こうやって、敵意が無い意志を見せながら進むんだよ」


 そういいながら男性はそのまま外来種の居るところを進む……途中で何度か外来種にじーっと見られるも一切攻撃のそぶりは見せなかった。

 男性はそのままスムーズにそこ抜けた。


「さ、君達もおいで!」


「なるほど……ツグユ、両手を出して進みましょう」

「うん!」


 そうして同じように手を出してゆっくりと二人は進み始めた。


「怖いよー……」

「大丈夫ですよ。こうやって行けば何も……」


 そう言った瞬間だった。


――グォォォ!!


「え?」


 突然外来種は武器を振り上げ、ツグユ達を襲い始めた。


「うそ! 何でですか!」

「そんな……まずい! 早くこっちへ!!」


 男性は必死に二人を呼んだ。さなえはツグユの手を引き、走ろうとするが……


「[リングスペル]キドウ……[フォーム1:スターライトストライク]」

「え! 今しゃべりましたよね……! [スターライトストライク]って一体……!」


 そう認識した瞬間、外来種の背中にあったリングが光りながら急上昇し、魔法陣の模様がリングの中に浮かび上がった。

 そして、その魔法陣から巨大な光る隕石が出現し、こちらへ向かって落下している。


「危ない!!」

「うわ!」


――ズドン!!


 巨大な隕石は男性とさなえたちの間に落下。通路は閉ざされてしまった。


「……スペルキドウ……[キャノンバレット]」

「次はキャノンバレットですか……!」


 外来種は再び呟いた。すると、リングが掌の前に移動、すぐにそこから大きな熱を帯びた弾が発生し射出してきたのだ。


「ツグユ! 右に飛んで!!」


「うん!」


 二人はそれぞれ左右に飛び出し、それを避けた。


――チュドンッ!!!


 その球は岩壁に激突、大爆発を引き起こした。


「げほ……な……何て威力ですか……」


 煙が落ち着いたとき、さなえの目の前にはツグユを突き刺そうとしている外来種の姿が写った。


「うそ……ツグユ!! だめ!!」

「お母さん……」


 さなえの声は虚しく……外来種はツグユに向かって剣を突き刺した。


――キンッ


「え……?」


――グォォォォ!!


 ツグユは突然光始め、無数の光の線が身体から出現した。

 外来種はその場から一瞬も動く事ができず、静止している……。


――グォ……シュゥゥゥ……


 光の線が外来種を包みこむ……そして、そのまま外来種は粒子となり消滅していった……。


「一体何が起こったんでしょうか……ツグユ!」


 さなえはツグユに走り寄った。

 ツグユは倒れ、気絶している……外来種の姿は何処にも無い。


「すぐに戻ろう。長老様に見てもらわなければ」


 男性はそう言ったがさなえは……。


「ツグユをお願いできますか? あたしは洞窟で緑水晶を取ってから帰ります」

「一人でか!? 二人で行くならまだしも、流石に危険だ……」

「いえ、大丈夫です。ツグユに更に危険な目にあわさなくて済むならその方が良いです。どうか、お願いします」


 男性はしばらく迷ったが……


「わかった。ツグユちゃんは長老の元へすぐに届ける。どうか気を付けて行くんだよ……」

「ええ。大丈夫ですよ! さぁ行ってください」

「ああ!」


 男性はツグユを背負って走って村へと戻っていった。

 そうしてさなえは一人、洞窟ダンジョン前に取り残された。


「ふう……緑水晶を取ったらすぐに帰りましょう……」


 さなえはそう言って洞窟に足を踏み入れた。


(そういえば……緑水晶の形とかを聞いていませんでした……きっと緑に光っているのでしょう……)


・・・

・・

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