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思い出

累計PV100,000いきました。ありがとうございます。

「愛梨ちゃん、見てみてー。」


ある日、お母さんが私の部屋にやってきた。

私は未だに続く勉強の合間にルイスとお茶休憩をしている所だった。


「お母さん、それって・・・」


布地の表紙に本にしては大きく正方形をした厚さ3センチほどのお母さんが手に持っているそれには見覚えがあった。


「ふふふー。」


お母さんは嫌な笑みを浮かべながらテーブルにそれを並べていった。


「これは?」


並べられたそれをルイスが不思議そうに手にした。


「ふふふー、愛梨ちゃんのアルバムよー。」


・・・やっぱり。


「お母さん、どうしたの?これ。」

「向こうから持ってきたものを片付けていたら出てきたのよー。これはルイスくんに見せなきゃーって持ってきたのよー。」

「やめてよ。こんな昔の写真。恥ずかしすぎるわ。」

「あらー、愛梨ちゃんがかわいかった頃の名残じゃないー。今もかわいいけどー。」


お母さんが言うと別の意味に聞こえて怖い。


「これは、すごく巧妙な絵?違うな。まるで本物のような・・・」


そう呟くルイスはまじまじと写真を見入っていた。


「あー・・・これは写真っていって・・・カメラで撮ってってカメラがないか。んー、お母さん、デジカメはないの?」

「それがねー。お父さんが向こうの技術をこっちに持ち込むのは危険って判断したから、全部向こうに置いて来ちゃたー。でも、持ってきてても充電切れてるからどっちにしても使えないわよー。」

「そっか。・・・とにかくこれは、その瞬間を記録に残した物?みたいな。」

「絵と違うということはわかったが、アイリの居た世界にはこんなすごい物があるのだな。」


私にしたらデジカメもスマホも身近にあった物だから特に何も思わないんだけど、ルイスにしたらすごいものなんだなー。

ま。デジカメの原理を説明しろと言われてもできないんだから、すごい技術なのは間違いないんだけど。


「あらー、ルイスくんが今見てるのは愛梨ちゃんの七五三の時のやつねー。」

「しちごさん?」

「私が住んでたところでは3才と7才の時に女の子の成長をお祝いする習慣があったの。」

「そうか。この衣装もとても珍しいな。」


写真に写る3才の私は赤い着物を着ていた。

私自身、あんまり当時の事を覚えていないけど、着物を着せてもらえてうれしかったのは覚えている。


「アイリは小さい頃からかわいかったんだな。」


ページをペラペラめくりながらルイスはそう呟いた。


「そうなのよねー。昔の愛梨ちゃんはほんとお人形さんみたいで可愛かったわー。いろんなお洋服を着せるのがとても楽しかったのよー。」


そうだった・・・。昔はお母さんの着せ替え人形のごとく日に何度も服を着せられたっけ・・・。

しかもお母さんの好みのフリフリなやつ。

ルイスがページをめくるたびにそんな写真がいくつも出てくる・・・。


「ねぇ・・・そんな昔のやつ、見られるの恥ずかしいんだけど・・・。」

「いいじゃないー。ルイスくんには愛梨ちゃんのこと、いっぱい知ってもらいたいものー。」


それを本人の前でやるとか、とんだ羞恥プレイだ。




お母さんは何かの途中だったのか、侍女が呼びに来ると部屋を出て行った。

アルバムを残して・・・


「ねぇ、そろそろ見るのやめない?」

「マリカ様が俺のために持ってきてくれたんだ。せっかくだから見ないと。」


とルイスは次のアルバムに手を伸ばした。

ひょいっと横から覗き込むと、小学生の自分が写っていた。


「こうやって昔のアイリが見れるのは、ほんとすごいな。出会っていなくても昔のアイリが知れる。」

「私は昔のルイスのこと知れないのに・・・」


ルイスだけ私のこと知るとかずるい。


「あ、でもリューイってルイスそっくりだよね。ルイスの子どもの頃ってあんな感じだったの?」

「・・・見た目だけなら似てなくもないが・・・。」


あ、なんか嫌そう?

ルイスがリューイみたいにいたずらっ子だったってのは想像できないけど。


「最近、リューイのやつがアイリは次いつ来るんだとしつこいな。」

「えっ?なんで?」


ランザード家に行く予定とか特にないんだけど、


「あ、もしかしてこの前の仕返しをしたいとか?それならいつでも受けて立つわよ。」

「・・・アイリならそういう発想するだろうなと思った。」


ん?違うの?


「いくら弟でもそこは許すわけにはいかないからな。」

「ん?この前のことまだ許してあげてないの?私は気にしてないのに。」


ルイスは目を細めて微笑むと手にしていたアルバムをテーブルに戻し、


「昔のアイリを見るのもいいけど、やはり今のアイリを一番近くで見る方がいいな。」


頬に伸ばされた手に思わず心臓が跳ね上がる。


「これでも照れるんだな。」

「っ!?」


仕方ないじゃないか。慣れてないんだから…。


悔しくてルイスを睨むとルイスは更に笑みを深めて、


「そんな風に睨んでも上目遣いだから男心を煽るだけなんだが。」


じゃ、どうしろっていうんだ!


ルイスの余裕は年の差…経験の差なのか。

いやでもルイスが経験豊富ってのも想像つかないというか、豊富なのはちょっと嫌というかなんというか…。


「別に余裕ではないんだが…」


む。また考えてること読まれた。


「アイリの前ではかっこいい男でありたいとは思うな。アイリの一番は殿下のようだし。」


ん?お父さん?なんでそこでお父さんが出てくるんだ?

お父さんがかっこいいのは今に始まったことじゃないぞ。てかなかなかダンディーにならないことに驚愕なんだが。

あの人、若返りの魔法とか使えるんじゃないだろうかと密かに思っている。


「ルイスもかっこいいと思うよ?」

「・・・アイリの一番になれるように努力するよ。」


うー、見た目の話ならルイスもお父さんもイケメンの部類だと認識はしているんだけど、ルイスは納得いかないみたい。

異性としての一番はルイスなんだけど・・・それを口にするのはまだまだ恥ずかしさが勝っていて、普段私の考えなんて筒抜けなのに、どうしてこういうことに関しては察してくれないのだろうと理不尽を感じる。


もーっ!言わなきゃわかんないってのはわかるけど言葉にするのは恥ずかしい!


考えることを放棄した私は体勢を変えるとルイスの顔に自分のを近づけ、こういうこと出来るのルイスにだけなんだからね!と半ば八つ当たりの気持ちを乗せて、触れるだけのキスをした。


自分の行動に恥ずかしさが沸くよりもルイスの驚く顔が見れて満足した。



んだけど、そのあとルイスに頭を抱き込まれ倍返し・・・10倍にして返された。




私はいつになったらルイスに完全勝利できるのだろうか・・・


ブックマーク、評価ありがとうございます。

完結したら一気にPVが増えてガクブルです。

たまーに後日談的にことを書いていきたいと思って【完結】外しました。

完結詐欺なんて言わないでね。


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