第二話~別れ~
私にはとっても大好きな家族がいる。お父さんとお母さん。お兄ちゃんとお姉ちゃん。そして偶にしか会えないけどお見舞いに来てくれるお祖父ちゃんとお祖母ちゃん。
でも私は何も返すことが出来ない。それは病気だから。
魔力併合症。
それが私の病気。生まれながらに魔法と法術に才能がある人がかかる病気。体内の魔力と法力が反発しあうことで体を壊す病気。
私の場合は人よりも魔法と法術に才能があったみたい。それ自体は喜ぶべきことなんだけど、そのせいで年々魔力と法力が増え、拒絶反応も強まるばかり。明日には十歳の誕生日を迎えるに至って、もう体を起こすこともできない。
何か解決策がないかと、動けなくなってから日課にしていることを行うために、軋む体に力を込めて、胸に息を吸い込む。
「……ステータス」
ステータス
名前:セシリア・クレントラン
種族:人族
職業:読書師
称号:クレントラン伯爵家次女
種族特性:可能性の獣
クラススキル:読書の才能
スキル:速読Lv10 瞬間記憶・書Lv1
しかし、いつもと何も変わらないステータス。五歳の時の洗礼でステータスが見られるようになってから、自分で習得できた速読と瞬間記憶は自慢だ。だけど、それでは現状をどうにかすることは出来ない。
恩返しもできない。
もう大人になるまで保たないのは分かってる。
だから、せめて。
ずっと寝たきりの私を愛してくれた家族に恩返しがしたいのに。やっぱり私は最後まで役立たずだったなぁ。
涙が溢れてくる。
体力を使ってしまったからか、私はそのまま眠ってしまった。
目が覚めた。うっすらとしか開けられないけど、優しい光が目に入ってくる。部屋の灯りがついているみたいだから、夜まで寝てたみたいだ。
でも、もうダメみたい。お昼までは目を開けるくらいは何でもなかったのに。
苦しい。
部屋を照らす優しい灯りとは真逆で。
内側の何かが暴れまわってるみたいだ。
「はっ……はっ……」
息がどんどん浅くなる。息を吸うのも、吐くのも難しい。
「お嬢様!?」
どうやらメルキスが来てたみたいだ。いつもは律義にノックしてくれるのに、その音も耳に入ってこなかったみたいだ。
「「セシリー!」」
はは。神様も最後にお慈悲をくれたのかな。お父さんとお母さんも来てくれたみたい。
本当は私が最後に見てる幻覚なのかもしれない。
でも言わなきゃ。
「お……とうさん……。おかあ……さん……。いままで……ありがとう……。しあ……わせ………だった…………よ……………」
ああ。最後までちゃんと言えたかな。それだけが心配だった。




