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8話 トリガー

「駅前のお店はとんでもなく派手ですね……」

「キラキラした宝石がいっぱいくっついてるね~」

「こんなの、盗られても分からないんじゃないですか……?」

「実際に装飾を狙った泥棒が結構居るみたいだね。その為に、あの人達が居るんだよ」


 ネアンはそう言って、真っ黒の軍服姿の男性を指差した。三人1チームで動いているようだ。

 しっかりとスペルシールドを装着しており、背中には長銃のようなものを背負っている。


「あの人たちがケーサツ?」

「そうだね。商業都市ギルド直轄の警備兵らしいよ」


――ガシャンッ!!


「泥棒ーー!」


 そんな会話をしている時、目の前の店舗から大袋を持った一人の泥棒が店から飛び出した。この男もスペルシールドを装着しているようだ。


「二人とも私の後ろへ」

「怖いよう……」


(こちらへ来たら私が……)


 ネアンは戦闘態勢を取っていたが、すぐさま先ほどの三人の軍服男性が動いた。


「各自、[ベーシックバレット]で応戦せよ。"なるべく"殺さぬようにな」

「了解」


 三人は背中に背負っていた長銃を構えた。

 そのままスムーズに足につけたスペルカードホルダーから1枚のカードを取り出し、

 長銃のマガジン部分に挿入した。


「こんな所で捕まってたまるか!」


 男は腕につけたスペルバングルにカードを挿入し、警備兵へ向けて手をかざした。

 すると魔法陣が生成され、魔法が発生した。


~~ファイヤバレット

ファイヤボールに魔法移動術式を追加し射出する。


(古代魔法……スペルシールドを装備した者に効くわけがないのにな……)


――シュゥゥ……


 案の定、魔法はスペルシールドにより粒子となって消えた。警備兵は何事も無かったかのように構えを解かず、そのまま引き金を引いた。


――ドン……ドンッ


(そして、やはりと言うべきか……あの銃から飛び出す弾はスペルシールドでは防げない……あれも新生魔法の一種だからか)


「うっ……」


――ドサッ……


 複数回撃たれた銃弾は足と手に命中しており、泥棒はそのまま床に伏せた。


(カードを挿入して弾を撃つ……あれが今の"トリガー"か)


「皆さん少し離れて!!」


 軍服の男が野次馬を抑止し、鎖で泥棒を拘束し担いで連れて行った。


「二人とも、もう安心だよ」

「怖かったー……」

「まさか異世界でも銃を見る事になるとは思いませんでした……」

「あれはトリガーっていう装備でね……昔からあるんだけど、どうやら私の知っている物とは違う……スペルカードを介して当人の魔力関係なく誰でも撃てるみたいだね」

(近代のトリガーも少し調べる必要があるか……)


「ここもある意味、銃社会という訳ですか……」

「そういう事だね。行きつく先はどの世界も一緒なのか……」


 ネアン達は少しの間茫然した。


「さて、気を取り直してギルドへ行こうか」

「そうですね」

 

・・・

・・


 ネアン達が今歩いているのは、食べ物露店が立ち並び、良い匂いが漂う通りだ。

 かなり多い人が行き来している通りのひとつだが、この商業都市には大きく分けると3つの大通りがあるようだ。

 一つが今歩いている食彩通り。そして二つ目が武具通り。そして三つ目が装飾雑貨通り。

 それぞれ名前の通りの店が集まっているようだ。(商業都市観光ガイドより)


(全ての通りを回ってみたいが……まずはギルド……そしてお金だ)

「いらっしゃい! 女性に大人気! あまーい岩砂糖飴だよ! 今なら一つ白3枚!」

「みてみて! あれ美味しそうだよ!」


 ツグユはネアンの服を引っ張りながら指差した。その目はキラキラとしている。


「そうだねー……」


 ネアンはそう言いながら財布を覗き込んだ。白10枚だけ入った財布を……

 その様子を見たさなえがお金を取ろうとするネアンの手を握った。


「ネアンさん! 買ってあげたい気持ちはわかりますけど白10枚しかないのにこんなのは買えませんよ!」

「そ……そうだよね……!」

「ツグユ、お腹空いた……」

「ギルドについてからご飯は食べましょうねっそれまで我慢我慢っ!」

「わかった……頑張る!」

「ツグユは我慢強い子だね……。でも安心して! ちゃんと私がお金を稼げるようになったらさっきのだってたっぷり食べさせてあげるからね!」

「本当! じゃぁそれまで我慢するー!」


 ネアンはツグユの頭をなでながら言った。


(というより、これだけじゃ宿にも泊まれないだろうな……)


・・・

・・


「これが入り口か……」

「まぁ割と最初から見えていましたけどね……」


 形は凱旋門のようだが、真っ赤な色でこれでもかと言う程に宝石などで装飾された大きな門が現れた。


「私の感性では……ただただ悪趣味な物にしか見えないな……」

「それはあたしも同感です……」

「二人とも早く行こー!」


 ツグユは一足先にその門を通り抜け、二人を手招きしていた。


 門の先にあったのはこれまた大きなドーム型の建物ではあったが、装飾はされていない様だ。


「商業都市の中心だからもっと煌びやかだと思いましたが、普通の建物ですね」

「派手なのは門だけだったね……とにかく中へ入ろうか」


 そうして三人は商業都市のギルドへと入っていった。


・・・

・・


「綺麗な場所だな……」


 入ると、エントランスホールが広がっており、床と壁が白基調の艶のある石で出来ている。

 右手側には受付がいくつかあり、真っ直ぐ進んだ先はラウンジルームになっているようだ。そこでは酒を飲んだりするわけでは無く、ティータイムを楽しんでいる姿や、商談をしている様子が見える。


「なんか……ギルドって言ったら酒場が併設されてて、凄く騒がしい場所をイメージしてましたよ……ここはまるで綺麗な役所ですね」

「いや、昔はそうだったよ? やはりこれも時代の流れって奴なんだろうか……」

「ツグユつかれた~~あっちで座ってていい?」

「ああ、そうだね。さなえ、私は受付で色々済ませてくるから、一緒にあっちで待っててくれないか?」

「わかりました。ツグユ、行きましょう!」

「は~い!」


 そういってさなえとツグユはラウンジルームの方へと向かって行った。

 

「さてと……受け付けはこっちだな……」

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