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お返し

最近、ルイスの様子がおかしい。


やけに視線を感じるなーと思ってルイスを見るとやっぱり見られているんだけど、何?って聞くと別に言いたいことがあるわけではなく、ただ黙って微笑まれたりする。

あと、お茶をする時、前は対面に座っていたのに、最近は二人掛けソファーで私の横に座るようになったし、その際、髪の毛を触られることが多くなった。

髪の毛になんかついてるのかと思ってもそういうわけじゃないみたい。

あとは、前より考え事をしていることが多くなったし、お母さんと話をしていることが増えた気がする。


いろいろ気にはなるが、ま、ルイスにもいろいろあるか。と思うことにした。



ルイスのことは置いておいて、私は私でレッスンの合間に本を読むことを覚えた。

あの日、ランザード家から帰ってきてすぐにマルクに頼み込み、王宮にあるライブラリーに連れて行ってもらった。

初めて入ったライブラリーはちょっとした町の図書館ほどの広さがあり、探せばあるある。宝の山!

王子様と隣国のお姫様の王道物から、騎士との恋愛物、庶民と貴族の身分差の物、ノンフィクション物。

とりあえず、題名で気になったやつから読み始めた。


ついつい読むのに夢中になって夜更かしをするようになってしまい、5日目でニーナに怒られた。

それから寝る時は本を没収されるようになってしまった。

なので、レッスンの合間に読むことにしたのだ。


一応ルイスには読んでいいかの了承は取っている。

そして私が本を読むとルイスは横に座って難しそうな専門書を読みはじめる。

特に会話はなくても隣に座ってお互いそれぞれ本を読む時間は心地よかった。



そうそう、先日見た舞台の原作も見つけた。

十数年前に流行した本らしく、今も続編が何冊か出ていた。

第一冊は舞台の内容が主で幼なじみがお互いの気持ちを伝えあう所で終わったが、続きはライバルが出たり国を巻き込んでの大騒動な内容になっていて面白かった。


そいや、あの日ルイスに貰ったネックレス。

シンプルなデザインなのは私の好みだし、紫の石もカットがキレイで気に入っているし、レベッカが毎日のコーディネートにこれをプラスしているのでつけているが、

結局、これを貰った理由がわからなくてお母さんに聞けば「ルイスくんの気持ちなんだから貰っておけばいいじゃないー」と言われたが、これのお礼をしていないということに気がついた。


今更、ありがとうと言葉だけを伝えるのはどうかと思うので、私からルイスにこれのお礼と日頃の感謝の気持ちを込めて何かプレゼントしようと思うのだが、いい案が浮かばない。


何かルイスに似合う物を選んで買う?

いやいや、私、お金持ってないわ。

お小遣いを貰って買うのもなんか違うし、バイトするにしても王族がしていいのか?ってかさせてもらえないだろう。

こっちの世界にきて、物欲がなくなったというか、必要なものは気がついたら揃ってるし、勉強にレッスン漬けの日々で欲しい物もなかったんだよね。



どうしようかなとレベッカに相談をしてみると、


「刺繍などはいかがでしょうか?刺繍は貴族女性の嗜みでございます。ハンカチに刺繍をして送るってのはどうでしょうか。」


刺繍・・・つまりは裁縫だよね。想像しただけで無理な気する。

刺繍ってセンスも大事だし、延々と細かい作業ってイメージなんだよね。針を自分の手に刺す未来が想像できるわ。


でも他にいい案は思いつかないし・・・。

こうなったら元も子もないけど、本人にさり気なく聞いてみるか。



「・・・ルイスは何か欲しい物ってある?」

「欲しい物?・・・いきなりどうしたんだ?」

「いや、えっと・・・なんとなく?」


さり気なくどこ行ったとか言わないで。そんな器用なまねが出来たら本人に聞くことなんてするわけないじゃん。


「アイリは何か欲しい物でもあるのか?」

「私は・・・んー・・・特に思いつかない。」

「そうか。俺はあるよ。どうしても欲しい物。」

「えっ、何?」


それが聞き出せたら、それをプレゼントしよう。


「今すぐには手に入らないから、時間がたつのを待っている所。」


発売前の物ってことかな。それはすぐにプレゼントとか無理か。じゃ、どうしようかな・・・。


「アイリってほんとわかりやすいな。」

「えっ?なんで?」


サプライズするつもりはないけど、お返し考えてるのバレた?


「物語に感情移入しやすいだろ?アイリ見てたら今、どんな場面かすぐ想像がつくよ。」

「え、そ、そんなに顔に出てる?」

「あぁ。」


さすがに本を読んでてポーカーフェイスとか無理だわ。

てか、そんなにルイスに見られてるとか気づかなかったわ。うわ、恥ずかし。


恥ずかしさで赤くなっているであろう顔を手で隠す私の横でルイスが可笑しそうに笑うのを見て、

私はきっとずっとこんな風にルイスにからかわれるんだろうなって思った。


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