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12話 お買い物中

――装飾雑貨通り


 ここには名前の通り、店舗を飾る為の装飾類や身に着けるアクセサリや宝石など高価な商品を中心に扱っている。

 スペルカードも高価な商品に入るようで、ここで出店している場合が多いようだ。

 扱う商品が高額な為か、事件も多いのだろう……警備兵が多い印象である。


「すっごいキラキラな場所だねぇ……」

「目が疲れてくるよ本当に……」


 先程の食彩通りとは全く毛色が違う。

 屋台などは一切でておらず、高級そうな店舗が立ち並ぶ……扉の前には基本的に警備兵が配置されている。人通りも食彩通りよりは落ち着いている印象だ。


 すれ違う人々は様々で、 高級そうな服装な人も居れば、武装した冒険者なども行きかっている。


「さて、さっさとスペルカード屋を見つけて移動しよう」


 そういってネアン達はスペルカード屋を探した。


・・・


「ここですね!」


 通りを真っ直ぐに進むと、ガラスケースの中にたくさんカードが飾られている店がすぐに見えてきた。


「スペルカードもこうやって飾ると、すごく高級感があるものだね……」

「お兄ちゃんもこうやって飾って売ろうよ!」

「あはは、こんなクリアなガラスケース……きっと高いよ?」


 そんな会話をしながら、3人は店内へと入った。

 ネアンは早速並んでいる商品を一通り見て回った。


(以前、客が言っていたように、上級魔法は殆どおいていないな……見る限りアイススパイクが3枚だけみたいだ)


 店内は初級カードは8割を占めており、残りは中級、そして数枚の上級というラインナップだ。


(売れるのは生活の為に必要な初級以下が殆どだろうし、こうなるのは必然か……中級以上を必要とするのは基本的に戦闘を行う者だけだもんな……)


 無地のカードは展示していないようなので、ネアンは店員の元へとやってきた。


「すいません、無地のカードを頂けますか?」

「分かりました。何枚必要でしょうか?」


(大体1日60枚前後売れてたな……20日程商売すると考えると最低1200枚欲しいな……予備も考えると……)


「1500枚もらえるかな?」

「はいせんご……1500枚!? すいません、そんなに無地の在庫は無いです……」

「そうなのか……何枚なら大丈夫?」

「えっと……500枚なら在庫有ります」

「では、それを全て頂こう」

「有難うございます!」


 ネアンはそのまま黒1枚を支払い、白50枚のお釣りを受け取った。

 こうして、残金[黒39枚と白79枚]となった。


「こんな事聞くのもなんですが……こんな大量の無地カードを一体何に……?」

「……ああ、初級魔法は自身で描けるからね。故郷は遠くて、ここには滅多に来れなくてね……何年か分を一気に買いたかったんだ」

「遠い……島の方ですね! ここにはどれくらい滞在する予定ですか?」

「まだしばらくは居るつもりだよ」

「では、また無地カードを仕入れておきましょうか? 滅多に出ないもんですから、普段あまり仕入れる事も無いんですが……」

「おお、それは助かるよ。消耗品だからいっぱいあるに越した事は無い!」

「分かりました。ではお客様を信じてある程度は仕入れておきましょう」

「ああ、有難い。不良在庫にならない様に買い取らせてもらうよ」


 そんな会話をした後、ネアン達は店を出た。


・・・

・・


「さて……最後に武具通りを少し見て行きたいんだけど、いいかな?」

「もちろんですよ」

「お兄ちゃん武器買うの?」

「自分にあった物があればね……」

「ツグユも魔法の杖が欲しい!」


 ツグユは元気に手を挙げてネアンに言った。


「ツグユちゃん、流石にそんなものは無いですよ。魔法は指で描かないとダメですし……」


 さなえはツグユを撫でながら言った。


「そうだねー……昔から魔法士は盾か籠手は装備するけど、杖とかはあまり見た事が無かったかな……」

「ちぇー!」

「でも、小さな盾は身に着けていてもいいかもしれないね。良さそうなのがあったら見てみようか」

「でも、スペルシールドさえあれば、盾は要らないですよね?」

「そうとも限らないよ? トリガーから出る弾はスペルシールドを貫通するし、盾があれば防げるかもしれない」

「凄い速さで飛ぶ弾を弾くなんてあたし達には無理でしょうね……とりあえず、ネアンさんだけ買ってはどうですか?」

「私はあの程度の弾丸なら生身で受けても平気だからね……私の闘気を貫通するには威力が足りなさすぎるよ」

「闘気が高いだけでそんな事にもなるんですか……!」

「高いだけで……って訳では無いかな。剣術の中に身体を保護する技があってね。いずれ教えようかと思ってるんだけど……」


 ネアンはそう言いながら技の説明を簡単に行った。


魔装魂

全身を薄く魔力と闘気で覆い、瘴気や攻撃から身を守る。熟練度によっては一切斬撃などを通さない程の硬度を持つ。


「そんな技があるんですね……!」

「ツグユもそれ覚えたい!」

「いい心がけだね! でもまずは魔力の操作にしっかりと慣れよう! それに慣れれば闘気の扱いも容易になるからね!」

「わかった!」

「ネアンさんはその……魔装魂をずっと使ってるんですか?」

「そうだね。昔は色んな所が瘴気で溢れていてね……魔装魂をしていなければ、瘴気にやられてしまうような環境だったんだ。魔装魂をしてないと不安になっちゃうよ」

「そうだったんですね。じゃぁ今は瘴気が無い良い環境に変化したんですね~」

「だね!」


 そんな会話をしながらネアン達は武具通りへとやってきた。


――カンッ! カンッ!


