引っ越しは決定です
私は宮下愛梨、春から高校2年生。
世間的に言うと花のJK!
のはずだったんだけど…。
突然、父親が異世界の王子様と言われ、数日後には異世界に引っ越すと言われました。
「私、高校生だしこっちに残る。おばあちゃんも居るから一人で大丈夫。」
と言ったのに、
「だめよー。愛梨ちゃんはまだ未成年なんだから親の保護下にあるのよー。だから一緒に行くのよー。学校は残念だけど諦めて。向こうで学んでちょうだい。」
「愛梨は父さんと離れて平気なのか?そんなに父さんの国に行くのは嫌か?」
なんて強制と泣き落としで私も異世界に行くことになってしまった。
「私、明後日に引っ越すことになったの。」
「へー、急だね。」
彼女は高校に入学してからの友達、川島春菜。
入学当初、金髪碧眼の私は周りから敬遠されていた。だけど春菜は気さくに話かけてくれてからの親友だ。
異世界に引っ越したら、もう春菜には会えないかもしれない。
そもそも引っ越しするならきちんと報告するべきと学校の近くにあるカフェに呼び出した。
「どこに引っ越すの?」
これ、異世界って答えるべき?
いやいや、私が春菜の立場だったら頭大丈夫かと心配するわ。
「えっと……エルディーラ王国?」
「へー、聞いたことない国だね。車でどれくらい?って外国だったら車は無理かー。飛行機で何時間?」
「飛行機…じゃないみたい。」
「飛行機じゃなかったら船?」
「いや、パッと行ける…みたい?」
「へー、じゃあ意外と近いんだ。」
近いのか?おばあちゃんちのお母さんの部屋なら近いけど、
「いや、めっちゃ遠い?もしかしたらもう会えないかも?」
「会おうと思ったらどこに行っても会えるでしょ。愛梨はもう私に会いたくないの?」
「そんなことあるわけないじゃん!」
「だったらどこに行っても会えるわよ。」
えっ?そうなのかな?異世界に引っ越しても会える?
でも春菜の言うとおり、その気になれば会えるかもしれないか。
時空の歪みが自然にできるのに今回18年かかっちゃったけど、もし自分で作り出すことが出来たらこっちとあっち好きな時に行き来できちゃう?
「そういえば、愛梨のお父さんてなにしてる人?外国に引っ越しとか超エリートじゃん。」
「えっと………第2王子様?」
今は王弟なんだっけ?
「へー、愛梨のお父さんイケメンだもんね。王子様って言われても納得できるわー。じゃ、次会うとき、向こうの国のイケメン紹介してよー。」
「えっと…うん。帰ってきたらね。」
帰ってこれたら一番に春菜に会いに行こうと決めた。
「愛梨、緊張してるかい?」
お父さんが心配そうに訊ねてくる。
「少しね。でももう何があっても驚かないわ。」
この数日で一生分驚いたと思う。
「大丈夫よー、愛梨ちゃん。何があってもお父さんが守ってくれるわよー。」
「そうだな。」
なんてったって第2王子様だもんねー。
昨日までは半分信じてなかった。
でもおばあちゃんちのお母さんの部屋。ベッドの上のゆらゆら揺れる空気の塊を見たら、これが時空の歪みかーと信じるしかなかった。
「必要な荷物はお父さんが魔法でちっちゃくして既に向こうに送ってるから生活に困ることもないわよー。」
「えっ?お父さん、魔法使えるの?」
「言ってなかったか?」
「聞いてないし、使ってるとこみたことないよ。」
あれ?でも魔法使いがどうのこうのとか言ってたっけ?
おかしいなー、もうびっくりすることないと思ってたのに早速驚いたわ。
「今までは使えなかったんだが、時空の歪みが出来た頃から力が回復したんだ。向こうの魔力がこちらに流れてるのかもしれない。」
そうかそうか。よくわからんけど異世界だからありなのかも。
そして、今から行く世界は魔法が使える世界なんだ。
なんてファンタジー。おらワクワクすっぞ。
………ごめんなさい、調子乗りました。
「では行こうか。」
万が一バラバラになっては困るからお父さんとお母さんと手を繋いだ。
そしてお父さんの言葉で3人一緒に時空の歪みに足を踏み入れた。
登場人物
川島春菜、愛梨の親友