相手に会いました
検索をしたら同じ題名の作品があったので、題名を変えました。
『異世界に引っ越したら王族になりました』
今後もよろしくお願いします。
私は宮下愛梨、16才。
改め、アイリ・リラ・エルディール
王族になるのだからと名前もこちらに合わせることになった。
リラは王族の女性に付けるミドルネームみたいなものらしい。
あれか、有名なアニメ映画のトエルウルみたいなものか。
ちなみに男性だとウォンを付けるんだって。
翌日、王妃様が付きっきりのもとマナー指導が一日中行われた。
初めて王妃様を見た時は優しい印象だったけど、マナー指導をする王妃様は結構スパルタだった。
「今日一日で完璧を目指すのでしょ。」
と言われては手を抜くわけにはいかない。
それこそ晩餐の時まで王妃様のチェックが入った。
「1日でここまでできたらまずまずですわね。」
となんとか及第点を貰って、自室に戻った私はそのままバフッとベッドにダイブした。
一朝一夕で完璧になれるとは思っていないけど、疲れたー。
そして迎えた二日後。
なんとか公爵子息とお見合いの日。
お見合い・・・だよね。結婚するかもしれない人と会うんだから。
はっきし言って乗り気になれない。
私はまだ16才。日本で言えば花の女子高生だ。大学行って就職してその過程でいい人に出会って恋愛してって順序があるはずだったのに・・・。
こっちの世界では女の人は16才で結婚するのもめずらしくないんだって。・・・あれか昔の日本か。
乗り気になれないもう一つの理由は、言われるがままなのが気に食わない。
王族になるしかない。なんとか公爵の息子と結婚するしかない。って他の選択肢がないこの状況。
もう王族にはなってしまったのだから、せめて結婚相手は自分で選びたい。この人だって思える人と結婚したい。今の私の状況ではわがままだってわかってるけど、でもそこは譲りたくない。
まぁ、今日会う人にそう思えたらいいんだろうけど、今はまだ認めたくないな。
「愛梨。・・・ランザード公爵がお見えだ。」
ノックと共に扉の向こうからお父さんの声が聞こえた。
談話室までお父さんがエスコートしてくれるみたいだ。
レベッカが扉を開けるとそこにはお話しに出てくるようなイケメン王子様が居た。
とても16才の娘がいるようには見えない。・・・眼福。
「お父さん、まだまだ現役でいけそうね。」
「・・・愛梨、その言葉使いもなんとかならないか。」
「はいはい。お父様。」
私の返事にお父さんは苦笑を浮かべた。
大丈夫。他の人の前では気を付けるから(たぶん)。
談話室に入るとすでに全員そろっていた。
王様とお父さんと見慣れないおじさん…あの人がランザード公爵かな、が言葉を交わしたのち、私に挨拶するように促された。
「クリストファ・ウォン・エルディール第一子、アイリ・リラ・エルディールでございます。」
昨日散々練習したカーテシーをお披露目する。うんうん。なかなかの出来栄えのはず。
ホッと王妃様をチラ見すると、満足げに頷かれたがすぐに渋い顔をされた。
やばっ。自分で合格点のカーテシーできたの嬉しくてポーカーフェイスが崩れてしまった。
すぐに表情を顔に出すのは王族としてよくないと言われたんだった。
これは後でお説教コースかも…
内心、ガクブルしながら向かいに座る人物を観察した。
ランザード公爵の隣に座る女性が公爵夫人として、その隣がきっと息子だろう。
この人が見合い相手かー
第一印象はクール。
この人、今日のこと納得してるのかな?なんかすごく冷め切ってる気する。ていうか諦めてる感じ?
誰だよ。相手も受け入れてるとか言ったやつは!
見た目はちょっと長めの濃い青色の髪、切れ長の瞳は濃い紫かな。
お、この人の指長くてキレイだなー。男らしいゴツゴツした感じとはかけ離れている。男で指がキレイとかずるいわ。さすが公爵子息様か。
とにかく映画俳優に居てそうなイケメンさんだわ。
うん。映画俳優だな。男性アイドルではない感じ。
でもイケメン度でいえばお父さんの方がイケメンだわ。
「愛梨。」
お父さんに呼ばれて我に返る。
やばい。観察してて話全然聞いてなかった。ここはあれだ。奥義!動じずに微笑む。
「はい、お父様。」
「・・・公爵のご子息を庭園に案内してあげてはどうだい?」
お父さんが呆れてるぽいのはスルーするけど、どうだい?って聞くわりにはそれ、拒否権ないやつだよね。
これはあれか。お見合いの定番、後は若い人同士でってやつか。
「わかりましたわ、お父様。・・・では、あちらへ。」
できるだけ優雅を心がけて談話室を出た。
庭園を案内と言われたけど、庭園ってどこだ?
ま、ニーナとマルクも一緒に行動するみたいだから連れていってもらえばいいか。
そう思っていたら、笑いを堪える声が聞こえた。
登場人物
宮下愛梨、改めアイリ・リラ・エルディール