「おお……なんだかRPGとかで見るような鍛冶屋がありますね!」

「うんうん。鍛冶に関しては昔とそんなに変わらないみたいだ……」


 武具通りとは、その名の通り武器や防具、道具などを中心に扱っている店が集中する通りだ。


(武具通り……そういう名前の割には売っている商品は包丁やナイフ……鍋などが目立つようだ)


 目の前のドワーフが作っている物もよく見ると調理で使う様なナイフだ。


「こんにちは」

「はい! いらっしゃいませ!」


 ネアンはドワーフの横で立っていた店員に話しかけた。


「長剣……みたいなのは扱っているかな?」

「長剣……とは武器の事ですかね?」

「そうだね。この位の長さの剣があれば見せて欲しいんだ」

「んー。申し訳ありません。ここでは扱っていませんね」

「そうか……どこか扱っている店は知っているかな?」

「そうですね……正直、今時そんな武器としての剣を売っている店は無いですよ。置いてるとしたら古物商くらいしかないと思いますねえ……うちも、学園様に卸すモデル剣ならありますけどね……」

「モデル剣……!」

「ええ、こういう丁度いい重さの切れない剣です」


 店員が手にしたのは見た目は格好いい剣だが、材質は木で、刃の部分はただの棒になっている。


(これなら私の手刀の方がよっぽど頑丈で強いな……)


「というより、今時剣って……何するつもりです?」

「ああ……地下ダンジョンに潜ったりするときに使おうかと思ってね……」

「地下ダンジョンで剣!?」

「あ。ああ……」

「無謀ですよそれは……もしかして地下ダンジョン初心者ですか? 今はこの辺の装備で入るのが一般的ですよ」


 そういって店員は何種類かのトリガーを出してきた。


「今はライフル型とハンドガン型の2種類を最低1丁づつ持ち込むのが一般的ですね」


(このライフル型……上級魔法を買いに来るお客さんが装備していた奴だ……)


「それとバレットスペルカードを持てるだけ持って行く! 食料や水などもいるし、剣何て荷物いっぱいで持ち込めないよ?」


 店員さんは手際よく、3種のバレットスペルカードを持ってきた。


――――

ベーシックバレット:衝撃も少なめで威力はそこそこ。シャドウなら約5発ほどで倒せる。

白10枚 弾数 20発


キャノンバレット:高威力の大きめの弾で中距離のダメージが特に凄い。何かに触れると爆発するので巻き込まれないように注意

黒2枚 弾数 1発


レーザーバレット:超高威力の熱波線を射出する。威力は絶大

黒3枚 弾数 1発

――――


「バレットにも種類があったんだね……」

「そうですよ。お金がない人はベーシックバレットだけ買い込んで、上級魔法を持って行ったりする人も多いですね……うちはキャノンバレットとか買ってほしいですけどねぇ」


(なるほど……上級魔法が売れる理由はこれか……)


「色々説明ありがとう。とりあえず3種とも1枚づつ貰えるかな?」

「有難うございます。トリガーは不要で?」

「ああ。今は大丈夫、ありがとう! ちなみに値段だけ聞いてもいいかな?」

「うちで扱っているのは今見せた[TYPE-A]のライフル型黒20枚とハンドガン型黒15枚です」

「……なるほど、ありがとう! 参考にするよ」


 ネアン達は3種のカードを購入し、その店を離れた。


「剣、売ってなかったですね」

「こんなにお店は立ち並んでいるんだ。何店舗か話を聞いてみよう……」


 ネアンはそう言って、古物商を探しながらも他の店も回る事にした。


・・・

・・


「剣……売ってないですね」

「さっきもっきたセリフだ……でもそうだね……まさかここまで売ってないとは思わなかったよ……」


 ネアンはその後も何店舗も回ったが、売っているのはトリガー関連の商品とキッチン用品ばかり……剣を見つける事は出来なかった。一応、古物商に置いてはあったようだが、もはや骨董品……実用性のあるものでは無かった。


「銃が出て来て……剣の時代は完全に終わったと言う訳か……」

(剣と魔の学園……剣の学園の方は今どうなっているんだろうな……)


 ネアンは剣術という1つの時代の終わりを肌で感じ、少し寂しい気持ちになった。


・・・

・・


「ここが新しく泊まる宿ですか?」

「そうだよ!」


 目の前にあるのは長期利用者用の宿で、4階建ての建物だ。

 外見は長方形のごく一般的なマンションのようだ。


「いらっしゃいませ」

「すいません、最長の2週間でお願いします」

「畏まりました。黒7枚になります」


 ネアンは黒7枚を支払い、部屋のキーを受け取った。


「あそこに14日泊まるよりお得ですね!」

「ああ、値段もお得だがそれだけじゃないよ?」

「そうなの? 楽しみ!」


 部屋前に到着し、ネアンは扉を開けた。


「おお……広いですね!」


 間取りはワンルームだが、その部屋がかなり広い。

 ベッドが3つ置いており、トイレやお風呂は別、大きな窓からは綺麗な景色が見えている。


 エルフ二人が走り回れるほどの広さはある。


「ベッドもちゃんと人数分あるよ!」

「そう……ですね」

「……?」


 さなえは何故かその部分についてはあまり喜びを見せなかった。


・・・


カード購入と食事代を引き

残金[黒31枚と白30枚]

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